【Grachan42&Gladiator011】新Grandウェルター級王者・桜井隆多。朴訥な喜びの声「もう1、2試合は」
【写真】記憶と記録に残る一本勝ちでベルトを巻いた桜井隆多(C)MMAPLANET
昨年12月22日(日)に東京都大田区の大田区産業プラザPIOで開催されたGRACHAN42 X GLADIATOR11のメインで、桜井隆多がルクク・ダリを腕十字で破り、Grandウェルター級王者に輝いた。
48歳、プロデビューから21年が過ぎ修斗からDEEPに本拠地を移し、昨年3月にグラチャンを戦場に選んだ。恐らくはココを落とせば、もうタイトル挑戦の機会は巡って来ない。そして圧倒的な王者ダリが有利という下馬評のなか、初回から厳しい展開が続いた。
そして、ついにはパウンドアウト直前まで追い込まれた。それでも桜井は諦めず、ガードから腕十字を仕掛け──勝利を手にした。これ以上ないほど幸福感に包まれた控室で聞いた、喜びの声も朴訥な新チャンピオンのインタビューをお届けしたい。
──実は1R終了時ぐらいにカメラのバッテリーが無くなってきて、電池と桜井選手、どちらが持つのかなんて思っていたんです。
「アハハハハ。いやぁ、嬉しいですね。やっと獲れたということで夢心地です」
──パウンドを受けている時は、それこそいつストップになるかという感じでした。
「いやぁ、止められそうになっていたので……。何かアクションを起こさないといけないと思っていた時に、直感で『アッ、取れそうだ』ってなったんです」
セコンドを務めていた盟友・川尻達也 いやぁ、タオル……じゃなくてバトンを投げようかと思っていました。もうバトンがどこにあるのか確認していたぐらいで。
「バトンの方、見ていたか(微笑)」
──最近は川尻選手の動きが遅くなっていたから、バトンが投げられなくて済んだのですね(笑)。
川尻 アハハハハ。おいっ!!。ジジィじゃないですかっ!!(笑)
──いやぁ、でも今日は1999年ですかね……一緒に桜井選手とフランスに行ったよなぁとかケージの中を見ていて思い出してしまっていました。「自分もケージから高島さんが見えて、実は思っていたんです(笑)。『あぁ、見ているな』って」
──もう20年前ですよ。
「もう、そんなになりますか(微笑)」
──それでいて、この体を誇っていて。パウンドで殴られながら十字に入ることができる。それがあの時代のMMAを戦ってきた世代なんだとも思いました。スクランブルMMA時代の選手は、あの場面で下からの関節は……。
「仕掛けないかもしれないですね」
川尻 佐藤ルミナ✖ジョン・ルイスですよ。
「懐かしい」
──桜井選手は入場曲も佐藤ルミナ選手が勝利した時に流れるブラフマンのSEE OFFですね。それでもガードからの腕十字は正直、意外でした。
「そうですね。でも、あの動きは結構得意な動きで柔術でも取れたりとかして」
──そうなのですかっ!!
「取れなかったとしても、次の動きができるので……その辺が良かったのかと思います」
──格闘家が年齢の割には、ということが念頭に置かれるようになる。自分は長年見てきた選手ほど、そういう見方はできないんです。
「あぁ、そうですね」
──でもルクク・ダリに勝った。これはもう年齢に関係なく格闘家として強さを見せた勝利でした。
「ありがとうございます。最後はいつも通りの動きで、流れでした。だから結構いけるなって。クラッチをあれだけ掴んでくれる方が、安定できるので。逆にしっかりと取れるという気持ちがありましたね。変に動かれた方が嫌でした。
さっきも言ったように取れなくて、その先があるのであの場面はちょっと冷静でしたね。チョットだけですが」
──ここを逃せば終わりだと、見ている方がドキドキした場面かと思います。
「なぜだか分からないのですが、あの場面の時はちょっと自信がありました」
──次はもう長岡弘樹選手の挑戦を受けることが決まっていますね。
「そうですね」
──プロモーション・サイドとしては、ルクク・ダリ✖ウィル・チョープの再戦という画も描いていたかと思うのですが、完全に裏を行くカードが決定しました。
「アハハハ。これで長岡選手とやる流れになりましたね」
──今日は長岡選手もド根性、働き蟻ファイトでチョープを下しました。
「ハイ。自分もまた練習を頑張らないといけないですね」
──48歳からの格闘家人生。そのプランを教えてください。
「そうですね、まだできるなって(笑)。とりあえず今日はベルトを獲ることしか考えていなかったので。でも、もう1試合、2試合はデキると思うので、その時にまた考えようと思います」