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【KNOCK OUT】TKOF UNLIMITED60キロT出場、平川蓮斗「UNLIMITEDルールだったら負けんぞ」

【写真】キックボクサーでなく、プロMMAの経験もない。UNLIMITEDによって、過去にないキャリアの積み方をしている (C)TAKUMI NAKAMURA

11月1日(土)に福島県田村市にある常葉アリーナで開催される「THE KNOCK OUT FIGHTER UNLIMITED 60キロ・トーナメント」にて平川蓮斗がオルベン・キンジと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

今回のトーナメントは11月にワンマッチで1回戦が行われ、12月30日の代々木大会で準決勝・決勝をワンデー形式で実施。優勝者にはUNLIMITEDスーパーフェザー級王座への挑戦権が与えられる。

キック、MMA、中国武術と様々なバックボーンが集まったUNLIMITEDルールのトーナメントにおいて、平川は「THE KNOCK OUT FIGHTERシーズン2」にも出場し、UNLIMITEDルールでキャリアを積んできた生粋のUNLIMITEDファイターだ。

プロでの戦績やキャリアでは他の選手に後塵を拝している平川だが、UNLIMITEDルールの経験値をフル活用して、トーナメント制覇を目論む。


――KNOCK OUTのUNLIMITEDルールで試合を続けている平川選手ですが、MMAPLANET初登場ということで基本的なことから聞かせてください。格闘技を始めるきっかけはなんだったのですか。

「もともとは小学2年生から中学3年生まで伝統派空手をやっていたんですよ。で、中学を卒業してから仕事を始めて、自分の先輩が地下格闘技の大会を主催していたんですね。それで僕が空手をやっていたことを知っていて、『試合に出てみやんか?』と言われて、地下格闘技の試合に出ました。そこでは2~3試合やったんですけど、格闘技の練習は全くやってなくて。そんなノリでただ格闘技が好きな人みたいな感じだったんですけど、ちょうど仕事を辞めることになって、格闘技は今のうちしか出来んよなと思って、去年の4月に上京して、本格的に格闘技を始めました」

地元ではガチスパーしかやったことがなかったから、会員さん相手にガンガンやっちゃって(笑)

――地下格闘技の試合に出ることに恐怖心はなかったですか。

「よく分からない変な自信は持っていたんで大丈夫でした。俺ならいける、みたいな」

――いわゆる不良で喧嘩もよくやっていた系だったのですか。

「そうですね。喧嘩をしてないと言えば……嘘になります(笑)」

――お察しします(笑)。ただ仕事を辞めて上京して真剣に格闘技をやりたいという考えが芽生え始めたのですね。

「ちょうど上京する半年前くらいに出た試合で負けちゃったんですよ。それが悔しくて練習するようになって。ただ練習と言っても地元にはジムがないし、格闘技好きな人が集まって、先輩がやっていたごはん屋さんの2階の座敷の部屋にマットを敷いて見様見真似でやるレベルでした(笑)」

――東京にはジムもたくさんあるわけですが、なぜHEARTSを選んだのですか。

「たまたま自分の知り合いでHEARTSに通っていた人がいて、上京して2日目にHEARTSに体験に行ったんですよ。それが天弥くんがインストラクターをやっているキッククラスで。最初に天弥くんから『プロ志望ですか?』と聞かれて、僕はジムに入った経験がないからジムのシステムもよく分からなくて、とりあえず『プロ志望です』って答えたんです。それでマススパーリングに混ぜてもらうことになったんですけど、地元ではガチスパーしかやったことがなかったから、会員さん相手にガンガンやっちゃって(笑)」

――確かに空手の格闘技歴があるとはいえ、地下格闘技しかやっていなくて、みんなで見よう見まねで練習している身からすると、マススパーとガチスパーの違いも分からないですよね(笑)。

「そうしたら異変を感じた天弥くんが出てきて『俺が相手するから』となって、天弥くんにぶっ飛ばされて鼻血ブーでした(笑)。そのあとに天弥くんから『本気でプロ志望だったら明日プロ練をやっているからプロ練に来て』と言われて、言われた通りに次の日のプロ練に参加して、そのまま入会しました」

――まさに波乱の格闘技人生のスタートですね(笑)。天弥選手とスパーリングして、プロの凄さや強さを感じたのですか。

「天弥くんは僕の4つ上で『4歳しか違わないのにこんなに差があるの?』とか『俺は4年後にここに追いつけるの?』くらい思ったんです。自分は上京するまでタバコを吸ってたんですけど、タバコなんて吸ってる場合じゃねえなと思ってタバコも辞めたし、全部捨てて格闘技に費やさないと、ここまで強くなれないなと思いましたね。だから天弥くんのおかげでめちゃめちゃ気合いが入りました」

――そんな平川選手ですが、どういった経緯でUNLIMITEDルールに挑戦することになったのですか。

「HEARTSに入って半年ぐらいのタイミングで、KNOCK OUTの企画(THE KNOCK OUT FIGHTER)で大沢(ケンジ)さんと鈴木千裕さんのチームが対抗戦をやることになって、大沢さんに声をかけてもらいました。自分は東京に来たばかりだったし、メディアにも出るチャンスだと思って、そのチャンスに乗っかったらトントン拍子で話が進んで、今も出させてもらっている感じです」

――UNLIMITEDルールはMMAとは似て非なるルールですが、UNLIMITEDルールで勝つうえで何が必要だと感じましたか。

「MMAはテイクダウンしたら相手を抑え込まないといけないですが、UNLIMITEDルールはテイクダウンして抑え込んでしまうと、すぐにブレイクがかかる。だから変に抑え込もうとすると余計に体力を消耗するので、テイクダウンしたらすぐパウンド、もしくは抑え込まずに立ち上がってサッカーボールキック、そういう動きが重要だと思います」

――その辺りの感覚は練習していくなかで掴んだものですか。

「特にサッカーボールキックだったり、打撃と寝技の際を狙ったりする攻撃はものすごく意識しています」

――平川選手のUNLIMITEDルールの試合を見ていると相手の倒れ際や立ち際を狙って躊躇なくサッカーボールキックを蹴っていたので、そこは常に意識しているのですね。

「そうですね。あとサッカーボールキックはどうしでも練習では出来ないので、試合でやりながらスムーズに出るようになりました」

HEARTSのスタイルとUNLIMITEDルールは相性がいい

――最終的にはMMAの試合を考えていると思いますが、UNLIMITEDルールを戦うことでMMAに活きるものはありますか。

「あくまで自分の感想なんですけど、日本のMMAは攻撃のテンポがそんなに早くないというか。UNLIMITEDルールをやっている選手は試合が始まったらスタートからガーッと攻める。そこのテンポが違うと思うんで、このテンポの速さは僕らがMMAに行った時に、MMAの選手がびっくりするんじゃないかなと思います」

――当然、MMAで勝つためにスクランブルや寝技の攻防は必要ですが、そうなる前に試合を終わらせる打撃を身につけておくことも重要です。まさにUNLIMITEDルールはそのスキルを伸ばすルールだと思いました。

「僕はスタンドで打撃の攻防をやって、ダウンを奪ってからどんな攻防をするか。そこがキックボクシングでは違うと思っていて。UNLIMITEDルールは相手を打撃でダウンさせて、寝転がっている状態でも打撃を当てられるので、そこの打撃がめちゃくちゃ重要だと思います」

――ちなみに平川選手は普段はMMAの練習をしているのですか。

「そうですね。UNLIMITEDルールに出だしてからも、特にUNLIMITEDルールのための練習はしていないです。練習や試合のなかでルール意識して少し変えるぐらいです」

――速いテンポで攻撃するだったり、自分からアタックするという部分では大沢さんの考えやHEARTSのスタイルがUNLIMITEDルールには合っていますよね。

「はい。初めから行くっていう。HEARTSのスタイルとUNLIMITEDルールは相性がいいから、これだけ勝ち進んでいける気がしています」

――次戦はUNLIMITEDルールの60キロ・トーナメントに出場し、一回戦でオルベン・キンジと対戦することになりました。オルベン選手の印象を教えてもらえますか。

「この前の記者会見で見ただけで、試合は見てないです。相手のことよりも自分がやるべきことをやって、しっかり1RでKOして、いつも通り勝ち進みたいと思います」

――トーナメントで優勝すれば、スーパーフェザー級王者への挑戦権が与えられます。ベルトは意識していますか。

「もちろん優勝を狙っていますし、僕が優勝するのが一番面白いと思うんで、ここで優勝してタイトルに近づけていけたらいいなと思います」

――今回のトーナメントはMMA系の選手だけでなく、町田光選手や瑠夏選手のようなキックボクシング系、さらにタン・フォンのような中国武術系の選手も出場します。そのなかでUNLIMITEDルールは自分が盛り上げてきたという想いはありますか。

「他の選手たちの方が格闘技のキャリアはすごいと思うし、自分とはやってきたことも違うかもしれませんが、UNLIMITEDルールだったら負けんぞってところをちゃんと見せたいです。UNLIMITEDルールはキャリアに関係なく勝てるルールだと思うし、決してキックボクサーが強いルールではないと思います」

――将来的にはUNLIMITEDルール育ちの自分がチャンピオンになって、MMAの舞台でも活躍していきたいですか。

「そうですね。今KNOCK OUTでここまで試合を組んでもらって、そこへの感謝もありますし、新しい形としてUNLIMITEDルールから来たMMAファイターとして世に出ていけたらなと思っています」

■視聴方法(予定)
11月1日(土)
午後1時00分~KNOCK OUT公式YouTubeチャンネル

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