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【ONE FF137】タワンチャイがキックルールで復帰戦。鬼門リウ・メンヤン戦をクリアできるか?

明日19日(金・現地時間)、タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE Friday Fights 137。今大会はONE Championshipの2025年を締める大会であり、テントポールイベントとして豪華カードが並んでいる。
text by Takumi Nakamura

今大会はFriday Fightsの括りではあるが、タイ人選手のメンバーで言えばナンバーシリーズと比べても遜色ないカードが揃った。

ギンサンレック・ウォー・カムチャムナン×スリヤンレック・ポー・イェンインの激闘派対決に始まり、パコーン・PK・センチャイ×スーブラック・トー・プラン49とサムエー・ガイヤーンハーダオ×ジャオスアヤイ・モー・クルンテープトンブリーはムエタイ・レジェンドと現世代のトップファイターによる試合が続き、セミファイナルにはクラップダム・ソー・チョー・ピャッウータイ×PTTが組まれている。また第1試合(品川朝陽)・第2試合(奥脇竜哉)・第4試合(吉成士門)と日本人3選手が前半戦に登場するラインナップだ。


そんな今大会のメインイベントに組まれたのがタワンチャイ・PK・センチャイ×リウ・メンヤンのキックルールによる一戦だ。タワンチャイはONEムエタイ世界フェザー級王者であり、ONEそして新時代のムエタイを代表するスター選手。今年1月のONE170ではスーパーボン・シンハ・マウィンを左ストレートでマットに沈め、ムエタイ王座の防衛に成功した。

そこからタワンチャイはムエタイとキックルールの2冠を目指し、3月のONE日本大会で野杁正明とキック暫定王座決定戦で対戦。下馬評ではタワンチャイが圧倒的有利の一戦だったが、野杁の左フックでダウンを奪われ、まさかのKO負けを喫した。その後、タワンチャイは9月にメンヤンとキックルールで対戦予定だったが負傷欠場。仕切り直しのメンヤンとの再起戦となる。

そのメンヤンは昨年12月に野杁を相手にONE初参戦。この試合では開始直後に右ストレートでダウンを奪うと、フィジカルの強さを活かした接近戦に持ち込んで野杁の反撃を阻止し、判定勝利で番狂わせを起こした。今年4月のモハメド・シアサラニ戦では技巧派シアサラニのテクニックを崩せずに判定負けを喫したが、9月にはタワンチャイの代打シャドウ・シンハ・マウィンから左フックでダウンを奪って判定勝利を収めている。

ムエタイルールで圧倒的な強さを見せているタワンチャイではあるが、キックルールの試合経験は少なく、ONEではジョー・ナタウットとダビッド・キリアに勝利したのみ。前述の野杁戦が約1年半ぶりのキックルールという状況だった。

野杁戦のタワンチャイは強烈な左ミドルとローで野杁を苦しめた半面、野杁のプレッシャーに下がる場面もあり、左ボディを効かされる→左のテンカオにカウンターの左フックをもらってダウンを奪われた。ムエタイルールでは中間~近距離の攻防は首相撲やヒジを使って対応できるが、キックルールではそれが禁止されている。

キックルールならではの中間~近距離のパンチ・蹴りの攻防で野杁に主導権を握られたことがタワンチャイにとっての敗因であり、タワンチャイがキックルールで勝っていくためには、この距離でのパンチ・蹴りの技術の向上が必要不可欠だ。

逆に対戦相手のメンヤンは圧倒的なフィジカルと前進力を活かし、中間~近距離の攻防に持ち込んで細かいパンチを当てる戦い方で強さを発揮する。野杁とシャドウを下した一戦はまさにメンヤンのストロングポイントがハマった試合であり、敗れたシアサラニ戦はそこに持ち込めなかった(持ち込まなかった?)試合展開だった。

ずばりタワンチャイにとってメンヤンの前進&インファイト主体の戦い方は相性が悪い。タワンチャイが左ミドルで距離を取りきれない・左のテンカオの距離を潰されてしまうと、メンヤンの細かいパンチを被弾する場面が増えるだろう。まさに野杁戦で見つかったタワンチャイのキックルールにおける課題=近~中間距離でのパンチと蹴りの技術がどれだけ向上しているかが試されることになる。逆に言えばタワンチャイがメンヤンのインファイトを攻略することが出来れば、野杁戦の敗北を払拭し、キックルールでの可能性を見出す勝利になる。

11月のONE日本大会でスーパーボンが野杁を下して王座統一、マラット・グレゴリアンも安保瑠輝也を下して健在ぶりを見せつけたフェザー級キックボクシング。そのトップ戦線にタワンチャイが食い込んでいけるかどうか。その分岐点となるメンヤンとの再起戦だ。

■放送予定
12月19日(金)
午後9時15分~U-NEXT

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