【RIZIN】柏木さんと会議室MMA談議─02─「今のRIZINならグローバル、本当に世界基準で強くなれる」
【写真】多忙ななか、しっかりとMMAとMMA界について語ってくれて感謝です(C)MMAPLANET
超RIZIN04を終え、RIZIN51を控えた9月18日に行った柏木信吾氏インタビュー。1時間以上の取材時間の半分近くを、柏木氏は11月3日(月・祝)開催のRIZIN LANDMARK12に見られる一つの事例について語っていた。
text by Manabu Takashima
MMAに見られる急速な立ち技の間合いの変化は、どのような近未来を創造していくのか。そんなMMA技術史から、2026年に見られるかもしれないUFCの変化。そのUFCを目指すと公言している山内渉と松嶋こよみのRIZIN参戦は、ある意味、J-MMAの深層に関わってくるターニングポイントになるやもしれない。
UFCとRIZINは、北米と日本のMMA文化の差異から長らくリンクしないという風潮が見られた。その固定概念を切り崩すことが念頭にあるわけではないが、柏木氏の発掘した外国人ファイターたちが見せる力が、いわゆる非RIZINファイターとRIZINのベクトルを変えた。
強さを追求する。その一点において、RIZINという舞台に新たな潮流が起ころうとしている。
<柏木信吾氏インタビューPart.01はコチラから>
MMAは凄く変わってきています
――MMAの変化、どういうことでしょうか。
「今年に入ってから、ヒジのテクニック。ヤバくないですか(笑)。それも首相撲でなくて、合わせるヒジがめちゃくちゃ凄くて。スピニングバックエルボーもそうだし。あんな合わせづらくて、背中を見せるような動きはそうは見られなかったですよね。
本当にMMAが別の生き物として生まれ変わっている。進化している過程をまざまざと見せつけられているような気がします。今年だけでスピニングバックエルボーでのKOをいくつ見たんだろうって。
Noche UFCのジエゴ・ロピス、UFC319のレローン・マーフィー、PFLでもアルフィー・デイヴィス。メジャー系でもこれだけ決定機となっている。
MMAはホイス・グレイシーの柔術から始まりました。マーク・コールマンやマーク・ケアーのレスラー時代。そしてモーリス・スミスが、簡単に倒れないストライカーの走りになった。NHBからMMAに移ると、パット・ミレティッチやマット・ヒューズの何でもやるけど渋いファイトが増えてきて。
次はGSPのMMAアスリートというべき、テイクダウン&コントロールの時代。フランキー・エドガーやドミニク・クルーズのステップ&テイクダウン、さらにジョン・ジョーンズのリーチを生かした打撃とテイクダウン、グラウンドコントロール。
簡単にテイクダウンできないようになって、また倒す打撃になってきた。MMAのベースを大きくしていくようなコナー・マクレガーやマックス・ホロウェイが来て、イスラエル・アデサニャだ。アレックス・ポアタンだと、ストライカー全盛期。同時進行でダゲスタン系のようなテイクダウン&パウンドが強いけど、打撃にも圧があるファイターの時代が並行していて。
そうしたら一方でマラブ・デヴァリシビリだ、カムザット・チマエフというテイクダウン&コントロール、あるいは極めという強さを見せるファイターたちが凌ぎを削っている。その間に、エルボーという要素が加わってきました。特に首相撲じゃない、クリンチでないところでのエルボーですよね」
――打撃の距離が近づいたからだと思います。
「それは、どういうことですか」
――ストレートが届く距離に立って、コンビネーションがスリーからフォーまである。ボディフックを打てる距離が通常化している。組みに入るのも、よほどのレスラーでないと打撃でコントロールしていないとクリーンに倒せない。その距離だから合わせるエルボー、スピニングバックエルボーが当たる。
「なるほどぉ。そういうことかぁ。本当に色々な要素があって、技のブームがある。面白いですよね」
――同時に組みのフェイクで、回転バックエルボーを狙う選手が明らかに増えました。
「確かにマクレガー×ネイト・ディアスの時代の打撃戦だと、あのヒジ打ちは出ないですよね」
――そうだと思います。あと、ONEがムエタイをゲームから、倒す格闘技に変えたことも影響しているかと。
「あぁ、切って終わりではないですよね。先日(8月29日)のKNCOK OUTのメインのエルボーとか、倒すヒジが入ってきていますね」
――ただMMAであの距離で戦うと、安定して勝ち続けることができる選手はデビュー直後から少なくなるのかとコンテンダーシリーズやLFAの試合を視て、思うようになりました。同時にUFCにいくために海外、特に北米がそうなっていると思いますが……あの距離で打ち合う。それって究極、UFCとの契約を勝ち取りたい日本人ファイターは、RIZINが求めるファイトができないといけなくなっているのではないかと。
「あぁ、そういう風になってきているのかもしれないですね。ただ本来のMMAって、我々が……ここは僕と高島さんですが……僕らが求めるMMAって、抑え込んで勝てるヤツらにその距離で殴り合って勝てということじゃないですか」
――はい。その通りです。TTFCで石井逸人選手をKOした豪州のカイル・マヨッキ、4勝0敗のグラップラーなのにあのKOです。
「ニュージーランドのシティ・キックボクシングにスカラシップで入った選手ですよね」
――ハイ。
「凄いですよねぇ。抑えて勝てる選手が、その距離で戦う」
――結果、どうなるか分からない打撃戦だけをしているのは将来セカンド・グループ止まりで。どうなるか分からない距離でも上にいく選手は、キャリア序盤に貰うことはないのかとまで思ってしまいます。
「あの戦いで勝ち残った者は、例え接近戦になろうとも、一か八かじゃない試合ができると? 」
――あの距離が続くのかも含めて、ですね。そして現状のカジュアルなファンが見て、面白いモノになるのかも分からないです。ただ、そこにテイクダウンがあるからボクシングとは違う打撃戦になるわけで。
「テイクダウンがあるから、当たる打撃がある。それこそヒジが大切になってきそうですね。今やそのフェーズになってきている……。いやぁ、凄いですね」
――その距離だからこそ、首相撲もまた重要になってくるかと。そういう意味で、いきなりMMAに来ることができないムエタイの選手がKNOCK OUTのUNLIMITEDルールを経由して、MMAへ挑戦を始めるとか考えるとワクワクしますね。
「その過程の近距離戦にあってジョシュア・ヴァンが、UFC世界フライ級王者パントージャに挑む。とんでもないシンデレラ・ストーリーですよ。スピード出世で。そこも含めて、MMAは凄く変わってきていますよね」
――そこに絶対に組みが存在しているけど、組みのコントロールは重視されない。この辺りが、また現代MMAの妙で。
「ちょっと時間的は遡ってしまいますが、去年の12月にUFCを視察した際にクロン・グレイシーがブライス・ミッチェルに負けました。ジャンピングガードをしたところで、前腕でアゴを固定されて叩きつけられた。アレで一つの時代が、完全に終わったと思います。絶滅危惧種の最後の個体が死んだ瞬間を目の当たりにしたと思いました。
どれだけ柔術が強くても、例えばクレイグ・ジョーンズのようなグラップリングができても、そこを生かす状況を創らないと。それでも柔よく剛を制すなんて、なかなかできない。そういう戦いを体現することは、もう難しいかと」
――自分は道着の柔術は追えていないですし、グラップリングもフォローできていないです。それでも競技柔術が、パンチがあるなかで有効な技術等を追求しなくなって、四半世紀が過ぎていますし。
「それでもトップが強い人は、今も強いと思うんですよ。だからこそ、下からの仕掛けに浪漫がある。自分は、やっぱりそこを考えちゃいますよね。だから、そういう選手を応援しちゃいますし。マッケンジー・ダーンとか大好きですしね」
――柏木さんのマッケンジー好きは、そこだけじゃないかと思います(笑)。
「アハハハハ。でも真面目な話、風間敏臣選手の負けとか見ると怖いです」
――三角を防ぐのではなくて、セットさせてスラムを完全に狙っていました。UFCの話が続きますが、朝倉海選手のティム・エリオット戦の負けはどのように捉えていましたか。
「ティム・エリオットに負けたのは、痛いです。誰も得をしない結果だったと思います。UFCも得しないし、UFCのマッチメイカーも得をしない。RIZINも得しない。食うまでもなくエリオットは強いです。DJとの試合を見ても、それは分かっている。だから興行としては、海選手が勝たないと誰も得をしないマッチメイクだったと思います」
UFCもセントラルキッチン化するかもしれない
――今になって朝倉選手の寝技についてアレコレと意見が出てきていますが、日本ではそこにいかず勝てていました。
「ハイ。そういうことなんですよね。やっぱりリングとオクタゴンの違いは、あると思います。手を出さないプレッシャー。それはコーナーで生きる。ミルコみたいですね。UFCの選手は先手を取って、強引にペースを鷲掴みにしていきます。でもUFCって裏通りにある焼き鳥屋の焼き鳥を、セントラルキッチン系のレストランのお客さんに広めたんだなってつくづく思います。
ただし、そのUFCもESPNからパラマウントに移行することでどうなるのか。UFCもセントラルキッチン化するかもしれない」
――PPVがなくなるという話も聞きます。
「PPVがなくなる。つまり自分たちでリスクを負うことがなくなるということです」
――それこそシーズン制でもない個人競技のMMAで、どういう山を創っていくのか。まぁ、ひたすら試合を組むだけで成立できるのも強みなのでしょうが……。
「ハイ。と同時に水で薄めても、大丈夫になるという考え方もできるようになります」
――つまらない消化カードが増えるかもしれない?
「その可能性もあるかと思います。カードを揃えて用意することが第一になるかもしれないので。クォンティティ・オーバー・クオリティになるかもしれないということです」
――量より質でなく、質より量と。
「さきほど話題になったコンテンダーシリーズのような試合が、UFC本戦でも増えてくることもありえますよね」
――それがエキサイティングだという刷り込みをもう9年も行ってきたわけですし。
「UFCがそうなるのであれば、クオリティ重視の大会にチャンスが出てくるのではないかと」
正直な話をすれば、Road to UFCの方が楽だぞ。UFCに行きたいなら、扇久保選手に勝ってみろよって。UFCとサインしたいなら、ホセ・トーレスに勝ってみろよ。そこを避けるなら、Road to UFCって逃げ道じゃないですか
――そのUFCを目指すと公言している山内渉選手がトニー・ララミーと。そして松嶋こよみ選手が、ヴガール・ケラモフ選手と11月3日のRIZIN LANDMARKで戦います。UFCを目指す選手が、RIZINに単発契約で出場する。そのようなケースが出てきたことを、柏木さんはどのように捉えていますか。
「自分は良いことだと思っています。山内選手にしてもRoad to UFC再挑戦を目指しているでしょうし、Road to UFCに挑戦できるなら挑戦してくださいという姿勢です。後藤丈治選手なんかもそういうスタンスです。そこの道を進むことに何か思うということはないです。
ただ正直な話をすれば、Road to UFCの方が楽だぞ。『本物』、『本物』というならUFCにはRIZINのチャンピオンになってから行けば良いじゃん。RIZINのフライ級、一部を除いて本物しかいないですよ。本当に強豪を目指せるロースターにはなっている。
UFCに行きたいなら、扇久保選手に勝ってみろよって。UFCとサインしたいなら、ホセ・トーレスに勝ってみろよ。そこを避けるなら、Road to UFCって逃げ道じゃないですか」
――柏木さんの言われていることも分かります。強さを求めるなら。同時にRoad to UFCで優勝すれば、UFCは絶対ということもあります。
「それでUFCと契約しても経験不足で勝てずに、帰ってくるようなら日本で強い選手と戦って、知名度を上げてからUFCに進む方が良くないですか――と僕は最近、胸を張って言えるようになっています」
――と同時に、これはガチトークで。RIZINの絶対レギュラーという選手は一部です。30歳近い選手が、そこで扇久保選手と戦うまでどれだけの時間が掛かるのか。それを考えて、Road to UFCで戦いたいと思う気持ちは理解できます。
「そうですね。Road to UFCから声が掛かれば、Road to UFCで戦う。そこに異論はないです。きっちりとルートが存在していますからね」
――そのルートになかなか乗れないで、厳しい時を凄く選手がいます。そういう意味で神戸大会には雑賀ヤン坊達也選手が出場しますし、伊藤盛一郎選手の名がフライ級戦線に加わることはないのかと。
「そこを伊藤選手が望んでいるのか。それとパンクラスさんとの関係、話し合いも必要になってくるかと思います。ただ、僕としては全然有りです。伊藤盛一郎選手は最近、2段階ぐらい強くなっていると思います」
――そしてフェザー級、松嶋こよみ選手です。
「松嶋選手に関しては『RIZINに出ない』と公言しているとも聞いていましたけど、RIZINとしてしつこく声を掛けせてもらって。ようやく首を縦に振ってもらえました」
――力のある選手が、UFCというルートが明白でない場所を目標にして試合機会が少なくなる。そこを気にする発言を、以前から柏木さんはされてきました。
「だからオファーを出す。でも、断られる。それを繰り返して、近親憎悪的な感情を抱くこともありました。それはもう4周ぐらい繰り返しています(笑)。『もういいわ』、『試合がなくても、そのままでいるんだな』とか思ってしまうことも、本音をいえばありました。
松嶋選手に関しては、国内で試合をするのがMMAでなくてUNLIMITEDだった時には『どこに向かっているんだ』と思いました。ただ、実際にKNOCK OUTの会場で試合を見てあのルールで戦う意味も理解できたんですよ。
そして自分が彼を気にするようになった……パンクラスの頃の松嶋こよみが今も健在だと思いました。加えて経験を積んできたことで老獪さも身に着け、引き出しも増えた。そのなかで計算されたトリッキーな動きもしていました。試合自体が凄く面白かったです」
――松嶋選手のことをそこまで考えているプロモーション関係者は、柏木さんぐらいですよ。本当に優しいと思います。
「優しい……。う~ん、それはフライ級のところでも言いましたが『本物』、『本物』と言っている選手が今のRIZINに出ないでどうするの?と僕は思っています」
強さを追求するなら、RIZINに出ない理由はないと思います。だって……
――UFCがウェルカムでない状況でRIZINに出場して居心地の良さを知ると、UFCへの想いが削がれると感じる選手もいるかと。
「それは個人の取りようじゃないですか。居心地の良い環境から、あえてUFCに行った朝倉海選手だっている。でも『本物』志向の選手ほど、朝倉選手を否定したいわけで。RIZINに来て、UFCへの気持ちが削がれるなら……所詮、UFCへの想いもそこまで。RIZINで戦うならRIZINのためになりたいなんて、僕は求めていないです。
それでいうと少し話が違うかもしれないですが、UFCを神格化しすぎてRIZINの良いところを見落としているきらいはあるかと思います。
だから安藤達也選手なんかは、RIZINで戦うようになってRIZINの良さを感じてくれたのはないかと。凄くモチベーションも高いですし。安藤選手はRIZINにハマりましたよね。それも安藤選手が強い選手と戦うというチャレンジ精神を持っているからで」
――マゲラム・ガサンザデ、ヤン・ジヨン。間違いなくRIZIN以外の国内プロモーションで戦える選手ではないです。
「ヤン・ジヨンが弱いわけないですからね。そのヤン・ジヨンにあの勝ち方ができる。安藤選手は勝って、今のポジションを得ました。もちろん、RIZINの全てが良いというわけではないですよ。でも声を掛けても結局は出ないままの選手もいますし」
――UFCで戦いたい理由が強さを追求するということなら、今のRIZINにジャンプインしろよ――という気持ちを柏木さんが想うのとは、凄く分かります。この2年間、RIZINで強い外国勢を投入してきた柏木さんにも気苦労があっただろうし。
「それまでのRIZINで戦わない理由は明確にあったと思います。ただ今は、その時と同じ理由は口にできないはずです。それをいうと逃げているだけ。ここにきてRIZINを否定して、RIZINに出ないなら。強さを追求するなら、RIZINに出ない理由はないと思います。だって……ちゃんとやっているもん」
――……。
「どこよりもやっていますよ。今のRIZINならグローバル、本当に世界基準で強くなれると思います。だから今のRIZINに出ない選手って、逃げているだけ。もちろん、今回の松嶋選手もそうですけど、LFAからUFCへ行きたいという明確な道を歩いている選手もいます。
だから松嶋選手なんてLFAとの契約があるなかで、RIZINで出てもらう。そういう選手を、契約で縛ることはしないわけですし。縛ることはできないですよ。自分もフェデレーションの窓口として、各国のプロモーター達とつき合わせていただいて多くのことを経験してきました。RIZINに彼らの契約下にある選手に戦ってもらうには、色々なケースがあります」
良い意味で『ブレても良い』と思うようになってきた
――それらを吟味して、練る。その結果の門戸開放は、まさにケーススタディですね。
「そういうことになるんです。選手個人の想いを邪魔することはなく。他のプロモーションの契約に抵触するわけは当然なくて」
――仮に松嶋選手がケラモフに勝ち、ビザが取れるとLFAに行くことになる。RIZINのロースターを潰していなくなることも良しとしているのですか。
「別に良くはないですよ(苦笑)。でもケラモフは、この試合の結果によって役割というのは変わっても、RIZINで戦っていくことには変わりないですし。それにこの試合で『松嶋こよみが見たい』という声が増えると、気持ちも変わるかもしれない。RIZINでもっと見たいという人が増えるなら、その時にまたお互いに考えれば良いことで。そのなかで判断していけば、と思います。
安藤選手だって、この時点で海外から声が掛かるかもしれない。それでそっちで戦うとなると、僕らも話し合いはしたいです。それが単発契約。複数契約って、いうとビジョンを固めて互いにやっていくという合意で。それが信頼関係ということではない」
――それは世界中のプロモーションに言えますね。契約は別に信頼関係ではなく、ビジネスの合意です。それこそ信頼関係があるから、契約がなくても試合に出てもらえる。そこをはき違えて、単発契約で「自分の選手だ」なんて空気があることは理解不能です。
「その信頼関係ができる要素の一つが、さきほど高島さんが言われた居心地の良さであるなら単発契約でも、また交渉していけば良いわけで。そういう風に思っています。
僕も最近、年をとってきたので良い意味で『ブレても良い』と思うようになってきたんです。一つの志を持ってブレずにやっていくのも格好良いです。と同時に、時代に合わせるブレも大事で」
――時代遅れとか最先端とかでなく、時代に合わせないと「志」も達成できない。柏木さんより、もっと年を食った人間としては思います(笑)。山内選手、松嶋選手がRIZINで戦う。それはJ-MMAのターニングポイントであり、朗報ではないでしょうか。
「いやぁ、嬉しいですね。こういう言い方は良くないかもしれないけど、やはりRIZINは影響力があります。そのRIZINを1度体感してもらってUFCを目指す。プロとして認知度を上げるのも、一つの仕事じゃないですか。SNSもやらない、力だけで勝負すると言って、じゃあ今はどうなんですか。このまま燻り続けるのですかって。ならRIZINで知名度を上げて、UFCに必要とされるようになる要素を増やしてくださいよと」
――その言葉、3年前に伺った時は首肯できなかったです。でも今は違う。この2年のフェザー級、フライ級。そしてバンタム級を見せてもらいましたので。
「RIZINが目標に向けてのルート、突破口の一つになる。僕はそれでも良いと感じています。その選手が目標達成のためにRIZINで強い外国人選手と戦うことになれば、RIZINにとっても良いことですし。あとファンにしても、RIZINがMMAを知る一つの入り口になってくれれば」
――ポアタンが挨拶をすると、超絶盛り上がるようになると。
「本当ですよ。あのシーンとなった東京ドーム……他の国なら違っていたでしょうね(笑)」
――ハハハハ。KNOCK OUTの後楽園ホールですら『シッティチャイと契約』という発表に、シーン。なんだ、これは?と思うと同時に、そういう層と向き合ってビジネスをしてくれる方々に感謝したくなりました。ORICON NEWSがあってくれるから、MMAPLANETは存在できると。
「本当にその通りで。僕も高島さんも社会不適合の変態ですよ。自分の理想と違うと、不満が口に出る。文句は言いますけど、自分は生かされているんですよね。それこそ同じ志向の人間のなかにいると、その村から出ることができない。
村の外で何が起こっているか分からないと、その村の存在自体がなくなってしまいます。村の外から、村の外の感覚で村を見る人がいてくれるから、村の中から村の中の感覚で外を見ることができる」
――その境界線が行き来できるRIZIN LANDMARK12だと。
「ハイ。凄く興味深いですよ」
――いやぁ、最近はMMAに熱くなりまくりで柏木さんの取材でも下ネタまで話が回らないですね。
「いや、それは別チャンネルで。ここからやりましょうか(笑)」
――ハハハハ。もうお腹いっぱいです。
「あっ、僕も次のミーティングにもう間に合わなくなってしまいました(笑)。でも、本当に自分はRIZINに生かされていて。色々とMMAが好きだからこそ、悩むこともあったけど。1周、2周、3周と回って、悩んで。でも今、松嶋こよみ選手がケラモフとやりますし。山内渉選手もトニー・ララミーと組める。バランスとタイミングが合致したLANDMARK12かと思います。あくまでも自分の理想だけ追求していたら、日本のMMAは盛り上がらない。そのなかで、追及することも忘れない。良い意味でブレも必要だと」
――それがブレなら、ブレでしょう。ただ目標に視線が向いたままなら後退しようが、斜めや横に動こうが前進だと思います。
「それ、悩んでいる時に言ってもらって突き刺さったんですよね(笑)。Step Forward。状況を受け入れ、自分たちはどこに向けて格闘技を創っているのか。それを冷静になって考えることができるようになりました」
――押忍。今日も長時間、ありがとうございました。そのなかで神戸大会関連でも一つだけよろしいですか。
「ハイ。もちろんです」
――金太郎選手と戦うリ・ユンフォンですが、札幌大会のザージバーディン&名古屋大会のファン・イェーロウに続き中国人選手の登用の狙いとは?
「一応、中国でも知られたいということですよね。TikTokとかで跳ねそうな選手をお願いしているというのはあります。ただ、リ・ユンフォンはエンポ―・ファイトクラブの出身で、今はUFC PIで練習をしている選手なんです」
――えぇ、強そうじゃないですか。そしてRIZINの知名度も中国でアップすると。
「SNSの数は相当に行くようです(笑)」
■視聴方法(予定)
11月3日(月・祝)
午前11時30分~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!
■RIZIN LANDMARK12対戦カード
<フェザー級/5分3R>
秋元強真(日本)
萩原京平(日本)
<RIZIN女子スーパーアトム級選手権試合/5分3R>
[王者] 伊澤星花(日本)
[挑戦者] 大島沙緒里(日本)
<フェザー級/5分3R>
ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)
松嶋こよみ(日本)
<フェザー級/5分3R>
摩嶋一整(日本)
木村柊也(日本)
<50キロ契約/5分3R>
ケイト・ロータス(日本)
イ・ボミ(韓国)
<ライト級/5分3R>
宇佐美正パトリック(日本)
桜庭大世(日本)
<バンタム級/5分3R>
中島太一(日本)
後藤丈治(日本)
<ヘビー級/5分3R>
貴賢神(日本)
MAX吉田(日本)
<62キロ契約/5分3R>
金太郎(韓国)
リ・ユンフォン(中国)
<ライト級/5分3R>
雑賀“ヤン坊”達也(韓国)
ヌルハン・ズマガジー(カザフスタン)
<バンタム級/5分3R>
鹿志村仁之介(日本)
安井飛馬(日本)
<ライト級/5分3R>
キ・ウォンビン(韓国)
キャプテン☆アフリカ(日本)
<フライ級/5分3R>
トニー・ララミー(カナダ)
山内渉(日本)
<キックボクシング51キロ契約/3分3R>
KING陸斗(日本)
水野夢斗(日本)
<OP女子スーパーアトム級/5分2R>
NOEL(日本)
海咲イルカ(日本)
<OPキックボクシング57キロ契約/3分3R>
赤平大治(日本)
翔磨(日本)
<OPバンタム級/5分2R>
宮川日向(日本)
MG眞介(日本)
<OPキックボクシング63キロ契約/3分3R>
元氣(日本)
林眞平(日本)
<OPキックボクシング51キロ契約/3分3R>
みいちゃんレンジャージム(日本)
伊藤菜の花(日本)





















