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【RIZIN LANDMARK12】1年振りの復帰戦で木村柊也と激突、摩嶋一整「丁寧にやっていけば制圧はできる」

【写真】SNSのアカウントを持っているが、更新頻度は高くない摩嶋。1年振りに話を訊くと、いろいろと衝撃が……(C)SHOJIRO KAMEIKE

11月3日(月・祝)に神戸市中央区のジーライオンアリーナ神戸で開催されるRIZIN LANDMARK12にて、摩嶋一整木村柊也と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

摩嶋にとってはちょうど1年前、ヴガール・ケラモフに28秒でKO負けを喫して以来の復帰戦となる。今回のインタビューでは、ケラモフ戦前から陥っていた驚きの事態、そしてケラモフ戦を通してみた木村柊也という存在について語り尽くしてくれた。笑顔を浮かべることも多く、今回は万全の体調であることをうかがわせていた。


ケラモフ戦は試合前から血尿が出ていて。でも試合をすると決めていたし、言い訳もしたくないので

――お久しぶりです。前回お話を聞いてから1年が経ちました。まずはこれだけ試合間隔が空いた理由から教えていただけますか。

「今年は仕事が忙しかった、というのが一番ですね。2年に一度、大型定修(※定修とは定期修理の略)がある年なので。それで今年の初めから7月まで仕事だらけでした」

――そうだったのですね……。もしかしたらケラモフ戦で長期欠場を余儀なくされるような負傷があったのでは、と思っていました。

「いえいえ、その点は大丈夫です。大型定修というのは、工事自体はゴールデンウィーク明けから5月~6月で行うために、その間はずっと残業があって。年明けから大型定修の準備があったりもしたので」

――これまで大型定修のために試合を休んでいたことはあったのですか。2022年4月の金原正徳戦から翌年5月の芦田崇宏戦まで約1年のブランクがありました。

「あぁ、そうですね。金原戦が終わったあと定修に入りました。あの試合はギリギリ工事には被っていなかったので、試合に出させてもらったんです」

――それだけ大規模な仕事であれば、ケラモフ戦の時点ではスケジュールも判明していたのですね。

「分かっていました。だからケラモフ戦のあとは――年明けぐらいの試合であれば出ることはできるけど、春ごろになるなら厳しいと思っていました。工事に入ったら、もうロクに練習できなくなりますし」

――本格的に練習へ復帰したのは?

「7月じゃないですかね」

――それだけ試合だけでなく練習からも離れていると、復帰の時は調子も落ちてはいないのですか。

「そんなことはないですよ。いつも分かっていることで……大型でなくても毎年5月~6月に定修はあるので、慣れてはいます(笑)」

――なるほど。では1年前の話になりますが前回、ケラモフに敗れたことについては、どのように考えていますか。

「RIZINのメインイベントまで行きながら、自分の力を発揮できずに試合が終わってしまいました。悔しいし、周りにも申し訳ない気持ちがありましたね」

――正直なところ勝敗はともかく、わずか32秒で決着とは誰もが最も予想していない内容だったかと思います。

「僕自身ももっと長い勝負になると思っていたので、あの展開は考えていなかったです」

――そうなると、あの試合だけでは今後のことを考えることができない面はありますよね。何が良くて何が悪かったのかも分からない、という。

「それで言うと去年は3試合やって、ずっと追い込みの時期が続いていたんですよ。7月の試合(新居すぐるに一本勝ち)の後すぐにケラモフ戦のオファーが来たから、そのまま継続して、しっかり練習していたので。いつも自分は年1~2回しか試合をしたことがなかったから、調整の面でもオーバーワークになっていた面はあったかもしれないです」

――そう言われてみると確かに、ケラモフ戦も開始直後に動けていないというか、反応できていない印象はありました。

「あの時は試合前から血尿が出ていて」

――えぇっ!?

「腎臓損傷みたいな感じになっちゃったりして。アハハハ」

――いや、笑いながら言うことではないです(苦笑)。

「寝る時にも広背筋とかが痛かったんですけど、追い込み時期なので筋肉痛だと思っていました。そうしたら血尿も出始めて。でも試合をすると決めていたし、言い訳もしたくないので」

――……練習以外も仕事で忙しい毎日で、それだけ疲労も溜まっていたのではないですか。

「そうですね。いろいろと詰め込み過ぎていたとは思います。試合後も血尿は続いていましたし」

――減量で水抜きをやっていると、どうしても腎臓にダメージはもたらすと思います。しかしそれだけの状況に陥っていると、仕事のほうに影響はなかったのですか。

「仕事は普通にしていましたね。1日ぐらい病院に行くために休みをもらったぐらいで。その点では、いろいろと見直すキッカケにはなりました。やっぱり何でも『やりすぎ』は良くない、と(苦笑)」

木村選手はケラモフ戦でもよくバックを奪われていたので、その攻防になったら自分はどうするか

――いろいろと分かって良かったです。ただ、5~6月に仕事が忙しい時期でも少し練習していたとなると、7月に復帰してからも体調は……。

「今回は大丈夫でした。7月からはもうフルで練習していますし、今も全く問題ありません」

――改めて復帰戦を考えた時、希望する対戦相手はいたのでしょうか。

「いえ。誰と対戦したいとか、そういう希望はなかったですね」

――摩嶋選手が試合から遠ざかっているなか、RIZINフェザー級に木村柊也という存在が現れました。

「木村選手のことは意識していました。僕が負けたケラモフと戦っていたし、しっかり3Rまで戦っていたので。やっぱり悔しい気持ちもありますよね。自分よりもうまく戦っていましたから。その同じ相手に負けているということで、対戦もあるかな……とは考えていたんですよ。その木村選手と戦うことで自分の成長を見せたい。しっかりと勝って、自分もまだそのレベルで戦えることを証明したいです」

――ケラモフ戦以降、どのような面で成長してきましたか。

「自分の得意なグラップリングもそうですし、テイクダウン、打撃全てですね。少しずつ変えてきたので、それを発揮したいです」

――特に木村選手が相手だと、あの打撃を防ぎつつ、如何にテイクダウンできるか。摩嶋選手が持っているイメージを教えてください。

「ケラモフ戦だけでなく他の試合を視ても、あの踏み込みの速さ、パンチの速さや鋭さは凄いですよね。そういうところは気をつけて戦わないといけないですね。特に一発があるので対策中です。

練習相手に木村選手と同じ動きをしてもらい、自分も組み方を変えたりとか。ケラモフ戦でもよくバックを奪われていたので、その攻防になったら自分はどうするか――しっかり考えて練習していますね」

――「組み方を変える」というのは重要かと思います。これまでと同じテイクダウンの方法で臨めば、木村選手はキッチリと切ってくるでしょう。その木村選手対策としてテイクダウンについては、どれくらい変わりますか。

「基本的な部分では変わらないと思うんです。でも細かい面は――それこそ切られた後に蹴られないように、とか。そういう面も注意しておかないといけないですよね」

――ケラモフ戦でもそうであったように、テイクダウンはできるかもしれない。しかし押さえ込むことができるかどうか。あるいはバックテイクが可能かどうか。

「ケラモフ選手も1Rからバックを奪ってはいたけど、フィニッシュを狙いすぎたのか雑になっている面はありましたよね。力づくで取りに行こうとした結果、失速してしまって。もっと丁寧にやっていけば制圧はできると思います」

――「丁寧さ」こそ、ここ数年で摩嶋選手が鍛えてきた点ではありますよね。

「はい。そうやって最終的には一本を取りたいですね。いくつかフィニッシュまで持って行けるパターンはイメージできています」

――試合が楽しみです。木村戦のあと大晦日がどうなるかは分かりませんが、来年の展開について考えていることはありますか。

「木村選手を越えたら、次は外国人選手に勝たないと上には行けないですよね。今のRIZINフェザー級はケラモフ選手だけでなく、強い外国人選手ばかりで。チャンピオンのシェイドラエフは秒殺勝利が続いていて、凄いなって思います」

――摩嶋選手が試合に出ていない1年の間に、RIZINフェザー級の勢力図は大きく変化しました。

「練習していると、その成果を強い選手を相手に試したくなります。フェザー級の中で自分はまだ中盤ぐらいだと思うので、どんどん強い相手を倒していきたいですね」

■視聴方法(予定)
11月3日(月・祝)
午前11時30分~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!

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