【Shooto2021#05】SASUKE戦へ、工藤諒司─02─「ケージ際、組み際、離れ際の攻防で僕が勝っている」
【写真】決して能弁ではない工藤。ただし、試合になるとMMA IQの高さ、インテリジェンスさがひしひしと伝わってくる (C)MMAPLANET
25日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2021#5で、斎藤裕が返上した世界フェザー級王座をSASUKEと争う工藤諒司のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike
ONE Warrior Seriesを経て修斗公式戦に復帰した工藤には、意外に思えるほどの修斗愛が存在している。工藤にとっての修斗とは? さらにSASUKE戦について訊くと、内に秘めた絶対的な自信が浮かび上がってきた。
<工藤諒司インタビューPart.01はコチラから>
──RIZINよりも修斗のほうが上……失礼ながら、そういった意識を持っていることが意外です。
「そうですか? 修斗から世界で戦う選手も多いですよね」
──ただ、工藤選手の世代のファイターだと、修斗という舞台をUFCやONEで戦うためのステップと考えている選手が多い、と勝手に思っていました。
「確かに『修斗のベルトを獲得したら箔になる」とは言いましたが、単なるステップだとは思っていないですよ」
──たとえば、修斗世界フェザー級王者であった斎藤裕選手が、朝倉未来選手に勝利してRIZINフェザー級のベルトを獲得しました。その結果、斎藤選手は修斗のベルトを返上しています。
「斎藤選手と対戦したかった、という気持ちはあります。世界王座の防衛戦も、しばらく行われていなかったですし」
──斎藤選手だけでなく、他のプロモーションでもチャンピオンがRIZINに出場することで、ベルトを返上したり防衛戦が行われなかったり……といったことが多くなっていますよね。
「それは仕方ないです。斎藤選手が朝倉選手に勝った時、『修斗のベルトは返上するんだろうな』と思いました。それよりも、斎藤選手は修斗を背負ってRIZINのリングに上がり、朝倉選手と戦って勝ったわけですよね」
──はい。
「それは斎藤選手が、RIZINで修斗のベルトの価値を上げてくれたのだと思っています」
──……!!
「そのおかげで、僕に修斗のベルト挑戦のチャンスが巡ってきた。僕は、そのことに感謝しています」
──すごい修斗愛であり、ポジティブ・シンキングですね。だからこそ、ONE本戦出場の機会が絶たれても、修斗で戦うことに切り替えられたのでしょうか。
「そうですね。また修斗で戦うことにはなりましたけど、しばらく修斗で試合をしていなかったので、ランキングは下がっていたじゃないですか」
──2020年9月の野瀬戦の時は、ノーランカーでした。またイチからランキングを上げていかなければいけないことに、抵抗はなかったのですか。
「またイチからか……とは思いましたが、抵抗とかは一切なかったです。別にMMAの試合感覚が空いているわけではなかったですし、何より試合で負けるとかは全く考えていなかったので」
──また勝っていけば、すぐにランキングも上がっていく、と。
「そうやってランキングを上げていって、ベルトを狙う。結果的に今回、世界王座へ挑戦することができていますし」
──修斗公式戦に復帰して3試合目で、空位の世界フェザー級王座を、環太平洋王者のSASUKE選手と争うことになりました。工藤選手は現在、世界ランキング7位です。
「そうなんです。ランキング7位なので、ベルト挑戦はもう少し先かな、と思っていました。あと数試合したら挑戦できるかな、と考えていましたが、思ったよりもチャンスが来るまで速かったですね」
──ご自身の中では、今ベルトに挑戦するタイミングだと考えていますか。
「はい。今、良い調子で勝ち星をつけられてきています。戦績やランキングから考えると速いかもしれませんが、自分にとって良い流れじゃないかな、と思っています」
──では、今回対戦するSASUKE選手の印象を教えてください。
「これまでの試合を見ると、総合的な選手ですよね。打撃から寝技まで。柔道出身なので、組んでから足をかけて倒すのも得意ですし。さらに寝技で抑え込むのも得意で」
──工藤選手はレスリング、SASUKE選手は柔道と競技は異なりますが、組み力を持っている選手同士の一戦となります。
「確かにレスリングと柔道ですけど……ケージ際、組み際、離れ際の攻防は僕のほうが勝っていると思います」
──ケージ際、組み際、離れ際……それは、全部勝っているということですよね。
「はい、負ける気は一切ありません。勝つ自信がないと、格闘家はやっていませんから」
──とても強い言葉です。
「具体的に言うと、同じように組技がベースでも、タイプが違いますよね。僕は自分のレスリング力を、攻撃よりはディフェンスに使っているので」
──テイクダウンディフェンス、スクランブルで上を行く、ということですね。
「レスリング力をディフェンスとして使い、打撃で攻撃することが多いです。組まれても倒されずにヒジを当てたり、相手が組みを嫌がったところで打撃で勝負したり」
──いくつかの修正はあっても、その根本的なファイトスタイルは、以前から変わらないですよね。
「どの試合でも戦略は変わりません。試合前に、どういう動きをしてくるか、といった相手の情報を掴んで対策は考えますが、自分自身の戦略は同じです」
──なるほど。世界チャンピオンシップは、工藤選手にとって初となる5R制です。
「この間、パンクラスのタイトルマッチ……ISAO選手と中島太一選手の試合(5月30日、ISAOが5R判定勝ち)を見ましたけど、5Rはキツイと思います。でも、相手も5R戦ったことがなくて、お互いに未知の世界なので、条件は同じですから」
──最近の試合のように、序盤でチャンスが来て、一気に攻め立てることがあるかもしれません。しかし、それで仕留められなかった場合、後半はキツくなるでしょう。
「それは、試合の流れの中で見極めていかないといけないですね。チャンスがあれば、行きます。もちろん、それで倒せなかった場合のことも、頭にはあります」
──SASUKE選手も、長期戦のゲームメイクは巧いでしょうね。
「そうだと思います。僕は5R戦うつもりで挑みますし、あとは試合の流れに任せます。そして僕は、その流れを見極めるのが下手ではないので」
■視聴方法(予定)
7月25日(日)
午後5時~ ABEMA格闘チャンネル