この星の格闘技を追いかける

【UFN257】UFC2戦目はアウェイの中国でシャオ・ロンと激突、ユ・スヨン「ブーイングも楽しみたい」

【写真】RTUの翌日、昨シーズン覇者がどう戦うのかも興味深い(C)MMAPLANET

23 日(土・現地時間)、中華人民共和国は上海の上海インドアスタジアムでUFN 257:UFC ESPN+115「Walker vs Zhang」が開催され、ユ・スヨンがシャオ・ロンと対戦する。
Interview by Manabu Takashima

昨年のRoad to UFCトーナメントを制してUFCと契約したユ・スヨンは、今年3月の本戦デビュー戦でA・J・カニングハムを下した。続く2戦目はシャオ・ロンと、相手の地元である中国で戦うことに。アウェイでの戦いを控えたユ・スヨンが、自身のスタイルチェンジについて語ってくれた。


取材に来たディレクターが「これほど練習量が多いジムは初めてだ」と言っていました

――UFC2戦目、シャオ・ロンとの試合を控えているユ・スヨン選手です。まずは現在の心境やコンディションから教えてください。

「もともと細かい怪我などがあり、完全なコンディションとは言えません。ここでは言えませんが、プライベートの問題もありました。しかし、しっかりトレーニングして準備できれば、次の試合は問題なく勝てると思っています」

――詳細は言えないとしても「プライベートの問題があった」と教えてくれる選手が、アジアには多いです。一方で欧米のファイターは、そういうことを言いません。

「フフフ。ここで言えないというのは――もし試合結果が望んでいないものになった場合、それが言い訳のようになってしまうからです。私は言い訳をするのが嫌なので、ここでは黙っておくことにします」

――試合前に自分の弱い面を口にしてしまうと、気持ちの面で戦いに影響を及ぼすことがあるのでしょうか。

「そういった面は少しあるかもしれないです。私の場合は細かい怪我があり、それが気になっている状態ではありますね」

――ファイターを続けていくうえで、どうしても怪我は避けられないものです。試合が近づくなかで、その気持ちはどのように変化していますか。

「シャオ・ロンは体格が大きく、体力もあるファイターです。荒々しい打撃も持っていますよね。自分も相手が打撃で向かってくるなら打撃で迎え撃つという覚悟があります。そのために、しっかりと準備してきました。もちろんテイクダウンに入ることができるタイミングがあれば、テイクダウンを狙いますが、今回は打撃戦を避けるということはないです」

――先日、米国ルイジアナ州でABCの会議が行われ、改めて「ダメージ優先」という定義が加わりました。最近の「ダメージ優先」と言われる採点基準に基づき、自分の作戦やファイトスタイルを考え直しているのでしょうか。

「ダメージが優先されるから自分のスタイルを変える、というわけではないです。一番は自分のスタイルをアップグレードするためですね。打撃でもグラップリングでも、もっとアグレッシブなものに変えていきたい。そのアップグレードに成功すればフィニッシュも増えるし、おのずと判定でも有利になるでしょう」

――フィニッシュするためには、打撃であれば近い距離で戦うことも増えてくるでしょう。グラウンドでは強いパウンドも必要となります。自身をアグレッシブなスタイルに変化させるために、新たに加えた練習メニューはありますか。

「グラップリングの練習量が大きく増えました。もともと筋肉やスタミナをつけるため、そしてパウンドやテイクダウン後に抑え込むためにもグラップリングの練習をしていましたが、以前よりも練習量が増えています。

韓国でUFCを放送している『TVING(ティービング)』というテレビ局が、私の取材でジムに来てくれました。その時のディレクターは自身も格闘技をやっているそうですが、ジムでの練習を見て『これほど練習量が多いジムは初めてだ』と言っていたほどです(笑)。

それとボクシングでも、インファイトで戦えるようにスタイルを変化させました。ミット打ちで、効かせるパンチを出せるように練習しています。以前は軽いスパーリングが中心でしたが、今はKOできるようにフルスパーリングを行っています」

MMAファンなら誰でも『面白かった!』と言ってくれる試合を見せたい

――ユ・スヨン選手は昨年、RTUトーナメントで3試合を制し、UFCと契約しました。今回対戦するシャオ・ロンは2023年シーズンの決勝でイ・チャンホに敗れたものの、本戦契約を勝ち取っています。

「う~ん、その点はあまり気にしていませんね。今回の試合に向けて、彼の試合動画を視ました。UFCと契約する前の試合から視ています。良い選手ですし、トーナメントで優勝できなかったにも関わらずUFCと契約しているのは、全て理由があることだと思っています」

――なるほど。どのような点が「良い選手」だと考えていますか。

「最近の試合ではKO勝ちしていますよね(昨年11月、クァン・リーにKO勝ち)。彼の打撃は以前と比べて、どんどん良くなっています。グラップリングやスタミナ面でも、しっかり準備ができていて、UFCが契約する価値がある選手だと思います」

――対して自身がシャオ・ロンより上回っていると考えているポイントを教えてください。

「全て、ですね。まずテイクダウン、グラップリングの面では自分が上です。そして今まで見せることができなかった打撃についても、私はアップグレードしてきています。打撃面でも相手より上であることを今回の試合でお見せしますよ。

反対にシャオ・ロン選手が良くないのは――少し興奮しやすいところがあります。それに比べて、私は冷静に相手のことを見ながら戦うことができます」

――今回はラスベガスではなく中国の上海で戦います。韓国から近いことでコンディションは整えやすいですか。それともUFCだから米国で戦いたい、という気持ちはありますか。

ユ・スヨンは135.5ポンドで前日計量をクリア。シャオ・ロンも136ポンドでパスしている(C)Zuffa/UFC

「正直言うと、韓国から近い場所で戦えるのが一番ですね。初めてラスベガスで試合をした時は時差やフライト時間の長さが大変だと感じました。今はどこで戦っても大丈夫ですが、試合地が近いに越したことはないです(笑)」

――アハハハ。さらに今回はアウェイでの戦いとなります。日本と韓国の試合会場では、あまりブーイングは聞かれません。しかし中国の試合会場では、中国人選手の対戦相手に凄いブーイングが送られることがありますね。

「ブーイングについてはマカオでRTUトーナメントを戦った時に経験しているので、それほど気にはしていません。むしろブーイングを送られる場合は、私が中国人選手を相手にうまく試合を進めることができている証しですよね。ですから、そんなブーイングも楽しみたいです」

――力強い言葉です。シャオ・ロンに勝った場合、ランキング入りを目指して次に戦いたい相手などはいますか。

「イリャ・トプリアの兄であるアレクサンドル・トプリアと戦いたいです。カニングハムに勝ったあとにも対戦を希望しましたが、UFCから良い反応は得られませんでした。今回勝利したら、もう一度アレクサンドル戦を呼びかけたいですね。そのあとはラウル・ロサスJrとも試合をしたいし、ランカーと対戦していきたいと思っています」

――皆が上を目指していくなかで、UFCはファンが応援している選手にどんどんチャンスを与えていきます。

「そうですね。前回の試合は観客が退屈に感じていたかもしれません。それは自分の中でも反省点です。今回はMMAファンなら誰でも『面白かった!』と言ってくれる試合を見せたいですね。これまで私はグラップリングだけの選手と思われていたでしょう。シャオ・ロン戦ではグラップリングだけでなく、ちゃんと打撃もできる選手であることをお見せします」

■視聴方法(予定)
8月23日(土)
午後4時00分~UFC Fight Pass
午後3時45分~U-NEXT

■UFN 257対戦カード

<ライトヘビー級/5分5R>
ジョニー・ウォーカー(ブラジル)
チャン・ミンヤン(中国)

<153ポンド契約/5分3R>
ブライアン・オルテガ(米国)
アルジャメイン・ステーリング(米国)

<ヘビー級/5分3R>
セルゲイ・パブロヴィッチ(ロシア)
ワルド・コルテスアコスタ(ドミニカ)

<フライ級/5分3R>
スムダーチー(中国)
ケヴィン・ボルハス(ペルー)

<ウェルター級/5分3R>
タイラクー・ヌールアチィー(中国)
キーファー・クロスビー(アイルランド)

<ライト級/5分3R>
マァフゥシャトゥ(中国)
ゲージ・ヤング(米国)

<フライ級/5分3R>
ロナー・カヴァナ(英国)
チャールズ・ジョンソン(米国)

<ライト級/5分3R>
ロン・チュウ(中国)
オースティン・ホバード(米国)

<ミドル級/5分3R>
ミシェウ・ペレイラ(ブラジル)
カイル・ダウカウス(米国)

<フェザー級/5分3R>
イー・チャー(中国)
ウェスティン・ウィルソン(米国)

<バンタム級/5分3R>
シャオ・ロン(中国)
ユ・スヨン(韓国)

<ライトヘビー級/5分3R>
ディアル・ニュルゴジャイ(カザフスタン)
ウラン・サチバリディエフ(キルギス)

PR
PR

関連記事

Movie