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【LFA215】エリック・シェルトン戦へ、上久保周哉「僕は次に進むから『邪魔すんなよ』って」

【写真】今回はLAでメディカルを受けたため、日曜日に現地入り。月曜日と火曜日にはマチダ空手を借りて、汗をかいた (C)MMAPLANET

22日(金・現地時間)にカリフォルニア州ベンチュラのベンチュラ・カントリー・イベンツセンターで開催されるLFA215「Miranda vs Barzilay」で、エリック・シェルトンと対戦する上久保周哉。
Text by Manabu Takashima

MMAを続けることと、UFCを目指すことが完全に一致している――一途な想いを改めて、真のMMAファンの皆さんに届けたい。


Road to UFCでダメだったから、UFCでなくても次があるって僕は割り切れない

コーナーは頂柔術の磯野元氏。MMAだけでなく人生観でも、一体感のある二人だ

――2月のナイアガラフォールスでのLFAデビューから半年、今回はLAの北に位置するベンチュラで第2戦目を戦います。

「前回は色々な設備があるのは、当たり前じゃないというのを学びました。マイナス15度、外に出られなくてスーパーにも行けない。食べ物がなくて、ほとんどリカバリーもできなかったです(笑)。それでも創れたから。LAは3回ぐらい来ていて気候も知っていて、過ごしやすいです。しっかりとジムを使って動けたし、圧倒的にやりやすさはあります。

ファイトウィークのスケジュールも同じじゃないけど、そこは鈍感で(笑)。それもこれまで色々な大会に出てきて、いっぱい経験してきたことで今の自分を創れたと思います」

――この間Road to UFCも行われていますが、素直に日本勢の結果を見て上久保選手はどのように感じられていましたか。

「僕自身は短期間で試合を重ねるというトーナメント戦に向いていないことも自覚しているし、LFAで勝ち続けることが意味があるともう思っていたので、Road to UFCのことを考えていなかったですね。

バンタム級に関しては、日本から誰が出てもこの結果になる可能性はあったと思います。まぁ、言っちゃうと日本人選手が賭けている度合いと、他の国の皆が賭けている熱量に差があると僕は思っています。本当にその熱量の差が、試合結果に出ている」

――自分は正直なところ、Road to UFCができたことで一点勝負でUFC出場機会が増えたと燃える他の国のファイターと比較して、なんちゃってUFCを目指したいファイターが多い国が日本だと思っています。

「本当に自分がUFCを戦う姿をイメージできているのか。本当にUFCで戦っていきたいのか。オファーが来たから試合をしているんじゃなくて、本気でUFCを目指して、本気で人生を賭けてきて『ここで勝負を賭けないと』という想いを持っている選手って、海外の選手の方が物凄く多いと感じます。

本当に1試合、1試合に人生が左右されることへの危機感とかプレッシャーとか。持っているモノが違うというのはRoad to UFCだけでなくLFA、UAEWで感じてきました」

――他に選択肢があることで、非UFCファイターでも一軍が出場していない。年数を重ねた分だけ、力のある選手の出場も減ってきた感もあります。

「極力、毎年違うメンツを出そうとしていると、上から選手を取っていくから。シーズンが続けば、次、次となっちゃいますよね。う~ん、Road to UFCに出ている選手に悪い感情を持っているわけじゃないけど、井村塁選手や伊藤空也選手より、井上直樹選手の方が強いと僕は思っています。井上直樹選手がRoad to UFCで戦うとどうなるのか分からないけど、井上直樹選手は強いと思っています。

本気でUFCを目指して始めたわけじゃない選手が、UFCに行けるかも――ぐらいの乗りで出ているのと、自分が違うというわけじゃないけど……僕はRIZINが無い時にMMAを始めて、日本の団体のことも知らず、UFCしか知らなかったから。ずっとUFCで戦いたいという想いでやっているし。

若いうちに米国でドミニク・クルーズの練習を見たりして『世界一の選手はこれだけやっているんだ』と思って、10年以上やってきました。Road to UFCで結果を残せなくて、弾かれたけど全然諦められないし、Road to UFCでなくても突き進んでいく。UFCを目指すことが、僕がやってきたことを肯定するというわけじゃないけど……Road to UFCでダメだったから、UFCでなくても次があるって僕は割り切れないだけです」

――そういう上久保選手のようなファイターが集まってくるのが、LFAではないですか。

「本気でUFCを目指している人しかいなくて。そのために自分の国を出て米国に来ている。覚悟が違う選手が多いです」

今大会は屋外でパブリック・フェイスオフがスケジューリングされていた

――今回も初陣に続き、マルコス・ブレノからエリック・シェルトンに対戦相手が代わりました。

「良い相手がやっときたなって。嬉しかったです。前回、最初に戦う予定だったタジキスタンの相手と同じように、UFCラインにいる強い選手と戦えます」

――TUFシーズン24のメンバーで、UFCをカットされてからもフィーダーショーで戦い続けている。相当な想い、覚悟がある選手かと。

「持っている熱量は半端じゃないと思います。ベルトも3つぐらい巻いていて。UFCで負けた試合も接戦だった。きっと彼は『負けていない。俺は強い。UFCに戻ることができる』と思いながら戦い続けているはずで。そういう選手と人生の取り合いじゃないけど、それをしないといけない。そこに対する熱量と想いがないと、そういう選手とは戦えないと思います。エリック・シェルトンの想いを越えて、僕は次に進むから『邪魔すんなよ』って思いますね(笑)」

あそこで勝負に行くってなったのは、僕なりのUFCを諦めていない気持ちだと思ってください(笑)

――スタイル的にはどのような選手だと、理解していますか。

「打撃、特に右のパンチは長距離、近距離、全部冴えています。組みも勿論できて。スクランブルの巧さがあります。僕がやることは変わらないです。とにかく、相手を削って自分の時間を長くして、自分のペースに持っていく。どんな形でも良いから勝ちを取りに行く。万人に好かれる試合じゃないけど、全力を尽くしてどんな手を使っても勝ちに行きます」

――それはRoad to UFCなら当てはまると思うのですが、LFAもコンテンダーシリーズ・ファイトが望まれています。

「フィニッシュが求められていることは分かってはいます。それでも戦い方は変えられないから。派手に戦って勝てるかもしれないけど、負けるかもしれない。そんな博打のようなことはできない。UFCはそれを求めているだろうけど、根本にある勝たないと意味がないという部分は変えられない。偶然には頼らないし。セオリー通りに戦えば、偶然は起きないから。やってきたことを信じて戦うつもりです」

――とはいっても、一本勝ちが続いています。

「フィニッシュ力がないと言われてきたなかで、フィニッシュできないんじゃなくて安全策をとって仕掛けないことがありました。でも、ここ数試合は勝負する時間帯を創るようにはしています。前回のタツミツイスターも、残り30秒でコントロールしてラウンドを終えることや、ダメージを与えて2Rに向かうこともできました。でも、あそこで勝負に行くってなったのは、僕なりのUFCを諦めていない気持ちだと思ってください(笑)。

フィニッシュをしないといけないかもしれないけど、フィニッシュを狙い博打をして負けるようなことがあれば自分を許せない。あくまでもどんな手を使っても勝つことが大事で、そのなかでフィニッシュを狙う。それが今のスタンスで。ただフィニッシュ力は磨いていて。練習の時も疲れて守るのでなく、そういうところでいくとうテーマを持って数年間やってきたから。それが今、結果として出せるようになってきたのかなって思います。

プロセスを飛ばして勝てる選手、それが努力の結晶だったり才能だったりする選手はいます。僕は勝ちにつながる道をしっかりと創った上でのフィニッシュ……に持っていくしかできないから。どれだけ見栄えが悪くても、それが僕のなかでどんな手を使っての勝ちに行くということです。

ドロドロの試合にして、最後はフィニッシュにいく。そういう想いでやってきて、その姿勢があるから判定でも勝てるようになった。そういう戦い方が、どんな強い選手にも通用する。それを証明していくしかないので、そこを貫きます。全力を尽くして相手を削り、二度と僕と試合をしたいと思わせない。ここはずっと変わらないです」

■視聴方法(予定)
8月23日(土・日本時間)
午前11時00分~UFC FIGHT PASS

■ LFA215メイン対戦カード

<LFAライト級選手権試合/5分5R>
[王者]リッチー・ミランダ(米国)
[挑戦者]イライ・ブラジライ(イスラエル)

<LFAフライ級選手権試合/5分5R>
[王者]エドゥアルド・シャポリン(ブラジル)
[挑戦者]デヴォン・ロジェイ(カナダ)

<136.4ポンド契約/5分3R>
上久保周哉(日本)
エリック・シェルトン(米国)

<150ポンド契約/5分3R>
クリス・マカーテ(米国)
エリッキ・ヴィスコンジ(ブラジル)

<フライ級/5分3R>
マイケル・レイエス(米国)
エイドリアン・ガルシア(米国)

<バンタム級/5分3R>
アーノルド・ヒメネス(米国)
ハファエル・ド・ナシメント(ブラジル)

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