【LFA215】Fight&Life#111より、上久保周哉「自分に嘘をついていない人生を歩んでいると思っています」
【写真】淡々と語られる言葉なのに、胸に響く――どころか身を貫かれるような感覚になる (C)MMAPLANET
23日(木)から発売中のFight&Life#111に、8月22日にLFAで2勝目を挙げた上久保周哉インタビューが掲載されている。
Text by Manabu Takashima
「僕はUFCを目指さないと強くなれない」。UFC一筋のMMAファイター人生を歩む上久保だが、そのMMAとの出会いは世界の頂点とは程遠い牧歌的なものだった。
そんなMMAファイター人生を振り返ったインタビューから、ここでは8月の勝利後に上久保の身に起こった2つの出来事に触れた部分をお届けしたい。UFCに続く獣道を歩くことを平然と受け止める上久保の生き様がそこにある。
――ではLFAで2勝できたことについて、どのように思っていますか。
「大きな括りで言うとONEの時から海外で戦う。強いと言われている外国人とやる。オールアメリカン・レスラーとやる。EVOLVEのトップにいる黒帯柔術家とやるとか。そこを勝ってきて、LFAでパントージャにスプリットで負けている選手と戦った。そして磯野さんと創ってきたMMAで勝てた。磯野さんに教えてもらったMMAをしっかりぶつけて、理論上正しいことをやり続ければ勝利を手にできる。間違いないと思って積み上げてきたことが、LFAでも結果を出している。LFAだからだとか、米国だから特別なんてことは何もない」
――ハイ。
「これと同じことを僕はUFCでもしたいんですよ。LFAで勝ったこと関しても、やってきたことは間違っていない。だから『よしっ、次!』という感じです。
――そのなかで8月のエリック・シェルトン戦を終えて、9月に股関節の内視鏡手術を行いました。このタイミングだったのは?
「実はシェルトンに相手が代わる前、LFAから8月22日にマルコス・ブエノと戦わないかというオファーがあった日、病院に行って手術の日程を決めていたんです」
――もう限界だった?
「試合よりも試合までの練習がしっかりできないと感じるようになっていました。手術をして、少しでも良い状態にする。今後戦うであろう強豪とやっていけるだけの練習がしたいと思って。で、手術の日程を決めて病院を出たらLFAからオファーが届いていて(笑)。そのまま病院に戻って『手術は延期します』と先生に伝えました」
――なんと、そのようなタイミングだったのですね。人生とは本当に面白いものです。とはいえ良い準備ができないと考えるほど、股関節は悪化していたのですね。
「良い練習ができなくて負けて『手術をしとけば良かった』と思うのが嫌だったんです。手術をして負けても、それは言い訳にならない。でも練習ができなくて負けたら、あのRoad to UFCと同じで。『ケガがなければ勝っていた』なんていう言い訳は、もう十分です。万全とはいえないけど、それでも手術で痛みが取れた個所があります。だから手術をして良かったです」
――術後に「再起は来年の1月ぐらい。LFAのオファーのサイクルはそれぐらいだと思う」と話していた上久保選手でしたが……。
「ハイ。リハビリ中でまだ打ち込みぐらいしかできない時に『11月にタイトルに挑戦できるか』という連絡がありました」
――いやぁ、もう事実は小説より奇なりです。
「こういうことがあるんだなって(苦笑)。今回は断るしかなかったけど、タイトル戦をLFAが組もうとしてくれた。それは僕の挙げた2つの一本勝ちを評価してくれたことになります。エド・ソアレス(CEO)は前回メディカルで1日付き合ってくれた時に、前向きなことを凄く言ってくれたんです。あれがリップサービスじゃなかった。自分の試合をちゃんと見て、評価してくれたことは嬉しかったです」
――あのバチバチの殴り合い、KO勝ちの連続のなかで綿密な組み立てから一本勝ちを評価してくれたと。
「おじさんに誘われて始めたMMAですけど、UFCが一番だと思って戦い続けてきました。キャリアを終えた時に自分に嘘をつかなかった自分でありたくて」
――ハイ。
「だからUFCを目指す上でブレていない道を模索した。LFAをその道として選んだ。その道は間違っていないと思っています。今後はLFAで勝ち進むこと、LFAでベルトを獲る。それでもUFCに何も引っかからないのであれば、LFAよりもさらに強い選手がいるところに行くしかない。
ただ現時点で、キャリアを振り返った時に自分に嘘をついていないと言える人生を歩んでいると思っています。LFAで戦っていることは、僕が戦い続けること何も矛盾がない。だからベルトもそうですが、大切なことを強い選手と戦い続けること。勝ち続けることが重要だと思っています」
柔道で強くなりたいから始めた柔術で、出会った一人の“おじさん”。その“おじさん”に誘われ続けたことで参加するようになったMMAの練習。柔道部を辞し、MMAを始めた際に何も知らない世界だったからこそ頂点にあるUFCをチェックするようになった。以来、UFCだけを目指すなかで、師・磯野元氏と出会いONEに参戦した。Road to UFC出場時に悲鳴を上げるようになった体。Road to UFC敗北後のLFA出場と――これまでのMMAファイター人生を振り返った上久保周哉インタビューが掲載されたFight&Life#111は現在発売中です。
また上久保のLFA挑戦第2戦を追ったTHE 1 TVの動画は、上記バナーから視聴できます。





















