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【ONE106】過去最強の相手タン・リーと対戦、高橋遼伍─02─「国内以上海外以下にはならない」

Ryogo Takahashi【写真】厳しい試合は覚悟のうえで、勝たなければ先がない──と高橋はタン・リー戦を捉えている(C)TSP

10日(金・現地時間)にタイはバンコクのインパクト・アリーナで開催されるONE106「A New Tomorrow」でタン・リーと対戦する高橋遼伍インタビュー後編。

昨年5月──1年7カ月振りの復帰戦ではケアヌ・スッバに負傷TKO勝ち、7月のプロ修斗公式戦では高橋孝徳をローで蹴殺した高橋はAbema TV公式YouTubeチャンネルのドキュメンタリー「THE WONDER」が密着した。

同番組内でMMAPLANETではリー戦に向けて、間合いと距離、高橋の試合勘に特化したインタビューを行ったが、後編では試合勘に焦点を当て彼の言葉を伝えたい。

<高橋遼伍インタビューPart.01はコチラから>


──対サウスポーという部分では?

Thanh Le「それは大丈夫ですよ。サウスポーは割とお得意なので。そこは問題はないけど、タン・リーの手足の長さであったり、テコンドー特有の間合いであったり、リズムであったりとか。一応、色々な人に話は聞いていますけど、そこは試合をしてみないと分からないですからね。オーソでも構えることもありますし、圧力、スピードにしても。朴さんは『そんなに大したことない』って言ってくれているんですけど」

──いやぁ、説得力ありまくりじゃないですか(笑)。朴さん、何を言っているのかって。

「『余裕で勝てる』ってメッチャ言われています」

──それを受けて、高橋選手はどのように思っていますか。

「これはですね……相手、強いので(笑)。舐めて掛かるって一番良くないですし。5月のスッバ戦は、舐めてしまっていました。それで動きは滅茶苦茶悪くて。たまたま相手が足の骨を折ったから勝てたようなもので。舐めないということは2019年の2試合で学んだことですね」

──実は1年7カ月のブランク……そこからの2試合で試合勘を取り戻すことはできたのか。相当に気になるポイントでした。

Takahashi vs Subba「7割、8割ぐらいですかね、スッパとの試合は。そんなに動きに問題はないと思っていたのですが、久しぶり過ぎてパンチとか一切見えなかったです。ということは、僕の動きが悪かったんでしょうね」

──あの試合は勝利と言う結果がでて良かったです。

「ホンマ、そうですよ。7月の修斗の試合も周囲は格下という風に見たかと思いますけど、5月のトラウマが強すぎたので凄く慎重に戦いました。だから、こういうと失礼な言い方になってしまうのですが、7月の高橋(孝徳)選手との試合は良い感じで自分の動きを確認する戦いになりましたね。

5月と7月はつながっています。5月は内容がなかった。だから帰国した次の試合から練習をしました。あの動きの悪さは、自分自身でも凄く深刻に捉えていたので。そして7月の試合を経て、練習もしっかりとやってきたので次の試合は良いパフォーマンスを見せられると思います」

──と同時に全く楽観視していないと。

「楽勝なんてないです。米国で結果を残しているファイターだし、強いと思っています」

──これからを考えても、凄く大切な試合になります。

「良い勝ち方をすることは必要なのですが、泥臭くても勝たないと。そうじゃないと先はないと思っています。僕の見積もりではタン・リーって、世界基準のど真ん中の選手やと思います。UFCとかも混ぜて考えると、偏差値は50です。

だからタン・リーに勝てると、世界でもそれなりに戦える。でも負けていたら、それ未満。日本人ファイターで一番良くないのは、国内以上海外未満にいることだと思うんです。実際にそういう人が多い。僕はそういう風になる気はないし、こう口にした限りは自分の言葉に責任を持たないといけない。結果で示す必要があります。

そうでないと、自分が一番ショックを受けます。タン・リーは凄く強い選手ですけど、自分を試すことができる良い試合機会です」

──タン・リーは高橋遼伍のローキックを受けたことがない。そういう気持ちが強いのですが。

「……やってみないと分からないです(笑)。ローキック、2、3発で怯むかもしれないですけど、効かすことができなくて自分が怯むかもしれない」

──テコンドーに下段はない。米国人はついこの間までローが下手だったと思いたくなります。

「自分のローキックも世界基準なのか、それ未満なのかを確かめることになりますね。だから気負ってはいます……久しぶりに緊張していますし(苦笑)」

──それは良い試合ということですね。

「青井の時以来ですね、こんな風になるのは」

──おお、青井人選手。2017年10月の試合ですね。

「あんなぽっと出の若造に負けられなかったですからね。あの時と同じぐらい、負けられない試合です。今回のタン・リーとの戦いは」

──正月明けの試合は練習パートナーの確保に苦労するというのが定説ですが……。

「なんか皆、集まってくれるみたいです。これまで、優しくしておいて良かったです(笑)。広島から冨樫健一郎選手が年末に来てくれるんです。『練習相手がおらんやろう』って。わざわざ僕と練習をするためだけに。そんな風に言ってくれるって、本当に嬉しいですよね。あとはミチノリ・タナカとか……」

──なぜ、ファーストネームから(笑)。

「アハハハ。まぁ、いつものメンバーになりますね。でも色々な人に声を掛けてもらいました。必要やったら連絡してとか言ってもらえて……。ホント、絶対に負けられないですよ」

──ONEは今、キックの試合が増えて興行数は増えていない。つまりMMAファイターのなかでも特に多い日本人ファイターは、試合機会をコンスタントに得るための競争にもなります。

「だからローキックですわ。やっぱり圧倒したいです。しっかりと勝つ、それしかないです。日本人相手なら、おしゃべりだけで自分が一番になります。でも、外国人相手だからそうもいかない(笑)。

2019年は準備期間になりました。ONEのフェザー級で戦う限り、弱い相手はいないし、全てが試される試合になります。自分に負けることなく、勝ち続けることができれば相手にも勝てるはずです。なので目の前の試合を一つずつこなしていくこと。勝ちますよ──僕は」

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