【ONE FN38】アンドラジに挑む、モンゴル戦士エンフオルギル「痛み、疲労……僕らは弱みを見せない」
【写真】まさにチンギス・ハーンの末裔という風貌のエンフオルギル。モンゴル国内ではニャムジャルガルと並び現役トップに君臨している(C)SHANDAS MMA
本日6 日(土・現地時間)、タイはバンコクの
ルンピニー・スタジアムで開催されるONE FN38。同大会のメインはエンフオルギル・バートルフーが、ファブリシオ・アンドラジに挑むONE世界バンタム級選手権試合だ。
Text by Manabu Takashima
オトゴンバートル・ボルドバートル、シンバートル・バットエルデネとJ-MMA界を席巻するモンゴルはシャンダスMMA所所属のエンフオルギルは、20代のチームメイトと共に強さを追求してきた36歳のファイターだ。
明るい未来しか目に入っていないヤングライオンとは対照的に、世界の酸いも甘いも知るような深みのある表情をつねに浮かべるモンゴルのアームロッカーに、世界戦に挑む心境を尋ねた。
――今週末、ファブリシオ・アンドラジの持つONE世界バンタム級王座に挑みます(※取材は3日に行われた)。今の気持ちを教えてください。
「ONEがタイトル戦の機会を与えてくれたことを感謝している。正直、前回の試合に勝って次がタイトル戦になるなんて期待していなかった。僕よりランキングが上の選手が挑戦するものだと思っていた。ここでタイトルに挑戦できるのだから、その期待に応えたいと思う」
――Road to ONE Mongoliaで優勝したにも関わらず、ONE本戦でなくONE FFからONEでキャリアで積むことになるなど簡単な道のりではなかったかと思います。
「ONEは僕の力を試したかったんだと思う。多くの選手を抱えているから、誰がどれだけの力を持っているのか把握するのも大変だったんだろう。なのでONE FFで僕をテストしたんだ。そこを我慢して戦い、ハイレベルの相手と戦えるようになった。そして今回のタイトル挑戦があるし、ONE FFで試合を組まれたことはそれほど不満に感じていないよ」
――では、ONEで築いてきた6勝1敗という結果とパフォーマンスには満足していますか。
「もちろん6試合の結果には満足している。負けた1試合も絶対的に勝てるチャンスがあった。ほんの小さなミスをおかしたことで、試合を落とした。あの僅かなミスでKOされることを学べて今では良かったと思っている」
――ONEでエンフオルギルがキャリアを積み始めた頃、シャンダスMMAのチームメイトの多くが海外で戦う機会どころか、国内でも限られた試合機会しかありませんでした。この3年でシャンダスの状況も凄く変わったのではないでしょうか。
「その通りだ。ダギースレン(チャグナードルジ)、オトゴンバートル(ボルドバートル)、シンバートル(バットエルデネ)が日本で戦い、オトゴンスレン・スブバット、トール・ナムナンバヤルが中国で活躍している。ナムジャルガル・トゥメンデムベレルはUFCファイターだしね。
チーム・トンガーは最強のチームだよ。皆がしっかりと結果を残せている。フライ級、バンタム級、フェザー級、ライト級と多くの階級でチャンピオンになった。互いに切磋琢磨して、僕らは強くなり続けている。
そのなかでも僕は最年長のファイターだ。ブラザーたちはとても若くて、凄く運動神経が良い。何より練習熱心だから、考えられないスピードで成長している。彼がいてくれることで、僕も彼らに負けないスピードで強くなることができた」
――確かにエンフオルギルが36歳で、他の選手は20代ばかりです。ただ6月にウランバートルを訪れた際にエンフオルギルが一番フィジカルが強いのではないかと思いました。
「ありがとう。それはこの歳までずっとトレーニングを続けてきたからだよ。どのトレーニングセッションでも全力で取り組む。それが可能になる……そうしたいとやる気を起こさせてくれる環境があることで、このボディを保つことができているんだ。
コーチ・トンガーは常に『体に痛みを感じても、顔に出すな』と僕らに言っている。その教えを忠実に守っているよ。痛みだけじゃない。疲れた時もね。痛み、疲労……僕らは弱みを見せない。チーム・トンガーの皆に共通した強さだと思っている。
僕がONEのベルトを巻けば、コーチ・トンガーに続き2人目のモンゴル人世界王者になる。それがさらにモチベーションを高めているよ」
――そのためにはファブリシオ・アンドラジを倒す必要があります。チャンピオンの印象を教えてください。
「王座防錆もしている強いチャンピオンだ。運動神経が良くて、若い。ただ、彼は僕のようなファイターとは戦ったことがない。どちらがベストだと証明できるか。凄く楽しみだよ。ただ彼の印象に関しては、試合後の方がたくさん話せるようになるだろう(笑)。
ファブリシオは間違いなく強い。でも、こんなに背が低い相手と戦ったことはない。きっと面食らうはずだ。試合だから勝つか負けるかは、五分五分だよ。でも、少し僕の方がファブリシオより強いかな(笑)」
――ファブリシオは長身のサウスポー、何か特別な対策練習はしてきましたか。
「もちろん彼のようなファイターと戦うための研究をし、対策も練ってきた。そしてコーチと立てた作戦も存在している。加えてファブシリオにだけ通じるシークレット・テクニックも用意している。今はそれが何かは言えないけど、試合で必ず披露するよ」
――では土曜日の世界戦、期待しています。
「この試合は世界にモンゴルの戦士がどれだけの強いかを証明できる絶好の機会だ。パワー、肉体的な強さ、ファイトIQの高さ、戦意を皆に見てもらいたい。そんな機会を得ることができて感謝している」
――ところでネトフリのフィジカル・アジアという番組に出演していましたね。
「チーム・モンゴルとして活躍できて嬉しいよ。あのショーに出演したことで、MMAファイターがいかにスタミナがあるのか再認識できた。何より地球の片隅のにあるような、僕らの存在を世界に知ってもらえたからね。
そうだ、番組ではユーシン・オカミ、ドンヒョン・キムというアジアを代表するMMAファイターと同じ時間を過ごすことができたよ。収録中に特にMMAについて語り合うということはなかったけど凄く良い経験になったよ」
――エンフオルギル、今日はありがとうございました。最後に日本のファンに一言お願いします。
「日本のファンの皆は、いつも僕のチームメイトを応援してくれている。ありがとう。アジアのファイターを過小評価させない。見くびらせてたまるかと思っている。日本の皆、一緒にチャンピオンになろう!!」
■放送予定
12月6日(土・日本時間)
午前10時45分~U-NEXT
■ONE FN38対戦カード
<ONE世界バンタム級(※65.8キロ)選手権試合/5分5R>
【王者】ファブリシオ・アンドラジ(ブラジル)
【挑戦者】エンフオルギル・バートルフー(モンゴル)
<ムエタイ・フェザー級/3分3R>
シャドウ・シンハ・マウイン(タイ)
エンゾ・カルトゥーム(フランス)
<ONEサブミッショングラップリング・フライ級(※61.2キロ)世界王座決定戦/10分1R>
ジオゴ・ヘイズ(ブラジル)
米倉大貴(日本)
<ムエタイ女子アトム級/3分3R>
ペッディージャ・ルッカオポーロントン(タイ)
マルティナ・エルチェンスカ(ポーランド)
<サブミッショングラップリング・ライト級級/3分3R>
マルセロ・ガウッシア(ブラジル)
ラクラン・ジャイルス(豪州)
<ムエタイ・ストロー級/5分3R>
アリーフ・ソー・デチャパン(タイ)
ラマダン・オンダッシュ(レバノン)
<ムエタイ・バンタム級/5分3R>
ドミトリー・コフトゥン(タジキスタン)
鈴木真治(日本)
<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
ジェレミー・ミアド(フィリピン)
アバズベク・ホルミルザエフ(ウズベキスタン)

















