【ONE FF116】ホルミルザエフと対戦、和田竜光―02―「契約満了時点で、日本で試合をしてみたいとも…」
【写真】とにかく、万事落ち着き払っている (C)MMAPLANET
18日(金・同)にタイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE FF116で、ウズベキスタンの新鋭アバスベク・ホルミルザエフと対戦する和田竜光インタビュー後編。
text by Manabu Takashima
取材協力 ALUKU COFFEE
ONEで戦う道を選択して、何をおいてもONEに感謝しているなかで、キャリアがいつまでも続くことがないことを実感している和田が、ONE以外で戦うことに言及した。
見えている未来の根底には結局のところ絶対の勝敗、勝利が軸にある。そんな――自身が歩んできた路に絶対の自信を持つ和田にとって、自己と存在証明とは。
<和田竜光インタビューPart.01はコチラから>
――それゆえに過去の経験が生きると。
「ハイ。それに今言われたように僕らがMMAを始めた頃は、今のように強くなる方法論や練習方法なんて明確でなかったです。あの時代は強くなるノウハウなんて今と比べると、どこもなかった。そのなかで先輩たちに揉まれて、色々な試合をこなして強くなっていった。練習の中で仲間が持ち寄ってくれる技術を身に着けたりして。そういう風にアップデートし、僕は生き抜くことができた。そこに関しては、自信もあります。
同時に人間なんで制限、限界があります。いつまでも続けられるものでなく、この制限が間違いなく僕にも迫ってきているはずです。でも不思議なことに、そこを感じていないんです。疲れがなかなか抜けないようになったとかあるかもしれないですが、若い頃だって疲れていました。
疲れが抜けている時なんて、なかった。だから、疲れるのは当然でそれが年齢のせいだとは思っていないです。基本的に体に故障個所がないので。だからまだデキるという気持ちです。前回の試合も21歳のザキロフと戦って、出すカードと精度で結果は変わったはずだし。まぁ、結果が全てでそこは何ともいえないですけど、確かなことは今も自分に期待しているということですね」
――スーパーアスリートでない人間が積み上げ、練り上げてきた強さをもっとこの国の格闘技ファンに知って欲しい。そういう想いをどうしても、拭うことはできないです。MMAファンレベルで和田竜光より強くない選手が、認識されている状況をひっくり返して欲しい。でもONEで戦う限り、それは無理なのかと。
「僕はONEに拾ってもらって、お世話になった人間です。これだけの待遇で試合をさせてもらって。本当に強い選手がいる。中央アジアと2連戦なんて、国内でできると思っていないです。だからONEでの戦いを楽しめています」
――とはいえ今回はファイトナイトでなく、フライデーファイツ。バジェッドも違うかと思います。
「ああ、ギャラは違います(笑)。そこに関しては、ファイトナイトじゃないのか。配慮をしてもらえないのかというのはあって」
――それでもRIZIN以外の国内のイベントで戦うことを考えると、好条件かと思います。数字は明確にできないですが、知っている限り断言できます。
「ハイ、それにザキロフに負けて、結果を残していないから。それに試合機会がないと、何も始まらないので。強いヤツと戦うことができるのであれば、フライデーファイツで戦いますよ(笑)」
――押忍。重ねてですが、日本で認知されることに関してどのように思っていますか。
「う~ん、求めているのはやっぱり自分がどれだけ強くなれるのか。そこなんです。同時にMMAが何かを証明したいし、次に契約が満了になった時に日本でもう1回試合をしてみたいとも思うこともあります」
――えっ、そうなのですか。
「だって親戚の子に『天心と戦ったら、どっちが強い』って聞かれて。『檻の中なら負けないよ』と答えても『またまたぁ』って言われちゃうんですよ(笑)。MMAがどういうモノか、分かっていない。
でも、日本もフライ級が盛り上がってきましたよね。僕とカイ・カラフランスとの試合なんて全く注目されていなくて、テレビも当然ダイジェストでしたけど。最近はレベルの高さもあってフライ級が認められてきました。
その背景には堀口恭司選手や朝倉海選手、扇久保(博正)選手、もちろん神龍(誠)もそうで。彼らが良いパフォーマスを見せてきたから、注目されるようになったと思います。RIZINのフライ級GPに出る選手もそうですけど、フライ級の日本人選手は強いです。僕自身、またカイ・カラフランスと戦っても、負けるとは思わないし。
日本のフライ級選手が、もっとUFCとサインできるならランカーも増えると思います。それぐらい日本のフライ級は強くて。その中でも自分は強い方だと思っているので……。オジサンだけど(笑)。だから、そこを証明したいというのは、ありますけどね。
知名度とかではなくて……だから、それこそRIZINのフライ級選手と戦うと、分かりやすく証明できる。そういうことをしてみたいなって、思ったりもします。でも、それこそ今の僕の知名度じゃRIZINには必要ない。だからちゃんとONEで結果を残して、僕の試合を見てもらいたいと思ってもらえるようにならないといけない。そこで、もう実はここに矛盾があるんですね」
――というと?
「今言った証明のためでなく、僕はONEのチャンピオンになりたいです。契約満了時点で王座が見えていると、ONEのチャンピオンになれる道を選ぶだろうし。ONEでチャンピオンになっていないということは、それまでに負けているということで。だと、僕には日本で強さを証明する価値がない。それにONEでチャンピオンになれないのに、日本で強さを証明とかっていうモチベーションがあるのかも分からないですし。
UFCで戦ってもカイ・カラフランスに勝てるとか、RIZINの選手と戦って強さを証明するとかって妄想でしかないので。妄想だから、そんなことを考えているだけで。現実に直面すると、自分が何を選択するのか。それは妄想とは違うはずです」
――その現実が目の前にある状態ですし。
「ハイ。フライデーファイツによって、タイで練習しているロシア人や中央アジアの名前がなくても強い選手が、ONEで戦うようになった。彼らもONE FFは単発契約のことを多いから、ONEと複数契約をしたい選手もいるだろうし、そこからコンテンダーシリーズやUFCを目指す選手もいる。それこそ腕試しっていう感覚で戦うから、たまに訳が分からないほど強い選手が出てくることもある。
それは僕とっては好都合です。ストーリー性もなくて、ただ組んでいるだけ。その怖さがあって。ザキロフもそうだし、ホルミルザエフも今のランカーと比較して、全く見劣りするところはない選手です。
ザキロフとボカン・マスンヤネがフライ級に行っちゃったし、ケガをしている選手もいる。そういうなかで、次の試合で勝てばビッグファイトがあっても良いと思っています。そこは勝ったら口にするつもりです」
――ところで11月に日本大会があります。そして、このタイミングで日本人選手がONE FFや前後の大会で、試合が連続で組まれています。
「そうは言われていないけど、査定試合だと捉えています。勝った選手のなかから良い試合をした者が、日本大会に出るという流れではないかと」
――いっそのことファン投票と有識者の投票で決めれば良いかと(笑)。
「アハハハハ。僕の場合は特に日本大会だから出たいというのではなくて、日本大会だから試合が組まれやすい。なら、そこを確実にしたいということで。まぁ、とにかく次のホルミルザエフとの試合に勝つしかないのは絶対で。自分のやるべきことをして、勝ちます」