【Gladiator032】フェザー級転向2戦目、國頭武「押さえ込んで極める力は前よりも強くなっている」
【写真】計量時でも首周りと肩、そして二の腕に筋肉がしっかりと残っている(C)SHOJIRO KAMEIKE
21日(日)に大阪府豊中市の176BOXで開催されるGladiator032で、國頭武が石田拓穂と対戦する。
Text by Shojiro Kameike
プロキャリアのほとんどをバンタム級で戦ってきた國頭が、今年6月のヤン・ジファン戦からフェザー級に転向した。そのキッカケは昨年10月、韓国RING Championshipのバンタム級王座決定トーメンと準決勝での敗北(キム・ウンソンにTKO負け)と、続く国内復帰戦となった4月のしゅんすけ戦のKO負けだった。
インタビュー中、國頭は「これは言い訳になるので……」という言葉を繰り返した。きっと不器用なタイプだ。自分の言葉で説明しきれず、言い訳のように聞こえるのが嫌なのかもしれない。そんな國頭にベルトを目指してフェザー級で戦う――ファイターとしての再スタートについて訊いた。
――計量直後の國頭選手です。前回の試合からフェザー級に転向しましたが、これまでフェザー級で戦ったことはあったのでしょうか。
「プロデビューはバンタム級で、そのあと病気のために水抜きができない状態だった時はフェザー級で試合をしていたことがあります。でも筋トレとかができない時期もあって、バンタム級に戻って戦っていました」
――基本的にはバンタム級で試合をしていた國頭選手にとって、今回のコンディションはどうですか。
「ちょうど良いというか――自分はフェザー級では体格が小さいかもしれないけど、ベストの状態で望めたほうが悔いも残らないと思うので」
――悔いも残らない、悔いを残したくない。その言葉にはRING Cと、しゅんすけ戦の敗北も影響しているのでしょうか。
「まず韓国で負けたことは大きかったですね。あの時は試合中にアゴを骨折してしまって……いや、それはいいです」
――えっ、どういうことですか。
「……たぶん一発目のパンチでアゴの右側が折れたんだと思います。口が閉まらなくなり、『これは折れたな』と。もう寝技をやっている時間はない。KOするしか勝つ道はない。そう思っているところにヒザを受けて、もう一箇所——完全に効いてしまい、自分でも何が起こっているか分からなくなった状態で止められました」
――キム・ウンソン戦は気持ちが折れたかのような終わり方でしたが、そうではなくアゴが折れていたのですね。
「といっても試合内容は……相手は爆発力が凄いけど、スタミナはないタイプで。だから自分は組むだけじゃなく、遠い距離からアウトボクシングを混ぜつつ組もう。『うまくやろう』という試合をしてしまったんです。『自分はそういうタイプじゃない』と試合が終わって、そう思いました」
――BURSTでアゴの骨折といえば、どうしても佐々木信治代表の怪我を思い出してしまいます。周囲も心配しませんでしたか。
「あぁ、そうですね。同じような感じでしたけど、僕の場合はまだ軽くて。完治してから次の試合に臨むことができました」
――次の試合=しゅんすけ戦については……。
「あれは……しゅんすけ選手が僕より強かったです。本当はあの試合で勝って、どんどんバンタム級でやっていこうと思っていました。でも、いや――」
――言える範囲で構わないので、お願いします。
「……順を追っていくと、韓国で負けたけど『これからは海外で強い相手と戦いたい』と思うようになったんです。もともと海外志向ではなかったのに、急にそういう意識が芽生えてきました。僕ももうそれほど若くはないし、挑戦するなら関西で強い外国人選手を呼んでいるグラジで復帰して、バンタム級でどんどん強い相手と戦っていきたい。
でも復帰戦で負けてしまった時、周りの人からも『階級を上げてみたほうが良いんじゃないか』と言われて。だったら一度フェザー級に上げて、再スタートして頑張ってみようと思ったんです」
――なるほど。実際のところ、フェザー級転向1試合目となったヤン・ジファン戦は動きが変わっていました。相手のパンチをもらわないように体勢を低くし、スッとボディロックで組むという。
「それが本来、練習でやっていることなんです。その前の2戦は、練習していることが出せていませんでした。減量していると筋肉が削れている感じで……それも言い訳になってしまいますけど」
――いえ。自分の適正階級を見つけるの、階級制のスポーツにおいてとても重要なことです。何よりパフォーマンスを最大に引き出すためではなく、ただ体重を落とすための減量になっていたら意味はないわけで。
「……ありがとうございます。今回もフェザー級で減量してみて、シンドイのは変わらないです。でも筋肉は残っているので」
――そんななかで課題できた点などはありますか。
「結局やることは変わらないんですよ。いっぱい組んでテイクダウンして、倒されたら上を取り返す。ただ、押さえ込んで極める力は絶対に、前よりも強くなっていると思います」
――先ほど「フェザー級の中でも体格が小さい」と言っていましたが。今回は対戦相手と並んでも、それほど差はなかったです。その対戦相手、石田選手の印象を教えてください。
「寝技が強いですよね。柔道の投げ技を生かしたテイクダウンも強くて。テイクダウンした後の寝技のスピードも速い。自分とはタイプが違うグラップラーで、強いと思います」
――石田選手はフェザー級トーナメントに出場していた選手です。ということは、ここで勝てば國頭選手がフェザー級のベルトに絡んでいく可能性も出てきます。
「それはもちろん――やっぱりベルトは欲しいです。ベルトを目指して一戦一戦やっていました。ただ、今はまずはこの試合で絶対に勝つこと。それだけしか考えていないです」
■視聴方法(予定)
9月21日(日)
午後4時00分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル
■Gladiator032 計量結果
<キック 70キロ契約/3分3R>
ハンセン玲雄:69.8キロ
荒尾祐太:69.4キロ
<60キロ契約/5分3R>
岩崎圭吾:58.2キロ
パク・ファラン:59.6キロ
<フェザー級/5分3R>
石田拓穂:66.0キロ
國頭武:66.0キロ
<78.4キロ契約/5分3R>
後藤丈季:77.2キロ
クォン・ジフ:78.6キロ→78.4キロ
※ウェルター級契約でクォン・ジフが900グラムオーバー。試合はキャッチウェイト戦に
<ライト級/5分3R>
八木敬志:70.8キロ→70.7キロ
友實竜也:70.6キロ
<キック(※ヒジなし) 80キロ契約/3分3R>
森井翼:80.0キロ
小山寛太:79.9キロ
<PROGRES ライト級/5分2R>
岸田海輝:70.2キロ
徳野”一心”一馬:69.5キロ
<バンタム級/5分2R>
野口蒼太:61.4キロ
古賀珠楠:61.2キロ
<フェザー級/5分2R>
コウ:66.2キロ
谷川渉:66.2キロ
<フライ級/5分2R>
藤原浩太:56.5キロ
村泉空:57.1キロ
<ストロー級/5分2R>
木村旬志:52.5キロ
與那嶺大輝:52.1キロ
<ヘビー級/5分2R>
土井淳:117.4キロ
ヨコヤマクレガー:96.1キロ
<ヘビー級/5分2R>
松本洋平:118.4キロ
かずややねんけど:98.3キロ
<バンタム級/5分2R>
古賀琉斗:61.4キロ
岩田虎之助:61.1キロ
<フェザー級/5分2R>
天野武徳:65.8キロ
キム・ジギョン:65.7キロ
<60㎏契約/5分2R>
谷口隆元:59.2キロ
カーヴィ:59.8キロ
<バンタム級/5分1R>
田口大貴:61.1キロ
髙橋良河:61.4キロ
<ストロー級/5分1R>
辻本涼太52.6キロ
松尾翔貴:51.8キロ
<フライ級/5分1R>
藤原健介:56.9キロ
横山桔平:57.1キロ