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【RIZIN WS01】大人気の地=韓国でジョニー・ケースと対戦、大原樹理「いろんな意味でのリベンジ」

【写真】昨年12月の王座陥落から5カ月。怒りと自虐――大原らしい言葉が聞かれた(C)SHOJIRO KAMEIKE

31日(土・現地時間)、韓国はインチョンのパラダイスシティにおいてRIZIN WORLD SERIES in KOREAが開催され、大原樹理がジョニー・ケースと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

2023年より韓国Black Combatを主戦場としていた大原にとっては、2022年9月のルイス・グスタボ戦以来となるRIZIN参戦。日本のプロモーションで戦うのも、2023年9月のイ・ソンハ戦から1年8カ月ぶりとなる。その舞台が韓国となったのは、やはりブラックコンバットでの活躍が大きな役割を果たしていることは間違いない。それだけ韓国MMAにおける大原の人気は高い。

しかし大原は昨年12月、不本意な内容でブラックコンバットのベルトを失っていた。度重なるローブローによる中断と試合再開が繰り返され――ブラックコンバット側の発表に対し、大原もSNSで反論するなど問題は長期化の様相を呈していた。そんななかで決まったRIZIN参戦――大原はRIZINへのリベンジにも燃える。


RIZIN韓国大会には呼ばれない、と言っていました。理由は……俺だから

――4月16日にパラダイスシティで行われた記者会見では、質疑応答で韓国の記者からまず榊原信行CEOと大原選手への質問がありました。その点からも、やはり韓国MMAにおいて大原選手の知名度が高いことが分かります。

「ブラックコンバットでチャンピオンになったことも大きいでしょうし、『日本から来ている選手がずっと出ている』という評判も広まっていたんだろうなって思いますね」

――大原選手も最初に韓国語で挨拶を述べていました。

「会見の2日前ぐらいに急きょ、『韓国語で挨拶をお願いします』と言われたんですよ。もともと韓国語で挨拶できれば良いなぁと思っていたし、自分に求められている仕事はこなしたと思います(笑)」

――これまで「ブラックコンバットでベルトを巻いてからDEEPで戦いたい」という希望もありました。そんななか、RIZINで戦うことになるとは考えていましたか。

「全く想像していなかったです。僕はRIZINから忘れ去られているものだと思っていたので(苦笑)。『次はまた韓国で他の団体に出るのかなぁ』とは考えていました。去年の末ぐらいからRIZIN韓国大会が開催されるという噂は耳にしていましたけど、周りには『どうせ自分は呼ばれねぇよ』と言っていて。理由は……俺だから」

――「俺だから」というのは、どういう意味なのでしょうか。

「だって僕はRIZINで今まで3勝1敗ですよ。でも呼ばれなくなって。だから『どうせ俺だし。嫌われているよ』とか言っていましたね。アハハハ」

――「俺だから」出場がなかったのかどうかは分かりませんが、いずれにせよ韓国で人気を得て、再びRIZINに出ることとなりました。

「まさか呼ばれるとは思っていなかったし、話を頂いた時はビックリしました。『えっ、俺はRIZINに出られるんだ?』って」

――少し愚痴っぽくなっていますよ(笑)。RIZIN韓国大会が頭の中になかったとなれば、次もブラックコンバットに出場する可能性はあったのですか。

「ブラックコンバットからオファーはありました。でも前回はああいう内容で、ワタクシのほうもお怒りがありまして。そんななかでYouTubeの投稿を見て、ワタクシもインスタに投下しましたから」

【大原樹理とブラックコンバットについて、昨年末からの経緯まとめ】

●12/28 大原がムン・ギボムに敗れてBlack Combatライト級王座を失う。しかし試合は大原が3度のローブローを受けるも長時間の中断→再開を繰り返すという事態に。詳しくはこちら

●年明けにブラックコンバットがYouTubeにて、ローブローに関する対処について説明をアップ。「故意ではないため注意ならびに減点を与えた。ローブローを受けた箇所には血種、腫れが見られず、ドクターが試合続行可能と判断。大原が試合続行を拒否した場合、大原の棄権=敗北となる」と発表した。また、大原には再戦のオファーを出したことも明らかに。

●ブラックコンバットの発表に対し、大原は韓国向けのSNSで反論している。ここでは改めて大原が自身の反論について、次のように触れた。

「ブラックコンバットからオファーがあったのは事実です。でもYouTubeにアップされた動画を見ると、さも『大原樹理に全て説明しているから、あとは返事待ちだ』というような内容で。僕は直接説明を受けていないし、怒りが爆発しました。そんな形でYouTubeに声明を発表するということは、今後正式に直接説明を受けることはないだろう。だから引き続きブラックコンバットに出るかどうかは分からない――という状態でしたね」

――大原選手といえば試合間隔が短いことでも知られています。しかし2025年に入っても試合が決定しないのは、年末のダメージが残っているのかと思っていました。

「試合後、しばらくは痛かったです。とりあえずは安静にしているしかなくて。試合から2週間ぐらいは練習も休んで、『痛い』と言いながら年末年始を過ごしました。

ローブローの影響で試合後も肩を借りなければ立ち上がれなかった大原(C)MMAPLANET

そのあとRIZIN韓国大会のオファーが来ました。日程が5月31日と聞いて、『まずはゆっくり休んでから、試合に向けて練習を頑張る。しばらく試合はないけど、今年は後半頑張ろう』と考えましたね。後半3試合やらないと、年間4試合に達しないんですよ。だから5月の試合が終わったあと、7月、9月、12月とか(笑)」

――相変わらずの試合ペースですね。先ほど韓国国内での人気についてお聞きしましたが、RIZIN出場が決まって周囲の反応はいかがですか。

「SNSでは韓国のファンの方から『頑張れ!』というコメントを頂きました。ブラックコンバットでもRIZINでも、反応はそこまで変わらないですね」

――あぁ、日本にはファンがいないから……。

「アハハハ! 日本からの反応はありません(笑)。RIZINでルイス・グスタボに負けて(2023年9月に1R KO負け)以来の出場ですし、逆輸入ファイターですよ」

自分には打撃しかないので『狩るか、狩られるか』の試合になる

――RIZINで3連勝してあと、グスタボに敗れてライト級戦線から落ちたと言えます。「あの時勝っていれば……」と考えることはありましたか。

「正直、そう思うことはありますよ。勝っておきたかったです。でも負けても腐っているわけにはいかず、やれることをやるしかなかった。そこでブラックコンバットに出ることになり、韓国で名前が売れたからこそ今がありますからね」

――そのグスタボ戦があり、翌年からブラックコンバットに参戦。大原選手のキャリアにおいて、まさにターニングポイントになったと思います。

「グスタボ戦以降も、ずっとRIZINは視ていましたけどね。ただ、RIZINから話があったり、出場選手リストに挙がっていると噂を聞いても、その時は自分の試合が決まっていることも多くて。そんな感じでタイミングが合わない時もありました」

――それでは別にRIZINから嫌われているわけではないでしょう。大原選手の場合、1試合終えたらすぐ次の試合を決めているからであって。

「まぁ、そうですね(笑)。特に2023年以降はリベンジ込みで韓国へ殴り込んでいましたし。仮にタイミングが合っていたとしても、RIZINに出ていたかどうかは分からないです。自分にとってはピエロ(イ・ソンハ)へのリベンジが優先で」

――ピエロへのリベンジを果たし、ブラックコンバットのベルトを獲得したことで、自分の中で一つやり遂げたような気持ちはなかったですか。

「一つ区切りがついたな、って気持ちはありました。ピエロにリベンジした以上、そこまでブラックコンバットにこだわる必要もない。と言いながらも、RIZIN韓国大会の次にまたブラックコンバットに出ているかもしれないし、他の大会に出ているかもしれないし――今後のことは分からないです。ただ、自分の中で一つ区切りがついていたことは確かですね」

――その状態でいるところに韓国大会のオファーがあり、対戦相手もジョニー・ケースに決定した。ケースはRIZINライト級の海外勢で、上位の選手です。

「最初は『えぇっ……』と思いました。エグイの当ててきやがったな、って」

――――ケースに勝つと、RIZINライト級王者サトシへの挑戦が見えてきませんか。

「仮に今回勝って、次にサトシ戦が決まるとするじゃないですか。サトシに勝てるビジョンが、全く見えないんですよ(苦笑)」

――その言葉はファイターが口にしてはいけないと思います……。

「アハハハ! 今のサトシって、恐ろしい強さじゃないですか。でもケースに勝てば、RIZINも僕を無視できないでしょうね。そうなれば俺の勝ちだな、って思います」

――ケースにはどのような印象を持っていますか。

「強い。それしかないです。外国人選手特有の一発が……あの一発の強さは卑怯ですよ。ズルい」

――ズルい、とは(笑)。ただ、それだけ一発が強い相手との相性は……。

「ゴリゴリに悪いですよ! グスタボ戦まで一発でKOされるようなイメージを持っていませんでした。でもグスタボにKOされて、『外国人選手と対戦する時は本当に気をつけないといけない』と思いましたね」

――海外勢の一発に対する意識は、どのように克服していますか。

DEEPで数々の相手を蹴散らしてきたサッカーボールキック。ブラックコンバットでも炸裂していた(C)MMAPLANET

「克服できているんですかね? アハハハ。殴り合いはしたいけど、ガチャガチャ殴り合うのは止めます。もうちょっと『もらわずに当てる』とか、うまくやりたいですね。ただ自分には打撃しかないので、やっぱり『狩るか、狩られるか』の試合になるでしょうけど」

――サッカーボールキックありのRIZINルールで戦うことができるのは、大原選手にとっても良かったのではないですか。

「本当に良かったです。3点ヒザ、4点ヒザ、踏みつけ、サッカーボールキック有りはストライカー向けのルールですよ。次の試合は、いろんな意味でのリベンジが懸かっています。自分にとっても正念場になると思うので、しっかりジョニー・ケースに勝って『大原いたよね』と――ファンの方がいるなら――そう思ってもらえるよう頑張ります!」

■RIZIN WS KORE視聴方法(予定)
5月31日(日)
午後2時~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!

■RIZIN WS01対戦カード

<ライト/5分3R>
キ・ウォンビン(韓国)
ホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
キム・スーチョル(韓国)
佐藤将光(日本)

<ライト級/5分3R>
大原樹理(日本)
ジョニー・ケース(米国)

<女子スーパーアトム級/5分3R>
シン・ユリ(韓国)
ケイト・ロータス(日本)

<ライト級/5分3R>
キム・シウォン(韓国)
宇佐美正パトリック(日本)

<バンタム級/5分3R>
ヤン・ジヨン(韓国)
金太郎(日本)

<フェザー級/5分3R>
ジ・ヒョクミン(韓国)
武田光司(日本)

<フェザー級/5分3R>
ソン・ヨンジェ(韓国)
中原由貴(日本)

<63キロ契約/5分3R>
クォン・ヨンチョル(韓国)
三浦孝太(日本)

<キック67.5キロ契約/3分3R>
ジョ・サンへ(韓国)
宇佐美秀メイソン(日本)

<キック62キロ契約/3分3R>
カン・ボムジュン(韓国)
井上聖矢(日本)

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