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【DEEP106】伊藤裕樹戦へ、福田龍彌─01─「持っていないんだから、運に任せてはいけない」

【写真】福田は言葉を持っている。そういう選手です(C)SHOJIRO KAMEIKE

26日(土)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP106で、元修斗世界フライ級王者の福田龍彌が伊藤裕樹と対戦する。

昨年7月に修斗のベルトを失った福田が、次の戦う舞台として選んだのはDEEPのケージだった。しかも初戦でDEEP王者の神龍誠と対戦、判定負けを喫したものの、現役チャンピオンに肉薄する実力を見せつけた。
そんな神龍戦から4カ月――DEEP2戦目となる伊藤戦を控えた福田が、神龍戦と現在の自分自身について語る。


――伊藤裕樹戦を1週間後に控えてのインタビューとなります(※取材は2月18日に行われた)。

「はい、よろしくお願いします!」

――まず次の試合の前に、前回の神龍誠選手との試合について振り返っていただきたいと思います。神龍戦の内容と結果については、どのように捉えていますか。

「負けちゃったかぁ、という感じです。ただ、自分のやりたいことはできていました」

――試合全体を通して見ると、神龍選手よりも福田選手のほうが、自身のやりたいことをやり通していたように思います。3R、あの右ストレートを受けるまでは……。

「そうですね。あのパンチをもらった以外は、練習どおりに動けていました。僕って、ずっと器用貧乏やったんですよ」

――器用貧乏とは、何でもできる一方で特に秀でたものがなかったということでしょうか。

「何でもやっているなかで、何を武器に戦えばいいのか分からなかったところがあったんです。でも神龍君との試合で、自分の武器が分かったというか。前回の試合は、内容も結果も含めて良い経験になりました」

――試合に向けて練習しているなかで、自分の武器に気づいたのでしょうか。あるいは、試合の中で気づいたものですか。

「試合中に分かった感じです。MMAって難しいじゃないですか、やることが多くて。でもそのなかで、『あぁコレコレ、なるほど』って感じるものがあったんです」

――どのような点に気づいたのか、具体的に教えてもらうのは……。

「それはできないっすね(笑)。でも神龍君との試合で気づいてから今まで、その部分で勝負できるように取り組んできました。おかげで今も日々、格闘技を楽しめているんですよ。もう次の試合が楽しみで仕方ないです」

――神龍戦を通じて分かったことというのは、福田選手が今まで持っていたものだったのですか? それとも新しく身につけたものでしょうか。

「新しいものではないです。今まで経験を積み重ねてきた結果なんじゃないでしょうか。僕も場数を踏んできましたからね」

――福田選手は2011年にプロデビュー、プロキャリアは10年を超えました。

「今までの試合と、神龍戦で気づいた部分が繋がったんですよ。キャリアを振り返った時、あぁこういうところで負けていたな、と思う部分があって。それが明確になりました」

――では3R、ダウンを喫した神龍選手の右ストレートについては、どのように考えていますか。

「パンチをもらった時は一瞬、意識が飛んでしまっていて。あのダウンがあったから負けた、それだけです。でも次に対戦することがあったら、もっと一方的な試合にできる。次の試合で同じパンチを食らうことはないです」

――なぜ、前回の試合ではあのパンチをもらってしまったのでしょうか。

「自分が絶好調な状態では避けられんパンチでした。タイミングもグチャグチャで、しかも見えないパンチで。イヤイヤの状態で出してきたけど、芯がある一発でしたね。今は、ああいう事故パンチをもらわんために、いろいろ考えながら練習しています。あんなパンチが飛んできても対処できるように」

――ジャッジ2人が神龍戦にフルマークをつけていました。

「アハハハ」

――福田選手が相手のテイクダウンをスプロールしながら、ボディブローを効かせ、神龍選手の動きを止める場面もありましたが……。

「分かります。まぁ……DEEPでは安谷屋戦も、そんな感じで負けたところもあったんで(2019年4月、安谷屋智弘に判定負け)。僕は今、戦績にはそんなにこだわっていないんです。いかに自分が、試合で良い動きができるかどうか。結果は気にしていなかった。それなのに、いざ負けると採点について考えている自分が情けないですね」

――……。

「結果については、やっぱり悔しいですよ。悔しいけど、あのパンチをもらったことで、今は純粋に格闘技を楽しめているので。神龍君と対戦させてくれたDEEPにも感謝しています。おかげで現役生活のモチベーションは高いです(笑)」

――なるほど。

「神龍戦については、彼が持っている、としか言いようがないですね。僕は持っていなかった。持っていないんだから、運に任せてはいけない。10回戦ったら、10回勝てるようにしていかないと」

――10回戦って10回勝てるようにする……、相当に困難です。

「KOや一本を取るまでの段取りを飛ばしてはいけないと思います。たとえば建物とか、基礎がしっかりしていないと、地震や災害に耐えられないじゃないですか。格闘技でも、練習や試合で手抜き工事はしないように……。次の伊藤君との試合は、もっと良い質の試合をお見せしますよ」

<この項、続く

■視聴方法(予定)
2月26日(土)
午後5時40分~SPWN PPV
午後5時40分~ニコニコ生放送

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