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【ONE FF109】ラウンドマストをどう戦うか。与座は試合巧者オスマノフ、海人は技巧派シアサラニと対戦

【写真】オスマノフ×与座(左)とシアサラニ×海人(右)、日本のトップ2人が揃ってONEデビュー戦を迎える(C)ONE

 23日(金・現地時間)、タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE Friday Fights 109。今大会には日本が誇る2人のファイター=元K-1ライト級(62.5キロ)王者の与座優貴とSB世界スーパーウェルター級(70キロ)王者の海人が揃って参戦。
text by Takumi Nakamura

毎週金曜日にルンピニースタジアムで開催されているONE Friday Fightsシリーズだが、日本のファンにとってはナンバーシリーズやFight Nightシリーズ同様に注目の大会となった。

与座は今年4月にK-1との契約終了とフリーエージェントになったことを発表。新たな戦いの場としてONE Championshipを選び、今大会ではONE戦績6戦6勝のエルブルース・オスマノフとキックルールで対戦する。

一方の海人は3月のONE日本大会でマラット・グレゴリアンとの対戦を予定していたものの、グレゴリアンが計量をクリアできず試合が消滅。グレゴリアンとのリマッチが調整されるなか、ONE Friday Fightsに参戦してキック・ムエタイの二刀流=モハメド・シアサラニとこちらもキックルールで対戦する流れとなった。


与座と対戦するオスマノフはONEデビュー戦でパットサンレック・PKセンチャイをKOしたバックスピンキックをはじめ回転系の技を得意とし、ONEだけでなく通算戦績12戦12勝と無敗を誇る強豪だ。海人と対戦するシアサラニはムエタイルールでシッティチャイ・シッソンピーノンからダウンを奪って勝利したことで注目を集め、キックルールでは野杁正明に土をつけたリウ・メンヤンからも判定勝利している。

オスマノフとシアサラニは共に他の選手にはない特徴や実績を残すファイターでありつつ、対戦相手として見た時に最も厄介な点は試合運びやゲームメイクの上手さだ。オスマノフは派手な回転技に注目されるが、対戦相手のファイトスタイルや戦況によって戦い方を変える器用さを持ち合わせている。

パットサンレック戦ではガードを下げた構えで距離を取りつつボディへのスピニングバックキックでKOしたが、続くガオナー・ソー・ジョー・トンプラジン戦ではガードを高く上げてパンチで距離を詰める圧力型のスタイルに戦い方を変えていた。直近のネイサン・ベンドン戦では距離を取る・詰めるところをラウンドの間に使い分け、回転系の技でビッグヒットの印象を残しながら判定勝利を収めている。

シアサラニもシッティチャイから右ストレートでダウンを奪ったシーンの印象が強いが、それ以外の場面ではシッティチャイと蹴りの攻防でひけをとらず、パンチのカウンターと首相撲を駆使してシッティチャイの攻撃を阻止。メンヤンとの一戦でも、野杁を苦しめたメンヤンの前進力とフィジカル的な強さをステップワークで翻弄し、ここでも巧みなカウンターでメンヤンをポイントアウトしている。

ONEにチャレンジする日本の立ち技ファイターがぶつかる一つの壁が3分3R=ラウンドマストであること。日本の立ち技団体でラウンドマストを採用している団体はほぼなく、初参戦の選手はONEの採点システムに則ってどう戦うかが求められる。

新生K-1時代の与座はラウンドマストでの試合経験はなく、海人もGLORYのティジャニ・ベスタティ戦でラウンドマストの試合を戦っているが、その経験が多いわけではない。逆にオスマノフは戦い方に緩急をつける・回転技を狙うことでジャッジへのアピールが上手く、シアサラニのミドルを蹴りながらパンチのカウンターを狙うムエタイ的なスタイルはONEのジャッジに評価されやすい傾向があると言える。

与座の与座キック(相手の奥足の内側への三日月蹴り)をはじめとする空手式の技は他の選手にはないオリジナルの武器であり、海人もこれまでスピード・手数・多彩な攻撃のバリエーションで数々の70キロの世界の強豪たちを撃破してきた。ONEでも十分に通用する武器を持っている2人だからこそ、それぞれの武器を活かすための試合運びが必要とされるONEデビュー戦だ。

■ONE FF109視聴方法(予定)
5月23日(金)
午後9時30分~ U-NEXT

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