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【ONE106】過去最強の相手タン・リーと対戦、高橋遼伍─01─「いっぱいアドバイスは貰っています」

Ryogo Takahasi【写真】まさに満を持しての出陣となる──高橋遼伍(C)TSP

来年1月10日(金・現地時間)にタイはバンコクのインパクト・アリーナで開催されるONE106「A New Tomorrow」で高橋遼伍が、タン・リーと対戦する。

J-MMA界を代表するレッグ・キッカーの高橋と、テコンドー一家に育ち独特の打撃で北米MMA界で結果を残してきたリー。キャリア随一の強豪と戦うことになった高橋をAbema TV公式YouTubeチャンネルのドキュメンタリー「THE WONDER」が密着。同番組内でMMAPLANETではリー戦に特化したインタビューを行った。間合いと距離、試合勘について高橋は何を語ったのか。


──1月10日にバンコクでタン・リーと戦う高橋選手です。オファーがあったのはいつ頃ですか。

「11月半ばでした。だから、調整の時間はしっかりとありましたね」

──今年は5月のケアヌ・スッパ戦、そして7月の高橋孝徳戦と戦ってきましたが、そこから半年ほど試合間隔が空いてしまいました。どれぐらいのタイミングで本来は戦っておきたかったですか。

「一番出たかったのは日本大会です。日本大会をメドに準備していましたが、声は掛からなかったです。なら11月に試合をしたいと思って調整していたのですが、来たのが代役のオファーで2、3週間前にフィリピン大会で韓国のあの……、ブラジル人に勝った……」

──キム・ジェウンですね。

「ハイ。あの相手ですね。あの選手とのオファーがあったんです。ただ、あの大会もその前にカードが出揃っていたので、もう自分の出番はないと思って試合モードをオフにしていたんです。ここから試合モードに戻すことはできないと感じたので、あのオファーは断りました」

──それは怖くなかったですか。ここで断ると、またしばらく試合ができないかもしれないという部分で。

「そこは本当に考えました。5月の試合内容も良くなかったですし、でもあのタイミングで試合をしても同じことになって良い勝ち方もできない。そこは我慢して断ったんです」

──いや、キム・ジェウンと戦うのに準備不足という状況は結果がどうなるにしても避けて正解だったと私は思います。

「まぁ、完全に強かったですよね。ボディ打ちとか凄かったです」

──気持ちが一度オフになったときに戦う相手ではないです。ただ、すぐにタン・リーとの試合のオファーがあったのはホッとできましたね。

「そうですね。タン・リーは当たるだろうなって山を張っていたファイターなので。オファーが来た瞬間に即決しました。断ったら、それこそもうオファーはこなくなりますしね(笑)」

──キャリア最強の相手が来たと考えて良いかと思います。

「自分もそう思います」

──どこが彼の強さだと思いますか。

「打撃ですかね。試合の映像とか見ても打撃しかしていないので、それ以外の部分は分からないです。ただ自分もUFCを目指してしてやってきて、病気やケガとかいろいろあってONEで試合をすることになったんですが、米国のLFAでベルトを獲った人とファイトはしたいです。良い相手が来たなって思っています」

──8月に道場の先輩である朴光哲選手と戦っていることで、ジム全体でタン・リーの研究が進んでいるということは?

「う~ん、僕はあの時はあまり練習していない時期で、朴さんの試合前の練習にもよっていなかったんです。でも、この試合が決まってからは、色々な人からいっぱいアドバイスは貰っています。『ミドルキックからのパンチに注意しろ』というアドバイスは、練習をしたことがない人たちからも言われていますね」

──追い突きですね。

「ハイ。普段はかかわりのない人からも『追い突き』のことは聞かされて、10人中10人がそこを言っています」

──アハハハ。それは朴選手も気にしていて、蹴りに踏み込んで追い突きは被弾しなかった。でも……。

(C)ONE

(C)ONE

「違う方のパンチを貰ってしまって……。追い突き+そのあとのプラスのパンチも気を付けないといけないです。そこははまぁ、その前の蹴りから気をつけろということなんですけどね」

──ONEの試合を見ていると、キックや打撃系格闘技のリズムと距離がそのままなのか、韓国人選手やスタンプ・フェアテックスなどの試合を見ても、蹴った直後にパンチという流れが北米ユニファイドの試合よりも多くなってきたと思います。

「結局、間合いが近くなっているんじゃないでしょうか。蹴った後のパンチが当たるというのは。なんか、ONEにしかないんかなって」

──ONEはテイクダウンへの評価が低いので、あのレンジと真正面に立っての打撃戦が増えてきたのかもしれないですね。

「東南アジアの選手って、ムエタイを経験している人が多いから、戦っているうちに噛み合ってきてああいう風に蹴って、そのままパンチを打つような試合になるのかなって。自分もやっぱり普段は、そういうことやらないですもんね」

──つまり高橋選手がこれまで積み上げてきた距離とは違うわけですね。

「違いますね」

──そうなってくると北米で戦ってきたタン・リーは、なぜ蹴りからパンチが届くのか。これは高橋選手との間合い争いが楽しみになります。

「一応、サウスポーに構えてくるので、自分のローを蹴って当たるところで戦えば、距離の設定はできると思います。ただ、こればっかりは対面してみないと分からないんですよね。ほんと、そこは未知数です」

<この項、続く

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