【Shooto】山口から世界へ摩嶋一整─01─「もっともっと上のレベルで戦ってみたい」
【写真】毛利道場の皆と。山口県周南市からたくさんの応援団が、日曜日・夜の後楽園ホールに駆けつけていた(C)KAORI SUGAWARA
23日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されたプロフェッショナル修斗公式戦で、4年ぶりに試合復帰をした星野勇二をKOした摩嶋一整。
2014年アマ修斗全日本選手権で3位入賞経験のある山口県在住ファイターの摩嶋は西日本を中心に実績を重ねて来た2015年にはプロ修斗新人王決定トーナメントで優勝、昨年9月には闘裸男19では現在パンラスで活躍中の田中半蔵と対戦し、判定勝ちを収めている。
今回、4年振りの復帰戦となったキャリア33戦の星野を相手に初めて聖地・後楽園ホールで戦い、2R序盤に右フックでKOした。圧倒的な強さを見せた摩嶋が所属先の代表と共にMMAに対する姿勢や想いと、自身の目標について語ってもらった。
──勝利、おめでとうございます。
「相手はCAGE FORCEのチャンピオンだったレジェントのような存在でしたし、後楽園ホールという大きな舞台で試合をするのも初めてだったので勝てて嬉しかったです。前に減量がスムーズに行かなかったことがあるので、今回は気をつけて落としました」
毛利(昭彦代表) 今までパンパン落ちていたんで、放ったらかしていたんですよ。そしたら順調に落ちなかったことがあったので、今回はその時の悪かったところを見つけて絶対に減量で苦戦しないように道場のメンバーで最後まで一緒に色々考えながら調整させました。僕らも結構勉強になったし、みんなでサポートしながらうまく調整できたので良かったですね。
今までは一週間前になったらうまく体重も落ちるから大丈夫だと思って、『休息期間じゃけ道場来んでもええよ』と言っていたんですけど、今回は試合直前までずっと道場に来てチーム一丸となってやりました。上手く出来たので良かったと思っています。
「自分一人でやるよりもみんなに協力してもらってやる方がやりやすいし、追い込みもみんなが居た方が出来るんで助かりました」
──星野勇二選手は摩嶋選手より16歳上の大ベテランの選手です。試合をしてみていかがでしたか。
「経験が僕よりもあると思うんですけど、ぶっちゃけ特に負けるとか思う事はなかったです。ジムのみんなと一丸となって練習して来たんで、勝つ自信はありました」
──今日の試合では肩パンチを多用していましたが練習でも使っているのですか。
「肩パンチはあまり練習しないです。得意というか、試合でもつい出ました」
毛利(昭) いつも試合では僕がセコンドに付いているんですけど、練習でしないことも試合でポンと出したりするんです。本当に天才的というか、天性の才能みたいなものを持っていると思うんですよね。今日のKOした打撃も咄嗟に自分の反応で出たパンチなんです。
試合でも進化するし、近くにいる僕から見ても底が見えないんで、もっともっと試合をして、そこから進化していくのが楽しみですね。どんどん強いヤツとやってほしいです。
「やっぱり関東と比べたら山口はプロ選手も少ないので、どんどん色んな試合に出て、関東の強い選手と戦って経験を積みたいし、もっともっと上のレベルで戦ってみたいですね」
──山口と関東で何か差を感じているのでしょうか。
「関東が強いとかは思ったことはないですし、差は別に感じないです」
毛利(昭) 星野選手は僕が現役でやっている頃にトップ選手でやっていたのを見ているんで、今、どのくらい強いのかということに凄く興味があったんですよ。でも今日の星野選手との対戦は全然怖くなかったというか、まだまだ摩嶋の底が見えなかったんで、そこに驚かされました。
──前回の試合まで7連勝していてそのうちの6試合が一本勝利です。一本勝ちに拘りがあるのでしょうか。
「普段練習では結構寝技で仕留めたりするんですけど、打撃でKO出来たことは自分にとっても自信になりました。試合では勝ちを目指すのは当然ですけど、プロやったらKO、一本勝ちを狙うのが当然かなと思います。練習ではKOは出来ないんで、極める練習とかはちゃんとしています」
──ONEにも出場経験のある田中半蔵選手に昨年9月に勝利していますが、それでも今回の試合まで10カ月を要しました。
「焦ることはなかったです。仕事とかもあるんでタイミングが合えば、良い話が来たらどんどん出たい。それくらいですかね」
──春頃に中国での試合のオファーがあったと伺いました。
毛利(将文インストラクター) ちょっとタイミングが悪かったんです。彼は会社員をしながら修斗で試合をしています。あのオファーがあった時にはたまたま1年の中で仕事が1番忙しい時期で、練習が満足に出来ないから一回見合わせようということになりました。
──お仕事はどのようなことをなさっているのですか。
「工場の保善工事です。配管とかタンクとか直しています」
──今後、海外からのオファーがあった場合、出場したい気持ちはありますか。
「目標がUFCで戦うことなので、海外の試合にはやっぱり出たいです。UFCはやっぱり世界でナンバーワンの団体ですし、出られるならナンバーワンのところで戦いたいです」
──今回、星野選手に勝利したことによって、その可能性が広がりました。
「自分の目標はUFCのような1番凄い大会に出て活躍することです。それが山口県の格闘技とか毛利道場とか、僕より下の世代にとっても『山口県にいても、そういう大きい舞台に出られる』という励みになると思っています。そういう下の世代にも繋げられるような選手になりたいです」
<この項、続く>