この星の格闘技を追いかける

【ONE FF116】展望 与座優貴が元王者ペッタノンと対戦。与座のスピード&手数×ペッタノンの技術

【写真】ムエタイの変化版=ペッタノン×空手の変化版=与座という見方もできる一戦だ(C)ONE

18日(金・現地時間)にタイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE FF116で、与座優貴がペッタノン・ペットファーガスと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

同じteam VASILEUSの武尊と野杁正明に続いて、今年5月からONEに戦いの場を移した与座。ONEデビュー戦となった5.23ONE FF109では当時12戦無敗だったエルブール・オスマノフと対戦し、空手仕込みの蹴りを中心にフルラウンドに渡ってオスマノフを攻め続け、判定勝利でONE初陣を飾った。


オスマノフ戦後、与座の元にはすぐに次戦のオファーが届き、試合間隔が約2カ月というハイペースでのペッタノン戦が決まった。与座のONE参戦決定時、チャトリCEOは現地メディアで「日本のマイク・タイソンがONEに参戦する」と与座を評していたが、ONE2戦目で元ONEキックボクシング世界バンタム王者にして、現同級3位のペッタノンとの試合がマッチメイクされたことは与座への評価の高さと期待の表れと言っていいだろう。

ONEには多くの強豪ムエタイ選手が名を連ねているが、ペッタノンは一味違ったキャリアを積んできた。2015年から中国のKunlun Fightに参戦し、2017年にはアブダビで行われたEnfusionの67kgトーナメントで優勝。2018年~2020年には中国・武林風WLFを主戦場に戦い、ここでも67kgトーナメントを制している。

その後、2020年9月からONEに参戦してキックルールのタイトルを獲得することになるペッタノンだが、ONE参戦前からタイ以外の海外プロモーションでキックルールの試合を続けて結果を残してきた。ONEではキックルールとムエタイルールを並行して戦うタイ人も多い中、ペッタノン自身は「ムエタイとキックボクシングを行ったり来たりすることは上手くいかないと思っている。ベルトを取り戻すまではキックボクシングに専念したい」とキックに専念する意向も明かしている。

ペッタノンはサウスポーから繰り出す左ミドル・ヒザを軸にしつつ、そこから右フックや左ストレートを合わせるファイトスタイル。2022年11月に秋元皓貴からベルトを獲った一戦では距離を取りながら左ミドル、そこからのヒザ蹴りで秋元の前進を止め、左ストレートと右フックをタイミングよく当ててスプリット判定をものにしており、、ムエタイの技術を駆使してヒジ・首相撲なしのキックルールで勝つスタイルを作ってきたと言える。

与座とペッタノンは昨年7月に与座がK-1でゴンナパー・ウィラサクレックと対戦する前にタイ修行をした際、スーパーボンのジムで手を合わせており、与座も「タイ人だけどボクシングが上手くて、パンチの距離の駆け引きも上手い。ムエタイなんだけどムエタイじゃないというか、ムエタイの変化版」とペッタノンについて語っている。

与座は“与座キック”(相手の奥足を内側蹴る三日月蹴り)をはじめとする三日月蹴りやカーフキックなど、空手仕込みの多彩な蹴り技が代名詞だが、オスマノフとのONEデビュー戦で光ったのは圧倒的な手数とスタミナだ。

ONEの立ち技は3分3Rのラウンドマスト制が採用されており、実力が拮抗しているトップ選手同士の対戦になると、いかに微差を取って自分のラウンドにするかが重要になってくる。K-1時代の与座はブロックを固めて徐々に相手を弱らせて後半に山を作るスタイルだったが、オスマノフ戦では序盤からハイペースで攻撃を繰り出し、オスマノフに蹴られても蹴り返す・最後は自分の攻撃で終わるという戦い方を徹底して、オスマノフから勝利を収めている。

限られた試合時間のなかで必ず見せ場を作ってジャッジに自分の優勢をアピールするという意味では、技術だけでなく試合運びや組み立て方という部分で空手時代の経験を活かした戦い方が功を奏したと言っていいだろう。

ペッタノンは決してスピードや手数が多くはなく、自分の技をタイミングよく当てる・合わせることでペースを掴むタイプで、オスマノフ戦で見せた与座とは正反対だ。与座としてはペッタノンが上手さを見せる前にスピードと手数で圧倒できるかどうか。攻撃を当てる中で空手式の蹴り技でボディと足を初回から削っておくことで試合を有利に進めていきたい。今回の一戦は空手の変化版=与座×ムエタイの変化版=ペッタノンという見方ができる戦いだ。

ここでランキング3位のペッタノンを下せば、11月のONE日本大会での王座挑戦=ジョナサン・ハガティー戦も見えてくるはず。ONE日本大会、そして与座の今後の行方を占うペッタノン戦に注目だ。

■放送予定
7月18日(金・日本時間)
午後9時15 分~U-NEXT

■ONE FF116対戦カード

<ムエタイ112ポンド/3分3R>
アダム・ソー・ディチャパーン(マレーシア)
ナヒヤン・モハメッド(フランス)

<ムエタイ142ポンド/3分3R>
アンタル・カセム(ベラルーシ)
パンリット・ルーチャイオーマンサイワリー(タイ)

<ムエタイ130ポンド/3分3R>
トムヤンクン・パーコーポーンスリム(タイ)
ワチャラポン・シンマウィン(タイ)

<ムエタイ・アトム級/3分3R>
コーコー・モー・ラタナバンディット(タイ)
ティーアイ・PK・センチャイ(タイ)

<ムエタイ130ポンド/3分3R>
パンモルコル・CMAアカデミー(タイ)
シリチョーク・ソー・ポンニャモーン(ライ)

<ムエタイ122ポンド/3分3R>
ヨッドキティ・フェエット・パトゥム(タイ)
パモーイーデン・コー・カムヌアイチャイ(タイ)

<ムエタイ138ポンド契約/3分3R>
スーパーボール・ワンホンコーンMBK(タイ)
イブラヒム・アブドゥルミエジドフ(ロシア)

<ムエタイ117ポンド契約/3分3R>
谷津晴(日本)
アイザック・モハメッド(フランス)

<キック・バンタム級/3分3R>
与座優貴(日本)
ペッタノン・ペットファーガス(タイ)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
和田竜光(日本)
アバスベク・ホルミルザエフ(ウズベキスタン)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
三浦彩佳(日本)
ジュリアナ・オタロラ(コロンビア)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
箕輪ひろば(日本)
イ・スンチョル(韓国)

PR
PR

関連記事

Movie