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【SUPER RIZIN04】急転直下のGP出場とガジャマトフ戦。征矢貴「打撃で上回って勝たないといけない」

【写真】勝利の大切さ、MMAの戦い方を十分に理解している征矢がGPで覚醒するか (C)TAKUMI NAKAMURA

27日(日)にさいたまスーパーアリーナで開催される超RIZIN04で開幕するRIZIN World GP2025フライ級トーナメントの1回戦で、征矢貴がアリベク・ガジャマトフと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

征矢はRIZIN公式Youtubeチャンネル「榊原社長に呼び出されました」で榊原信行CEOに直談判して急転直下のトーナメント出場が決定。その4日後には公開抽選会に参加し、プロ戦績5戦5勝(4KO・1S)を誇るガジャマトフとの対戦が決まった。

2023年9月にラマザン・テミロフに敗れたことをきっかけに、征矢はVS外国人選手に向けたフィジカル強化に着手。5月のRIZIN男祭りではMMAルールでジョン・ドッドソンに勝利し、海外勢に勝つための準備を続けてきた。


結局どう戦ってもいいし、テイクダウンしてもいいと思うんですけど、ファンに面白くないと思われる試合をしたらしょうがない

――RIZIN公式YouTubeチャンネルの「榊原社長に呼び出されました」(バラ呼び)に出演してフライ級トーナメント出場が決定。4日後に抽選会が行われてアリベク・ガジャマトフと対戦することになりました。征矢選手にとっては激動の一週間でしたね。

「一週間前は本当に何も決まってなかったのですが、リザーブファイトが組まれる可能性があるかもしれないと思って、そのチャンスをもらえるように試合をするつもりで練習はしていました。だから正式にトーナメント出場が決まって本当によかったなと思います。ただいきなりガジャマトフにやることになるとは思ってなかったです(苦笑)」

――最初にトーナメントの8選手が発表されたあと、SNSでも「なんでジョン・ドッドソンに勝った征矢がトーナメントに出られないんだ?」という意見も多かったです。征矢選手はそういった声を見てどう感じていましたか。

「嬉しかったですね。それだけファンの方が認めてくれているんだなと思って。と同時に、あの時点ではトーナメントには出られなかったので、自分に期待してくれているファンの方たちに申し訳ないなと思っていました」

――その一方で「バラ呼び」ではなぜ征矢選手が落選したのかについて、榊原CEOが厳しい言葉も交えつつ征矢選手に説明する一幕がありました。

「榊原さんから『ファンは選手の生き様を見ているんだ』と言われて、勝敗はもちろん、RIZINという団体は勝ちっぷり負けっぷりを求められるというか、ファンを満足させなければいけないんだなと思いました。榊原さんの試合を裁くのはレフェリーだけど(試合内容を)ジャッジするのはファンだという言葉もすごく響きました。

僕自身ある程度はそれを分かっているつもりでしたが、ドッドソン戦はどうしてもトーナメントに出たいという一心で勝ちを拾いにいくような試合をしてしまって、それが不正解と言われたら難しい話ではあるんですけど、あの選択が間違っていた部分もあったんだなと思いました」

――YouTubeの企画とはいえ、榊原CEOとああいう話をする機会はなかなかないと思います。

「はい。今までこういう機会はなかったですし、榊原さんは本気で思っていること言われているんだろうなと思いました」

――ファン・選手とは違うプロモーターの目線も知ることが出来たと思います。榊原CEOの言葉を聞いて何を感じましたか。

「選手個々に求められているものは違うと思うし、ただ打ち合えばいいというわけではなく、僕に求められているものはこれだなということを何となくですけど自分でも気づけた瞬間ではありました。結局どう戦ってもいいし、テイクダウンしてもいいと思うんですけど、そこで膠着する時間が長かったり、ファンに面白くないと思われる試合をしたらしょうがない。

僕を応戦してくれているファンの人たちは僕が何をしても応援してくれると思いますが、初めて格闘技を見に来た人や僕に全く興味がなくてRIZINを見に来てくださったファンの方に対してこそ、『この選手すげえじゃん!』と思わせるような試合をしないといけないんだなと。僕のファンじゃない人たちを僕のファンにして帰すことが大事だということを感じましたね」

――そして急転直下トーナメントへの出場が決まり、抽選の結果、5戦5勝(4KO・1S)の戦績を誇る強豪ガジャマトフとの対戦が決まりました。

「ここで対戦相手がガジャマトフになるあたり、非常に俺らしいなと思いました(苦笑)。ただ最後の番号=10番を引いた時、みんな扇久保さんの対戦を避けて扇久保さんが最後まで残る可能性もあると思ったんですよ。一回戦から同門対決は避けたかったので、そこはホッとしました。当然フライ級にベルトは一本しかないので、扇久保さんとやるならトーナメントの決勝や特別な舞台でやりたいです」

――直前にガジャマトフとやるかもしれないという予感もあったそうですね。

「僕、扇久保さん、伊藤(裕樹)選手が同じ控室だったんですけど、抽選会の前に扇久保さんは『トーレスの隣が空いていたらトーレスに行く』と言っていたし、伊藤選手も僕とかズールーみたいなストライカーとやりたいと言っていたんですよ。それで僕は僕でガジャマトフが来る気がすると言っていたら、みんなその通りになったんですよね。くじ引きと抽選でこうなるってことは、みんな“引き寄せる”何かを持っているんだなと思いました」

――イレギュラーな形でトーナメント出場が決まり、一回戦で無敗の未知の強豪=ガジャマトフと対戦する。強引な見方かもしれませんが、まさに征矢選手のことが試されるマッチメイクになったと思います。征矢選手もそういったテーマ性は感じますか。

「抽選会でも言いましたが、ガジャマトフが北方大地選手にKO勝ちしたあとに『ドッドソンと戦いたい』と言っていて、もしかしたら自分とは縁があるんじゃないのかなと思っていました。ガジャマトフは確実に強いストライカーではあるし、ガジャマトフのような未知の強豪と戦うことになって、自分の実力を試されているというか、ここで勝たないといけない。ガジャマトフ相手に打撃で上回って勝たないといけないなと感じましたね」

――競技者・ファイターとしてドッドソンに勝ったことで自信になった部分はありますか。

「僕はベアナックルとMMAでドッドソンと2試合連続でやらせてもらったんですけど、その前にラマザン・テミロフにKO負けしているんですね、。その時に外国人選手とのフィジカル差を感じて、テミロフ戦以降はかなりフィジカルトレーニングに比重を置いて、外国人選手に当たり負けしないための体を作ってきました。その結果、MMAでドッドソンとやった時にドッドソン相手に下がらずプレスをかけ続けることが出来て、組みでも上回って勝つことができたので、そこで外国人選手と戦えるフィジカルを持っているという自信はつきましたね」

――テミロフ戦での敗北がターニングポイントだったのですか。

「あの試合で意識が変わりましたね。テミロフやガジャマトフのような中央アジアの選手たちは“試合”じゃなくて“戦い”に来ているというか。もちろん格闘技はスポーツなんですけど、それ以上の覚悟で戦っている印象も受けました」

――テミロフ戦後から取り組んできたものが形になったのが、MMAルールでのドッドソン戦での勝利だったわけですね。

「はい。今は外国人選手が相手でも自分がフィジカルで劣っているとは思わないですし、むしろそこでも上回ることが出来る自信もあります。あとはドッドソンとベアナックルで戦って、あれ以上の緊張感はないと思うんですよ。だからどれだけ強い相手が来たとしても、相手に対する恐怖感はないです」

――ベアナックルファイトはバイオレンスさがクローズアップされますが、ドッドソンとベアナックルで戦ったことでMMAに活かせるものもありましたか。

「まずドッドソンと素手で殴り合うなんて正気では出来ないです(苦笑)。ドッドソンと素手で2分5R=10分間も向かい合って、彼のスピードを体感して、自分では真似できないものがあると思ったんですけど、そういう相手と戦う時にどうすれば勝てるのか、格闘技そのものに対する考え方も深まりましたし、僕はドッドソンとベアナックルで戦って学んだものは多かったです」

――結果的に4戦連続で外国人選手と戦うことになりましたし、キャリア的にも外国人選手と戦うタイミングかもしれないですね。

「そういう運命なんだと思います」

扇久保さんが本当にトーレスを選んだこともびっくりしました

――1回戦の他の試合で気になる試合や組み合わせはありますか。

「扇久保さんが本当にトーレスを選んだこともびっくりしましたし、アーセン選手が(神龍)誠を選んだのも結構意外でした。決まったカードを並べてみるとストライカーとストライカー、グラップラーとグラップラー、同タイプの選手がぶつかる組み合わせになったかなと思います」

――2回戦以降に勝ち進んだ場合、戦いたい相手はいますか。

「今は目の前のことしか考えてないですけど、昔は元谷(友貴)選手に興味がありましたね。僕が修斗で戦っていた時に元谷選手はDEEPの絶対的なチャンピオンで。当時交わることはなかったんですけど、いつかこの選手とやってみたいという気持ちはありました。もしチャンスがあれば元谷選手とは戦ってみたいです」

――征矢選手にとって、今回のトーナメントの位置づけとは?す

「シンプルに格闘技人生で最大のチャンスですよね。僕はまだ30年しか生きていないですが、その30年の中で今年は一番努力しなきゃいけない年になると思いますし、MMAファイターにとって30歳は一番いい時期、年齢的にピークだと思うんですよ。だから本当にこのトーナメントはチャンスだと思います」

――ある意味この一週間で征矢選手の人生は激変したと思いますし、このチャンスを掴めるかどうかは征矢選手次第ですね。

「それこそこんなチャンスが巡ってきたのはファンのみなさんのおかげだと思います。いくら僕がトーナメントに出たいと言っても、ファンの声がなかったら僕とトーレスが追加されることはなかったと思うので。だからこそファンの期待に応える試合をしたいです」


■視聴方法(予定)
7月27日(日)
午後1時00分~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!

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