【Just Curious 2025~2026】それぞれのカラーと方向性がより明確に――。国内立ち技格闘技の展望
【写真】各団体の特徴と方向性が色濃く出る。そこがイベントとしての魅力になる。それが立ち技格闘技の楽しみ方とも言えるだろう(C)MMAPLANET
2025年を終え2026年を迎えたタイミングで、MMAPLANET執筆陣が昨年の格闘技シーンにおいて、妙に気になった出来事が今年にどうつながっていくのか――を想い巡らせコラム調で気軽にお伝えしたいと思います。題して「Just Curious 2025~2026」、第三弾は中村拓己が取材した立ち技団体の今後の展望について書き綴ります。
Text by Takumi Nakamura
RISEはGLORY・RWSとスクラムを組み、ONE FFにも選手を派遣。これまでにない規模での世界展開へ
国内の立ち技格闘技は各団体がそれぞれのルールでカラーを打ち出し、海外選手を招聘して大会を行っている。いわゆるキックルール(ヒジ・首相撲なし)で年間4回のビッグマッチと10回の後楽園大会を開催しているのがRISEだ。RISEは自団体内の世界タイトルと世界トーナメント=WORLD SERIESを軸に、海外団体との交流を強化して世界路線を構築している。
RISEは2022年からGLORYとの提携を本格的にスタートし、GLORYへの選手派遣とRISE内での対抗戦を実施してきた。その提携の中でエポックメイキングな大会になったのが2024年12月に開催したGLORY RISE FEATHER WEIGHT GRAND PRIXだ。これはRISEとGLORYが誇る65キロのトップファイターたちが一堂に介し、8選手参加のワンデートーナメントで世界一の座を争った。(元RISE世界スーパーライト級王者・現GLORY世界フェザー級王者のペットパノムルン・キアットモー9が優勝)
2025年はさらに規模を拡大し、総勢24選手参加・約1年をかけて行われるGLORY×RISE LAST FEATHERWEIGHT STANDING TOURNAMENTをスタート。2026年3月大会ではRISE・GLORYブロックの3回戦が2試合ずつ組まれ、ここを勝ち上がった両ブロックの代表選手4名によるワンデートーナメントが6月に予定されている。
65キロでの交流が主となっていたRISEとGLORYだが、2026年は重量級にも着手。2025年末にRISEライトヘビー級(90キロ)王者の南原健太がGLORYミドル級(85キロ)5位のフランシス・ゴマに判定勝利し、本格的にGLORYミドル級王座を目指すことを宣言し、2026年はGLORYのランカーとのマッチアップが予定されている。65キロに加え、85キロでのRISE×GLORYの交流が本格化していくことになる。
そしてRISEは昨年11月にムエタイのビッグイベントRWS(ラジャダムナン・ワールド・シリーズ)と選手派遣を含めた交流も発表。その第一弾としてRISEの現役世界王者である大﨑一貴が年末にラジャダムナンスタジアム80周年記念興行で、同スタジアムのバンタム級王座に挑戦を果たした。
これを皮切りに2026年は両団体の選手がそれぞれの団体で、それぞれのルールに挑戦し、年末のビッグマッチで対抗戦形式の試合を組むことも計画されている。大﨑の挑戦は判定負けという結果に終わってしまったが、RISEにはヒジ・首相撲ありのムエタイルール出身の選手も多く、RWSとの交流で今までにない活躍を見せる選手も出てくるはずだ。またGLORYが65キロより重い階級での交流が主となるのに対し、RWSは65キロよりも軽い階級の選手層が厚く、軽量級のファイターたちにとって新たなチャレンジの場、モチベーションを向ける場にもなるだろう。
さらにRISEではONE Friday Fights(ONE FF)に選手を定期的に派遣することも予定しており、2026年はGLORY・RWSとのスクラムを組みつつ(※GLORYとRWSも友好関係にある)、ONEにも選手を派遣。団体内では世界タイトルとWORLD SERIESを軸にマッチメイクを組んでいくという、これまでになかった規模での世界展開に踏み出す1年になるだろう。
KNOCK OUTは複数ルールの強みを生かした選手発掘・起用・育成。ビッグネームの獲得にも期待
MMAグローブによるムエタイルール=REDルールの導入、UNLIMITEDルールの本格スタート、団体独自のオクタゴンリングの導入、トレーニング施設=KNOCK OUT 常葉アリーナの運用など、既存の団体にはない新たな試みを次々と仕掛けているKNOCK OUT。
外国人選手の起用に関しても、カンボジアのクンクメール勢を発掘したように、元K-1王者・軍司泰斗との2連戦で名を上げたゲーオガンワーン・ソー.アムヌワイデッー、中島玲に連勝してBLACK(キックルール)王者になったユリアン・ポズドニアコフなど、日本になじみの少なかった強豪外国人をレギュラー参戦させることで、日本人のライバルとして育ててきた。
また元K-1王者のゴンナパー・ウィラサクレックをREDルールで招聘し、ONE FFのレギュラーファイターだったらプンルアン・バーンランバーをUNLIMITEDルールに挑戦させるなど、RED・BLACK・UNLLIMITEDと三つのルールがあることを活かしたマッチメイクを続けている。
2026年もKNOCK OUTならではの選手発掘と起用による育成はもちろん、ONEと契約を終えたシッティチャイ・シッソンピーノンと複数試合契約したようなビッグネームの獲得にも期待がかかる。
SBは新世代の台頭+変わらぬ他団体・他競技との交流
2025年に創設40周年を迎えたシュートボクシング(SB)は、長年エースとして活躍してきた海人が海外挑戦=ONE Champiobshipへの挑戦を表明すると共に「SBのエースという座を次の時代の若いシュートボクサー達に譲りたい」と新世代へのバトンタッチを口にしていた。
この言葉通り、2026年は海人より下の世代の選手たちが団体を担うことになる。その主軸になるのはGLORY×RISE LAST FEATHERWEIGHT STANDING TOURNAMENTに参戦中の笠原弘希と友希の笠原兄弟、S-cup2025にも出場した双子シュートボクサーの山田彪太朗・虎矢太の山田ツインズのシーザージム勢だ。
SBルールの幅の広さを活かしてRISE、KNOCK OUT、各キック団体、そしてRIZINやMMA団体との交流、ONE FFへの選手派遣を継続しながら、団体内で世代交代を進めていくことが2026年の大きなテーマになりそうだ。
最後に国内ではないが、日本のトップ選手が多数参戦しているという部分でONEについても触れたい。2023年以降、武尊を筆頭に野杁正明、KANA、与座優貴、安保瑠輝也、和島大海といった元K-1王者、ムエタイでは吉成名高がONEと複数試合契約を結び、ONE FFにも日本人選手が毎週参戦。2025年はナンバーシリーズが日本で2大会開催された。2026年もすでに4月の日本大会=ナンバーシリーズが決定しており、ONEとしても日本大会がイベント自体の軸となりつつある。前述の海人のようなONEへの挑戦を目指す日本人の新規参戦を含め、今後のONEの日本展開には注目したい。














