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【RIZIN51】総選挙の結果——フライ級GP準決勝は扇久保×ガジャマトフ、元谷×神龍。伊藤はリザーバーに

【写真】まさに総選挙(C)TAKUMI NAKAMURA

19日(火)、東京都内にて「RIZIN WORLD GP 2025 FLY WEIGHT TOURNAMENT 2nd ROUND総選挙」が開催され、フライ級GP準決勝の対戦カードが決定した。
Text by Shojiro Kameike

総選挙には7月27日の超RIZINで行われた、GP1回戦で勝利した元谷友貴、扇久保博正、伊藤裕樹、アリベク・ガジャマトフ、そして神龍誠が登場。99名による投票は2回に分けて行われ、いずれも観たい対戦カードを記入する。結果、選ばれた4名がフライ級GP準決勝に進出し、残り1名はリザーブマッチが組まれるという仕組みで総選挙が行われた。


総選挙ではまず5選手が各々スピーチを行った。

元谷友貴
「DEEPの元谷です。このフライ級GPの展望はベルトを獲ること。戦いたい相手は神龍選手です。僕は10年以上前にDEEPフライ級で、当時最年少で王者になりました。その後に神龍選手が最年少で王者になっています。このDEEP新旧対決をしたいと思っています。ファンの声で決まるならば、このカードが良いと思っているので。これも巡り合わせというか、こういうタイミングでしか決まらないこともあります。このカードが観たいという方は、投票をお願いします。

僕はDEEP代表として、ずっとRIZINで戦ってきました。DEEPで育った僕は現役の間に、佐伯さんにRIZINのベルトを獲る姿を見てほしいと思っています。そして僕を応援してくださる方と一緒に喜びを分かり合いたいです。そして感謝を伝えたいと思っています。僕を応援してくださる方と一緒にGPを戦いたい。投票よろしくお願いします」

扇久保博正
「私、扇久保博正は20年間、この格闘技をやってきました。強さを求め、強いヤツと戦って勝ちたくて格闘技を続けてきました。私は現UFC世界フライ級王者のアレッシャンドリ・パントージャにも勝っております。フライ級トーナメントで私が優勝しベルトを獲ったら、たくさんの強豪外国人を呼んでいただいて、私に全員当てていただき、勝って日本のRIZINの強さを証明していきたいと思っております。準決勝はアリベク・ガジャマトフ選手と戦わせてください。よろしくお願いします」

伊藤裕樹
「ショッパイ想いはさせない党の伊藤裕樹です。皆様に熱い想いを届けたいと思います。いよいよ僕の地元、名古屋でRIZIN51が開催されます。この地でフライ級の未来を切り開くために、今日まで全力で選挙活動を行ってきました。トーナメントでは異例の投票システムの中、最初は『誰々が落ちるべきだ』『媚びを売っているからアイツが落ちろ』『ショッパイ試合をしているから落選しろ』、そんな想いもありました。今は違います。誰かが落選するというよりも、僕が準決勝に進んで勝ちたいという気持ちが強くなっています。

候補者の中でいえば圧倒的に実力不足かもしれません。チャンピオンに相応しくないと感じる方もいるでしょう。だけど格闘技をやる理由は、誰かに限界や不可能を決められるためじゃありません。このトーナメントを通じて自分の強さと、チャンピオンとしての器に相応しい男になるために参戦したいです。皆さんと共に一緒に成長していきたいと思っています。誰よりも熱く、誰よりも2000万円——間違えました。RIZINフライ級GPのベルトのために情熱を注いでいます。

僕が優勝したあかつきには、RIZINフライ級が世界一と思われる。それが今の目標と夢です。ある偉人の名言で好きな言葉があります。『夢はいつか叶う』そのために全力を尽くすことを誓います。準決勝は扇久保博正、元谷裕樹、アリベク・ガジャマトフと皆さん素晴らしい選手です。誰が立ちはだかろうと構いません。9月28日、IGアリーナを一番盛り上げる自信があります。フライ級に伊藤裕樹が必要不可欠だと思わせるような試合をします。そして決勝戦、5月に敗れた神龍誠にリベンジしてチャンピオンになりたいと思います。一緒に最高の未来を創りましょう。清き一票をよろしくお願いします」

アリベク・ガジャマトフ
「私が生まれた村には、人生の選択肢やチャンスといったものが、ほとんどありません。そんな村で生まれ育った私にRIZINが声をかけてくれたこと、手を差し伸べてくれたことは私だけでなく、故郷の仲間全員にとっての希望となっています。投票に入る前に、今日なぜ私がここに来たかをお話させてください。

私は今、RIZINが取り組んでいることが格闘技の歴史において前例のない挑戦であり、革新的な一歩であると理解しています。ここにいる他の選手たちにとっては、プロフェッショナルとして立ち振る舞う、ほんの数時間なのかもしれません。しかし私にとっては、何日もの犠牲を伴うものです。私は今回、1人で日本にやってきました。日本と行き来するだけで70時間以上かかりますし、時差に慣れて本格的なトレーニングを再開するまで数字はかかってしまいます。前回の減量も過酷なものでしたが、今回もまた同じような苦しさが待っていると覚悟しています。私はおよそ10日間、トレーニングと体づくりの期間を失うことになるのです。それでも私は、ここに来ました。自分の覚悟を示すために、今ここにいます。

私にはこのGPに出場する明確な理由があります。それは自分の人生を変える、ということです。何も持たずに育った少年にとって、これは人生を変える大きなチャンスであり、そのための大切な賞金でもあります。だからこそ私はこのGPで勝ちたい。その勝利を最もエキサイティングな形で掴み取りたいと願っています。どうか皆さん、私に人生を変える力を、そのチャンスを与えてください。応援よろしくお願いします」

神龍誠
「僕が格闘技を始めたのは小学2年生の頃。中学を卒業と同時に、高校には進学せず15歳でプロデビューしました。格闘技だけでは食べていけず、周りの友達が青春真っ盛りで遊んでいるなか、僕はアルバイトをしながら毎日練習とバイト先を往復していました。遊ぶお金なんてあるわけもなく、ボロボロのアパートで暮らし、キツイ練習をするなかで正直つらかったし、自由に遊ぶ同級生たちが羨ましくて、何度もブレそうになりました。勝ち続けてもRIZINの舞台に立つまでは3年以上かかりました。この長い下積み時代が、雑草のように負けない心をつくってくれたと思います。そして今、挫折を乗り越えて、ようやく大きな花を咲かせるチャンスが目の前に訪れています。苦労をしてきたからこそRIZINへの想い、格闘技に懸ける想いは誰よりも強いです。

少し話は逸れますが、先日UFCでは平良達郎選手が素晴らしい勝利を挙げていました。そんな時『やっぱりUFCが最強だ』『RIZINはたいしたことない』という意見を目にしました。今、フライ級最強はRIZINではないという現実があります。僕は悔しいです。このRIZINフライ級GPは世界にも負けない強豪たちが頂点を獲るトーナメントだと思っています。確かに人気やエンタメ要素も必要かもしれません。でも最後は強いヤツが一番になる世界です。僕がチャンピオンになって、RIZINフライ級が世界最強であることを証明します。だから僕に付いてきてください。絶対後悔させません」

このスピーチを受けて1回目の投票が行われ、得票数36で扇久保×ガジャマトフが決定した。決まった瞬間、扇久保は「ヨッシャ!」と声を挙げた。次に元谷、伊藤、そして神龍が残った中で2回目の投票へ。得票数が過半数を超え、元谷×神龍が選ばれた。準決勝に進出した4名のコメントは次のとおりだ。

神龍
「皆さん投票ありがとうございます。本当にメッチャ緊張したんですけど無事、元谷さんと試合できることになって嬉しいです。元谷さん、良い試合しましょう。絶対にブッ倒すので、DEEP新旧対決やりますか。よろしくお願いします」

元谷
「皆さん、ありがとうございます。このチャンスをしっかりモノにして、ベルトをしっかり獲ります。神龍選手とDEEP新旧対決で、噛み合うんじゃないかと思っています。ここを乗り越えて、頑張ります!」

ガジャマトフ
「皆さん、私に投票してくださり、ありがとうございました。対戦相手の扇久保選手が、非常に強いことは知っています。100パーセントの準備をして、次回の試合は前回と同じように見応えのある華やかな試合をお見せしたいと思います。そのために全力を尽くします」

扇久保
「皆さん、投票していただき本当にありがとうございます。ガジャマトフ選手のスピーチを聴いて、ものすごくハングリー精神のある、とても危険な相手であると感じました。僕のことを仕留めに来ると思うので、そんな彼を塩漬けにして最後に『何だコイツ!?』という顔をさせてやりたいと思います。必ず勝ちます。よろしくお願いします」

そして残念ながらリザーブマッチに回ることとなった伊藤裕樹は、涙声で言葉を詰まらせながら、次のように語った。
「正直、頭が真っ白です。自分の地元、名古屋で準決勝を戦いたいと思っていましたけど……こうしてリザーバーに回っちゃいました。これでチャンスがなくなったわけではないので。少しでも可能性があればいいかな、と思います。僕に投票してくれた皆さんには感謝します。僕が落ちてRIZINが悪いだの、そういうのは止めましょう。僕のことが嫌いでも、RIZINのことは嫌いにならないでください。ありがとうございました」

今回決定したフライ級GP準決勝の2試合は、9月28日(日)に愛知県名古屋市のIGアリーナで行われる。準決勝進出は成らなかった伊藤にも、最高のリザーブマッチが組まれることを願いたい。

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