【RIZIN LANDMARK11 & SUPER RIZIN04】RIZIN2戦目へ、安藤達也「エナジーがすごくて上がっている気が」
【写真】ようやく、その実力を世に示す時がやってきたのか (C)TAKUMI NAKAMURA
27日(日)にさいたまスーパーアリーナで開催される超RIZIN04で、安藤達也がヤン・ジヨンと対戦する。
Text by Takumi Nakamura
ONE、Road to UFC出場を経て、6月のRIZIN LANDMARK11でRIZIN初参戦を果たした安藤。アゼルバイジャンの強豪マゲラム・ガサンザデに挑んだ一戦では鋭い打撃でガサンザデからダウンを奪い、最後はRNCでの一本勝ちという衝撃的なRIZINデビューを果たした。
安藤はガサンザデ戦に続いて、約1カ月後の超RIZIN04にも連続参戦。韓国Road FCでキム・スーチョルと並ぶバンタム級2トップと言えるジヨンとの対戦が決まった。ガサンザデ戦後のマイクでは「俺がRIZIN変えるんで」と語っていた安藤。同日にバンタム級王者・井上直樹×挑戦者・福田龍彌の選手権試合が組まれる中、安藤はどのようなインパクトを残すのだろうか。
事前の駆け引きとゲームプランも含めて、自分のやりたい勝負に持ち込めた
――RIZINデビュー戦となった6月の札幌大会ではマゲラム・ガサンザデ相手に見事な一本勝ちを収めました。あの一戦を振り返っていただけますか。
「今回メインのセコンドに高野(優樹)についてもらって。週に1~2回、高野のパーソナルジムの方で秘密特訓をしてたんですよ。そこで高野にミットを持ってもらいながら、色々とゲームプランを考えて。2人で考え出したゲームプランを元に練習を続けて、その内容がぴったりハマった感じでしたね」
――フィニッシュはRNCでしたが、そこに至るまでの打撃が非常に冴えていたと思います。かなり打撃の練習には時間を割いていたのですか。
「打撃に関しては試合1カ月半~2カ月前から試合直前まで、週1~2回ペースでボクシングジムでガチスパーをやらせてもらっていたんですよ。それで打撃の感覚は結構上がっていたのかなと思います。試合当日の集中力はもちろん、ガサンザデの打撃を見切ったりできたのは試合に向けてしっかりガチスパーをやっていたのがよかったと思います。ONEとかRoad to UFCで試合をしていた時は、海外で練習して追い込んでいたんですけど、最後にスパーリングで動きを詰めきれなかったり、試合直前で体調を崩したり、怪我してしまったり……そういうことが多かったんですよ。でも今回は日本で練習して最後までスパーリングで追い込めたんで、その成果が出たのかなと思います」
――試合間隔は空いていましたが、練習で実戦的な感覚を掴めていたようですね。
「あとはさっき話したゲームプランもハマりましたね。ガサンザデは最初に打撃をやって、相手のストレートにタックルを合わせるのがめちゃめちゃ上手いんですよ。白川(ダーク陸斗)戦の映像を見ても白川選手のストレートに上手くダブルレッグを合わせていたんで、むやみにガサンザデを追いかけすぎない、自分から行きすぎないように気を付けていました。あとはわざと下に攻撃を振って、ガサンザデに的を絞らせないようにしていましたね」
――かなりガサンザデの動きを研究していたんですね。
「はい。で、俺はガサンザデは自分からテイクダウンを取りにきて、テイクダウンを取れると分かってからゲームメイクをするタイプだと見ていたんですよ。だからインタビューで『ガサンザデがやりたいことは分かっているから、それをできなくさせてやる』と言ったり、試合前のウォーミングアップの時、青コーナーの選手が先だったんですけど、わざと自分からバンバン行って高野のことをテイクダウンしまくったんですよ」
――もしガサンザデが安藤選手のアップを見ていたら、安藤選手のテイクダウンを意識しますよね。
「ですよね。あとガサンザデがタイで打撃の練習にも力を入れているという情報も入っていたんで、最初にテイクダウンを切ったら絶対に打撃勝負になると思っていました。そういう事前の駆け引きとゲームプランも含めて、自分のやりたい勝負に持ち込めたことがデカかったっすね」
――試合内容と勝ち方含めてインパクトを残すRIZINデビュー戦でしたが、周りの反響は大きかったですか。
「反響も大きかったし、自分的にも良かったというのがあるんですけど、改めてRIZINはすげえなって思いましたね。大会の注目度とか、ステージの感じとか。自分、入場の時は試合前に家で聴いている音楽とか移動中に聴いてる音楽を流すようにしてるんですよ。そうするとリラックスできるんで。いざ入場の時に会場に流れる曲を聞いたら低音の鳴りがめっちゃよくて、これはすげえ!よっしゃ!みたいな感じになりました(笑)」
最短で行けるなら最短でタイトルまで行きたい
――試合前のインタビューではRIZINデビュー戦で自分の存在感を示したいと言っていましたが、ガサンザデ戦ではその第一歩になったと思いますか。
「そうですね。でも1回(試合が)良かったからと言って、ここであぐらをかいちゃ意味がないんで。『ガサンザデ戦はよかった』で終われないというか、ここからしっかり強い相手に挑戦を続けて、試合内容も伴った感じで実力を示していかないといけないなと思います。今回は試合が終わってすぐ『次は7月でどう?』みたいな感じで言ってもらえて、ここまでハイペースで連戦したことはなかったんですけど、ここは挑戦しなきゃなと思って試合を受けました」
――オファーがあればどんどん試合をやりたいという考えもあったのですか。
「それもありましたし、自分自身に対する期待値が上がって次も出て欲しいと言ってもらえたと思うんですよ。しかもいい相手を用意してもらって、俺も『こいつとやりてえ!』と思ったんで出させてもらうことになりました」
――ではヤン・ジヨンという対戦相手も安藤選手にとっては大きかったですか。
「韓国大会で金太郎とやった試合も見ていて、金太郎が正面からぶつかって負けることってあんまりないから、ジヨンはいい相手なのかなと思いましたね。力も超強そうだし、体もでけえなみたいな。でもそういうヤツに勝つのが格闘技っていうか、俺はこれがチャンスだなと思ったんで試合を受けました」
――ジヨンは韓国Road FCではキム・スーチョルのライバルと言える選手ですし、ジヨンに勝つことで安藤選手のアジアにおける評価も上がると思います。
「自分はRoad to UFCで中国のチュウ・カンチエに負けているし、結構日本人がジヨンに負けているじゃないですか。倉本(一真)選手はジヨンに勝っていますけどスプリット判定だったし。だから俺がジヨンを止めないといけないなと思います。自分は海外で戦うことを目標にしていたから、RIZINで海外の選手とやれることはうれしいっす」
――RIZINという舞台で外国人選手を迎え撃つことも安藤選手にとっては新しいテーマやモチベーションになっていますか。
「そうっすね。日本のMMAを侵略しに来るやつを俺が止める、みたいな。今RIZINには海外のいい選手が集まっていて、自分は海外のプロモーションに出て挑戦する、勝つことの難しさが分かっているんで、海外からRIZINに出てくれる選手にはリスペクトしています。でもやっぱりRIZINは日本のイベントだから、日本人が海外の強豪を止めないと、みたいな感じで思っています」
――同じ日には井上直樹×福田龍彌のバンタム級選手権試合も組まれていますが、ジヨンに勝ったタイトル戦線に絡んでいきたいですか。
「まさに。タイトル戦線にしっかり絡んでいけるような結果と内容を見せてアピールしたいっす。最終的なマッチメイクは団体側が決めると思うんですけど、俺は最短で行けるなら最短でタイトルまで行きたい。これからどういう試合が組まれるか分からないけど、大晦日に出てタイトルに挑戦してえなと思っていますね」
――それこそファンも主催者も誰もが次の挑戦者は安藤しかいないだろ!という状況を作りたいですか。
「そのためにもこれからの試合は勝ち方と試合内容が重要になってくると思います。そこをしっかり考えてやっていければ自分の実力を発揮できると思っているし、目の前の試合に勝つことも大事だけど、ちゃんと先も見据えてやらないとダメだと思っています」
――ガサンザデ戦前のインタビューでも感じましたが、このキャリアでRIZINに出会えたことで、格闘技人生がすごく楽しくなったんじゃないですか。
「そうっすね!(自分の両手を大きく広げて)今なんか1番エナジーがすごくて上がっている気がします(笑)。やっぱり周りに期待されたら人間は頑張れるし、何より自分が覚悟を決めて練習を頑張って日々を過ごしていれば、周りの人たちもそれに反応してくれて、応援してくれる力も強くなったんです。人を頼りにするんじゃなくて、自分で考えて自分が動くことは大事だし、それに対して期待してもらえると、それに応えたい気持ちで一生懸命になっているのが今だと思います。だからそういうきっかけをくれたRIZINを盛り上げたいっすね」
――そうなったのも安藤選手が色々な選択肢があるなかで腰を据えてRIZINで戦う決断をしたからだと思いますよ。
「自分は修斗でチャンピオンになったあと、飛び級じゃないですけど一気に海外で活躍することを狙って、そういう相手を選んでいたというか、いいオファーが来るまで試合を選びすぎちゃって。試合が年一ペースになっていたのが、ちょっともったいなかったなと思うんですよ(苦笑)。今はそれを取り返したい気持ちになっているんで、これからRIZINに連続参戦して挽回していきたいっすね」
■視聴方法(予定)
7月27日(日)
午後1時00分~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!