【ONE FF116】王座奪還へ向けて与座優貴と対戦。ペッタノン「スーパーボンたちと最高の準備が出来た」
【写真】キックとムエタイルールを並行して戦うタイ人選手が多いなか、ペッタノンはキックルールに専念して王座奪還を目指している(C)TAKUMI NAKAMURA
18日(金・現地時間)、タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE FF116で、ペッタノン・ペットファーガスが与座優貴と対戦する。
Text by Takumi Nakamura
ペッタノンは2022年11月に秋元皓貴に判定勝利してONEキックボクシング世界バンタム級王座を戴冠。試合後に禁止薬物の陽性反応が出たためタイトル剥奪と1年間の出場停止処分を受けたが、出場停止明けの2024年6月にアラヴァディ・ラマザノフからTKO勝利を収めた。(※ペッタノンは肘で治療で使用した薬で陽性反応が出たと説明している)
その後は自身と対戦相手の計量&ハイドレーション失敗で2試合連続で試合がキャンセルという事態になり、今回の与座戦が約1年ぶりの試合となった。
ONEで活躍するスーパーボンやノンオーといったベテラン戦士たちと練習を重ね、キックボクシングでの王座返り咲きを目指すペッタノン。与座との一戦は日本でも大きな注目を集めており、ファイトウィーク直前=試合一週間前のペッタノンに話を訊いた。
――2024年6月のアラヴァディ・ラマザノフ戦以来、約1年ぶりの試合が近づいてきました。試合に向けたコンディションはいかがですか。
「試合は久しぶりだけど、準備はきちんと出来ているし、体も試合のためにフィットしている。今は来週の試合をものすごく楽しみにしているよ」
――2月のONE171「Qatar」でイリアス・エナッシとの一戦が予定されていましたが、エナッシの体重オーバー&体調不良により大会前日に試合がキャンセルになってしまいました。あの時はどんな心境でしたか。
「もちろんあの時はすごく動揺したし、気持ちも落ち込んだよ。でもそれはもう過去のことだし、私自身も前々回の試合で計量とハイドレーションテストを失敗してしまい、対戦相手、主催者、ファンの人たちに申し訳ないことをしてしまった(※ペッタノンは昨年12月のONE Fight Night 26でナビル・アナンと対戦予定だったが、試合前日に欠場)。故意に失敗したわけではなく、試合に向けて準備していた中で起きてしまったことなので、その経験から多くを学んだという風に捉えている」
――ペッタノン選手はスーパーボンやノンオーといったONEで活躍しているムエタイのベテランたちと一緒に練習していますが、彼らと練習することでどんなプラスがありますか。
「スーパーボンとは長い間一緒に練習していて、互いにこのチームをもっと強くするために日々努力している。私は自分でゲームプランを考えるけれど、スーパーポンと一緒に毎日スパーリングをして、スーパーボンからも意見を聞く。そうやって最高の準備が出来ているし、この試合に向けて本当に自信を持っている」
――対戦相手の与座選手にはどんな印象を持ってますか。
「彼はものすごく強くて、いいファイターだと思う。ローキック、カーフキック、他にも強くて多彩な蹴りを持っているし、パンチも強い。ファイトスタイルも自分からガンガン前に出てプレッシャーをかけて、あのファイトスタイルは素晴らしいと思う。しかも彼は体も強いから、この階級のトップレベルにいる選手だと思う」
――ペッタノン選手と与座選手はタイで練習したことがあるそうですが、その時のことは覚えていますか。
「もちろん覚えているよ。あの時はキックボクシングとボクシングのスパーリングをどちらもやったんだけど、その時はお互い互角の展開だったし、ヨザはテクニックがあるから楽しかった記憶がある」
――与座選手は空手がバックボーンで、ムエタイとは違う空手式の蹴りを得意にしています。与座選手の蹴りをどう見ていますか。
「彼の蹴りは空手をベースにしていて、自分もすごく評価をしているよ。ただ私の蹴りの方がスピードもパワーもあると思っている。試合ではそれを見せたいね」
――ペッタノン選手としてはどんな試合をしたい、見せたいと思っていますか。
「繰り返しになるけれど、与座は素晴らしい選手で体も強い。この試合はどちらが有利というものではなく五分五分の試合になると思っている。もちろん自分も強い選手だという自負があるし、パワフルでスピーディーな動きもできるから、そういうところを見てもらいたいね」
――ペッタノン選手としては与座選手に勝って再びタイトル戦線に絡んでいきたいですか。
「願わくば与座に勝ってタイトル挑戦権を得れたらいいなと思うけど……本当に願わくばって感じだね」
――ペッタノン選手はONEでキックルールの試合がメインになっていますが、MMAグローブのムエタイルールに興味はありますか。
「もちろん私はムエタイがベースなのでムエタイの試合をやらないということはない。ただ今はキックボクシングのベルトが欲しいので、キックボクシングの試合に集中したい。自分の考えとして、ムエタイとキックボクシングを行ったり来たりすることはあまり上手くいかないと思っているので、今はキックボクシングのベルトを獲ることに専念し、それを達成できた時の次の目標としてムエタイに挑戦することはあると思う」
――ペットノン選手の目から見て、ONEで行われているMMAグローブのムエタイはどんな感想を持っていますか。
「ONEのムエタイは伝統的なムエタイとは違う……全く別物だと思って見ている。より試合がエキサイティングなものになり、見ていて面白い。私が見ていてもONEのムエタイは面白いし、いつも興奮しているよ(笑)」
――ONEがFriday Fightsシリーズを開催し、ムエタイルールの試合を組むことで、ムエタイそのものがギャンブルからスポーツに変わりつつあると思います。その状況をペッタノン選手はどう捉えていますか。
「ONEのおかげでムエタイがギャンブルからスポーツやエンターテイメントに移行しているんだなと感じることは多い。今までスタジアムの客席にはギャンブラーしかいなかったけど、ONE Friday Fights(ルンピニースタジアム)の客席にギャンブラーはいなくなった。またムエタイという競技が認知され、選手も有名になってきた。昔は誰も私のことを知らなかったけど、今はショッピングモールで声をかけられる回数がものすごく増えた。ONEのおかげで色んな人・多くの人にムエタイが応援されるものになったと思う」
――11月にはONE日本大会の開催も決まりました。日本で試合をしたいという気持ちはありますか。
「この試合に勝てれば、タイトルマッチも見えてくると思うし、それを日本で出来たらすごい嬉しいし、それを望んでいる。私とスーパーボンが同じ日に日本で戦うのも面白いと思う」
――ちなみにペッタノン選手の対戦相手の与座選手、スーパーボンと対戦する野杁正明選手、ノンオーと同じ階級の武尊選手が同じチームということは知っていますか。
「もちろん知っている。日本大会で武尊選手の相手が決まっていないんだったらノンオーを連れていくよ。今回の私と与座、スーパーボン×野杁、ノンオー×武尊。タイと日本、ムエタイのベテラン軍団とチームバシレウスが戦うことになったら、見ている人たちは面白いと思うよ」
――今回の一戦は日本でも非常に注目されています。日本のファンにメッセージをいただけますか。
「まず、いつも応援してくれている皆さんに感謝したい。そして私の試合を待ってくれていてありがとう。自分のコンディションは最高だし、ベストな状態でいい試合を見せることを約束する。自分は今39歳で、年を取っていると思われるかもしれないが、決してそんなことはない。今でも強い姿、トップ選手たちと戦える姿を見せたいし、与座をはじめ若いファイターを相手にしても勝てるところを見せつけたいと思う」
■視聴方法
7月18日(金・日本時間)
21時30分~ U-NEXT