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【DEEP Tokyo Impact2026#01】MMA・レスリング・トレーニング。三足のわらじを履く山崎弥十朗とは!?

【写真】これまでもMMAに転向する強豪レスラーはいたが、山﨑はMMAとレスリングを並行し、SNSでトレーニング動画を公開するなど幅広く活動している(C)TAKUMI NAKAMURA

23日(月・祝)、東京都港区ニューピアホールで開催されるDEEP Tokyo Impact2026#01で山﨑弥十朗がウラケンと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

山﨑は埼玉栄高校・早稲田大学出身、現在は株式会社サイサンに所属する社会人レスラーで、レスリングでは2022年天皇杯全日本選手権フリースタイル79キロ級優勝をはじめ輝かしい実績を残す。イゴール・タナベやシビサイ頌真らにレスリングを指導したことをきっかけにMMAと接点を持ち、昨年9月のDEEP Tokyo Impactでプロデビューし、アサン・ゲェイデから判定勝利を収めた。

今大会でMMA2戦目を迎える山﨑だが、今後もMMAと並行してレスリングの試合にも出場予定で、自身のSNSではトレーニング指導を目的とした「やじゅトレ」を公開。MMA・レスリング・トレーニングの3ジャンルで格闘技に携わる山﨑のインタビューをお届けしたい。


──レスリングで数々の実績を残す山﨑選手がMMAをやろうと思ったきっかけはなんだったのですか。

「レスリングをやっているなかで、MMAの選手たちにレスリングを教える機会があったんですね。そこでレスリングを教えているうちに自分がMMAや打撃を知っていないとタックルに入れないなと思い、キックボクシングジムに入ったところが始まりですね」

──プライベートレッスンのような形でMMAの選手を指導していたのですか。

「そうですね。当時はイゴール・タナベさんやシビサイ頌真さんと一緒に練習させていただいていて、その中で段々と自分もMMAをやってみようかなと思ったり、周りからも『レスリングができるんだから打撃もやり始めたら面白いんじゃない?』と薦められてMMAを始めました」

──山﨑選手は埼玉栄高校出身なので武田光司選手とは先輩後輩になるんですよね。

「はい。僕が高校1年生の時に武田選手が高校3年生で、武田選手きっかけでBRAVEジムや色々なジムに行かせてもらっていて、今は芦田(崇宏)さんや野村(駿太)選手たちと一緒に練習しています」

──MMAを始めてから試合にも出てみたいという気持ちも出てきたのですか。

「実際MMAをやってみると本当にMMAは難しくて、打撃の恐さもあれば、セオリー通りにいかないな部分もある。でも(MMAを)やってくうちに徐々に慣れてくる部分もあって、試合に出て勝てるまでやってみようみたいな気持ちになって今も続けています」

──完全にMMAに転向するわけではなく、レスリングの試合にも並行して出る予定なのですか。

「はい。レスリングの試合にはできる限り出ようと思っています。レスリングの技術や体力を落としたくないですし、レスリングの基準を落とさないことは自分の中で大切にしていることなので、バックボーンをしっかり残しておくという意味でもレスリングの試合は出ていこうと思っています。ただ今から次のオリンピックを目指すというのはめちゃくちゃ難しいので、全日本選手権で上位に食い込めるぐらいの実力は持っていよう、メダルは絶対に取ろうという気持ちです」

──また山﨑選手は「やじゅトレ」としてトレーニング動画をSNSで発信されていますよね。

「僕は何か一つのことを突き詰めると不安になっちゃうタイプなんですよ。今まではレスリングだけをやっていたのですが、レスリングだけやっていて勝てなくなる時期もありましたし、社会人になってこのままでいいのかと思うようになった時、先ほど話したレスリングの技術指導を始めたり、そこで指導している以外の選手からも『どうやってやっているんですか?』とレスリング関連の質問をされるので、動画編集を覚えてSNSに動画を投稿するようになりました。その動画を見てくれている人たちが少しずつ増えてきて、それが嬉しくなって今でも続けている感じですね」

──山﨑選手はレスリング、MMA、トレーニングと幅広く活動されていますが、色んなことをやってみたい性格なのですか。

「何か一つのことに特化して結果を出すことも素晴らしいことですが、僕は空いてる時間で何か伝えられるものがあるのではないか?と考えて行動しています。ただし、それはよく言えば”活動の幅が広い”ですが、悪く言うと”中途半端”になってしまうので、一つ一つ着実に実績を残せるようにしたいという部分もありますね」

──色々な活動をすることで、それがリンクすることもありますか。

「競技で言うとMMAでやってることがレスリングに活きたり、レスリングで気づいたことがMMAで活きたり…ということがすごく大きいですね。例えば『バックをとらせない』や『倒されない』など、MMAでの組みの耐え方がレスリングの攻防でも活きてきます。あとはトレーニングでも、今まではレスリングに特化したトレーニングをしていたのですが、MMAにも意識したトレーニングに変えたら、体の使い方や柔軟性が上がりました。どうしても一つのことを突き詰めると、視点が一つになってしまいますが、色んなことをやってみて視野を広く持てたことは大きいです」

──今回はMMAPLANETのインタビューということでMMAについて聞かせてください。山﨑選手は2025年9月のDEEP Tokyo Impactでプロデビュー戦を戦い、アサン・ゲェイデに判定勝利しました。あの試合を振り返っていただけますか。

「自分の中で試合は怖いというのは覚悟はもちろんしていたんですけど、それ以上に怖さを感じましたし、人に見られている緊張が想像以上に大きくて、改めてプロのファイターは凄いなと感じました。今までは外から見ていることしかなかったのですが、実際にケージの中に入って戦ってみたら、今までやってきたものが一気に頭から飛んじゃって、何をしていいのか分からないぐらいになってしまいました(苦笑)。そういう緊張感の中でみんな戦っているんだなと改めて感じましたし、自分の試合が終わった後、他の選手の試合を見る時の見方がすごく変わりました」

──入場曲が鳴ってケージに上がり「こんなにお客さんがいるなかで戦うのか?」という感覚でしたか。

「レスリングでもお客さんが多い会場で試合はやっていましたが、ケージに入って出入り口の扉が閉まった瞬間の『ガチャン!』という音でスイッチが入るというか、今から始まるんだと思って一気に怖さと緊張がありましたね」

──当然ですが打撃の強度や緊張感も試合と練習では全く違いますよね。

「だいぶ違いますね。相手も本気で殴ってくるし、自分も本気で殴る。そうなった時に当たったら終わりみたいな考えになってしまいがちだったんですけど、いざ試合をやってみて仮にパンチをもらってもしっかり気持ちが折れないようにしようということを前回の試合で学びました」

──1Rフィニッシュで終わるよりもフルラウンドやったことがプラスになっていますか。

「できれば極めて勝ちたかったですけど、2Rフルでやれたのは大きかったですね。1Rは自分が思っていたよりも長く感じましたし、逆に2Rは体もだんだん温まってきてすぐ終わったなって感じでした。本当に色んなことをデビュー戦で学ぶことができて、それは大きいですね」

──今現在の練習の拠点はBRAVEになるのですか。

「はい。メインの練習はBRAVEでやらせてもらっていて、TEAM ONEに行かせていただいたり、武田選手がいるTRIBE TOKYO MMAにもたまに行かせてもらっています」

──デビュー戦の反省を踏まえて、今はどんなところに力を入れて練習していますか。

「前回は相手の手足の長さや勢いに押されてしまい、どうしても打撃を怖がって自分の得意なレスリングに持っていってしまう展開が多くなったかなと思います。今回はそれを修正して、先程も言ったように1発もらっても終わりという意識ではなく、しっかりと打たれても打ち返す。打撃でもメンタル面をちょっと強化してきた部分はあります」

──次の対戦相手であるウラケン選手にはどんな印象を持っていますか。

「凄く若手で勢いがあって、前回の相手と同じぐらい背も高く、見ため通りの強みをしっかりと持っている選手だと思います。それが強みになっていることは相手も絶対に分かっていると思うし、逆に相手は僕のレスリングのバックボーンも知っていて、その対策もしっかり練ってきていると思います。そこを分かった上で僕がどう立ち回っていくかをすごく考えてますね」

──山﨑選手はMMAファイターとしてどんな目標を持っていますか。

「まずはDEEPでしっかり結果を残せるようにしていきたいです。もちろん勝ち負けもこだわりますが、試合内容でもレスリングの選手が勝つというよりもしっかりMMAをやっていることが伝わる試合をして勝ちたいです。打撃も当てて寝技もやって、しっかりとKOやTKOを狙うみたいな。『山崎はMMAファイターだな』と言われるような選手になっていきたいです」

──具体的に参考にしている選手はいますか。

「自分の近くにいる選手でいうと、野村選手はすごいと思います。打撃もすごくてスピードもあるし、僕とは同階級で同年代なんですよ。一緒に練習もしているので、色々と参考にさせてもらっていて、僕の中で目標にしている選手の一人です」

──例えばDEEPで活躍してRIZINに出たいや海外で活躍したいといった目標もあるのですか。

「いずれは…ですね。自分でも今の自分の実力をそこまで高く評価していないですし、周りから『山﨑くんだったら海外でもRIZINでも出られるよ』ぐらいに言われるようになったら、自分の中でも自信がつくと思うので、もちろんそういう舞台に出たい気持ちもありますが、一戦一戦集中して戦おうという気持ちです」

──自分のMMAを突き詰めて完成させることが目標なのですね。

「はい。山﨑弥十郎のMMAのファイトスタイルを確立したいです」

──また山﨑選手のようなレスリングのトップ選手がMMAにチャレンジすることで、MMAにおけるレスリング技術の幅が広がるのではないかという期待もあります。実際にMMAの練習をやってみて、レスリングのこういった技がMMAでは使えるなという発見はありますか。

「ありますね。基本の動き、そこから応用した動き…あとは考え方ですかね。例えばレスリングの試合は相手がセオリー通り、基本通りに動くことが少ないので、その場その場、その瞬間その瞬間で技や動きを変えたり、体勢や場所を変えなければいけないんですね。そういった考えはMMAではレスリングほど浸透していないのかなと思いますし、技術的にもやれることがたくさんあると思っています。僕が練習でレスリング的な動きをすると『今のは何の動き?』と聞かれることが多いので、そういう技を試合で出してみて、他のMMAファイターが『あの技を自分でもやってみよう』とか一緒に練習してみようとなってくれたら、お互いに相乗効果があるのかなと思います。そういう意味でも僕のレスリングの強みや技術はたくさんあるので、それをドンドン試合で出していきたいです。レスリングは日本がめちゃくちゃ強い競技ですし、自分の出身の競技はこれだけ強いんだぞと自慢できたり、レスリング界にとっても誇りに思えるような選手になりたいなと思います」

──レスリングとMMAを同時にやることで化学反応が生まれるわけですね。

「その通りですね。レスリングでは相手が強いとかからない技が、実はMMAではめちゃくちゃ有効みたいなことがあるんです。例えばネルソンはレスリングでは小学生の初心者が使う技で、基本の技すぎて試合ではほとんどやらないんですよ。でもMMAではめちゃくちゃかかる技で、そういう発見があると競技的にもすごくいいんじゃないかなと思っています」

──UFCなどでもレスリングや組み技出身の選手が打撃を覚えてトップ選手になるパターンが増えていますが、山﨑選手もMMAを始める前にレスリング・組みを覚えておくことのアドバンテージは感じますか。

「レスリングの動きというか、テイクダウンされて動けない状態や壁に押し込まれている状態は、めちゃくちゃ疲れるじゃないですか。もちろんそれをやっている側も疲れるんですけど、精神的には優位になれるし、攻防している場所や動きによっては休憩できる部分も多々あるんです。だから組み技が出来る選手は5分3Rや5分5Rの試合になると有利になるだろうなと思います。もしMMAが3分2Rや3分3R制だったら、そこまでレスリングができてなくても勝てると思うのですが、試合時間が5分3Rや5分5Rになると、試合中に一度は組み技の攻防があると思うし、そこでアドバンテージを取れたら間違いなく有利ですよね。その意味でMMAにおいてレスリングや組み技は絶対に強い方がいいだろうなと思います」

──今日は興味深い話をありがとうございます。MMA・レスリング・トレーニングと三足の草鞋を履いて活動しているのは山﨑選手くらいだと思いますし、今後も時間があれば色んな活動にもチャレンジしていきたいですか。

「そうですね。自分がやってきたレスリングの技術をもっとたくさんの人に伝えたいですし、レスリング選手は基本的な身体能力が高いじゃないですか。だから子供たちに身体能力を上げるようなトレーニングをレッスンをして、大人になってもぴょんぴょん飛び跳ねたりバク転できるようになってもらいたいです。ファイターとコーチ・教育者、その二軸でやっていきたいなと思います」

■視聴方法(予定)
2月23日(月・祝)
12時05分~U-NEXT、DEEP/DEEP JEWELS YouTubeチャンネル メンバーシップ

■DEEP Tokyo Impact2026#01 対戦カード

<フェザー級/5分3R>
海飛(日本)
関鉄矢(日本)

<ライト級/5分3R>
神田コウヤ(日本)
山田聖真(日本)

<フェザー級/5分3R>
三井俊希(日本)
黒井海成(日本)

<55キロ契約/5分2R>
中務修良(日本)
火の鳥(日本)

<バンタム級/5分2R>
諏訪部哲平(日本)
黒岡裕真(日本)

<フライ級/5分2R>
御代川敏志(日本)
吉田悠太郎(日本)

<バンタム級/5分2R>
坂野周平(日本)
石坂空志(日本)

<フライ級/5分2R>
マサト・ナカムラ(日本)
武利侑都(日本)

<ライト級/5分2R>
ウラケン(日本)
山﨑弥十朗(日本)

<フライ級/5分2R>
平井聡一朗(日本)
石井涼馬(日本)

<バンタム級/5分2R>
西山亮翔(日本)
小林よしずみ(日本)

<アマチュア バンタム級/3分2R>
小笠原孝成(日本)
須山豪(日本)

<アマチュア フライ級/3分2R>
菊間瑛太(日本)
今野蓮弥(日本)

<アマチュア ストロー級/3分2R>
Michael北見(日本)
加藤翔奏(日本)

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