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【Pancrase360】女子ストロー級王座を賭けたKAREN戦へ。本野美樹「動きのあるMMAをやっていきたい」

【写真】リモート画面が繋がった瞬間、すでにしっかり体重が落ちているように見えた本野。その理由とは――(C)SHOJIRO KAMEIKE

21日(日)に東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPancrase360で、本野美樹が空位の女子ストロー級王座を賭けてKARENと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

昨年のRoad to UFCで敗退後、今年3月のパンクラス初戦では藤野恵実を判定で下した本野。自身も「ギリギリで勝った」と語るタフな試合を経て、パンクラス参戦2試合目でソルトが返上した女子ストロー級王座をKARENと争うことに。UFCを目指すためにパンクラスへ戦いの場を移した本野が、目標に向かって自分が今回の試合で見せるべきものを語ってくれた。


自分のやりたいことをやり続けることができるような戦い方をしないといけない

――5日に行われた記者会見での「血祭り上等」という発言に驚きました。本野選手がそれほど荒ぶるタイプだとは思っていなかったです。

「アハハハ。やっぱりパンクラス公式のショート動画で切り抜かれていましたね」

――ただ、前回の藤野戦が3月で試合間隔も空いているため、それだけ戦うことを望んでいると理解しています。

「本当はもっとコンスタントに試合をしたくて。パンクラスで7月、9月も試合がありそうで準備していたけど、決まらずに結構間隔が空いてしまったんです」

――UFCを目指してジムを移籍し、パンクラスに戦いの場を移しました。その初戦で元王者でありトップランカーの藤野選手を下しています。以降、試合がなかったことにモヤモヤした気持ちはなかったですか。

「モヤモヤしていましたね。パンクラスにベルトを獲りに来て、自分が入ることで女子ストロー級が回っていくかなとも思いましたけど……。私としては藤野さんにギリギリ勝ったので、次はタイトルに絡ませてほしいと思っていました。でも、なかなか試合が決まらなくて」

――女子の試合に関しては選手層の問題もあります。トップクラスになればなるほど対戦相手がいなくなり、試合も組みづらくなってしまう。6月には当時の王者であったソルト選手がRIZINに出場したことも関係しているかと。

「その試合があるとは聞いていて、いろんなパターンがありましたよね。先に私と、自分よりもランキングが上のKAREN選手が対戦するか。あるいはソルト選手がRIZINの後にKAREN選手の挑戦を受けるか。もし私がソルト選手に挑戦して、ベルトを獲っても次の挑戦者はKAREN選手になっていたでしょうし。どのパターンになっても、いずれはチャンピオンとランカー全員と対戦することになるとは考えていましたね」

――先ほど藤野戦については「ギリギリ勝った」という発言がありました。

「はい。1Rは確実に取られていましたからね。そこから自分としては2Rと3Rを取り返して、試合が終わった時点で勝ったと思っていました。でも周りから『藤野さんが勝っていたんじゃないか』という声もありましたし。見方によっては、どちらが勝っていてもおかしくない試合——という意味で『ギリギリ勝つことができた』と思っています」

――いずれにせよ本野選手としては距離をつくり、チャンスがあればテイクダウンという作戦を貫いたのでしょうか。

「そうですね。でも藤野さんが思っていた以上に距離を――関係なく潰してきていたので。そこに対してのやりづらさはありましたね」

――「関係なく」というのが藤野スタイルの強みですね。対して、本野選手が貫いたスタイルは?

「藤野さん対策を考えて試合に臨みましたけど正直、自分も選手として器用ではないので。『この選手にはこう』と相手に合わせた戦い方は良くないと、あの試合後に気づきましたね。多少の対策はするにしても、自分のやりたいことをやり続けることができるような戦い方をしないといけない。そういうマインドに変わりました」

――そう考えるとRTUの試合でも、相手の様子を見すぎたからなのか攻め切ることができず、藤野戦でもその課題を解消できていたとは言いづらいです。

「そうなんですよ。同じ感じで行っちゃいましたね」

――本野選手としては自分の力を最大限に生かすためには、どうすれば良いのか。その答えは出ていますか。

「丁寧に作戦を立て過ぎると、その作戦がハマらない時に『どうしようか』と考えてしまうんですよね。今回は、まず自分のやるべきことをやる。そして前回の反省ですけど、前に出る」

(KARENは)すごく伸びている。でも普通にMMAをやってくれたほうが、自分はやりやすいです

――対してKAREN選手はTHE BLACKBELT JAPANに移籍してから、ファイトスタイルが大きく変化しました。

「本当にジムが変わってからスタイルも変わって……独特さはだいぶ減っていますね。最近は組みのタイミングが凄く良いです。すごく伸びているなって思います。でも普通にMMAをやってくれたほうが、自分はやりやすいです」

――一方で本野選手はSNSに、練習風景の写真と一言「メラブスタイル」と投稿していましたね。

「以前ラスヴェガスに行った時、マラブ・デヴァリシビリ選手とは互いに投げ合ったり、彼の練習を見させてもらったりしたんです。そこからマラブは一気にチャンピオンまで駆け上がっていきました。完全にマラブと同じスタイルを目指しているわけではなく、あれぐらいドンドンと攻めることができるようになりたいです。メラブは精神的にも強いし、スタミナも凄くて」

――先日のチャンピオンシップでは残念ながら敗れてベルトを手放してしまいましたが、メラブらしさは相変わらずの試合内容でした。

「あれだけ動き続ける試合をしたいです。RTUでは1Rから自分がガンガン行きました。すると2Rの後半からスタミナが切れて、パンチも効かされてしまいましたよね。今はその点を恐れずにスタミナとテクニックをつけて、動きのあるMMAをやっていきたいです」

――動きのあるMMAを展開にするために取り組んでいることはありますか。

「まずスパーリングですね。実は今、減量をしていなくて」

――えっ、減量をしていない!?

「勝手に体重が落ちているんですよ。今回は初の5分5Rで、その中でも自分からどんどん自分から動いていく練習をしています。だから練習の中でも動きが――1試合の時間内ではなく、1Rの時間内の動きが。増えていると思うんです。以前より待ちの状態が少なくなったというか。

その動きが増えたおかげで体も締まってきたのかもしれないですね。打撃の手数も増やして、テイクダウンもガンガン行くことを意識しているうちに、その成果が体に現れてきたんじゃないかと思います」

――本野選手の場合もともとアトム級で戦うことも検討していたフレームなので、減量せずともしっかりとストロー級の体になっていてもおかしくはありません。結果、試合体重と通常体重や練習時の体重が同じぐらいであれば、練習中の動きも変わってきませんか。

「はい。どんどん練習内容が濃くなってきているとは感じます。減量のことを考えることが少なくなる分、より試合に対して詰めて練習することができる。あとはオファーが来たらすぐ試合できるような状態でもあるので、チャンスを掴みやすいかなと思っていますね」

――KAREN選手について大きな変化でいえば、ダブルレッグでケージに押し込んでいる時に力強さを感じます。

「確かにKAREN選手はケージに押し込む力はあるし、そこからヒジも打ってきます。でも押し込む力だけでいうと、前回の試合——藤野さんより強くはないだろうと思っていますね。ヒジとか際の攻防は強いので、そこは気をつけないといけないです」

――自身としては5Rやり切るつもりでいますか。

「5R戦えるスタミナと技術は身に着けてきました。でもUFCを狙っているので、面白くない試合はしたくないです。やっぱりUFCへ行くためには、しっかりとフィニッシュしたほうがまず見てもらえるじゃないですか。自分も31歳になり、判定で勝ち続けていてもUFCから見てもらえないと思うんですよね。フィニッシュを狙わないと自分の目標に辿り着くことはできない。だから次の試合も毎ラウンド、フィニッシュするつもりで戦います。その結果、5Rまで戦っても大丈夫という自信もありますから」

■視聴方法(予定)
2025年12月21日(日)
午後1時~ U-NEXT

■Pancrase360 対戦カード

<ウェルター級KOPC/5分5R>
[王者] 佐藤生虎(日本)
[挑戦者] ゴイチ・ヤマウチ(ブラジル)

<フェザー級王座決定戦/5分5R>
栁川唯人(日本)
カリベク・アルジクル ウール(キルギス)

<バンタム級王座決定戦/5分5R>
井村塁(日本)
田嶋椋(日本)

<ミドル級王座決定戦/5分5R>
コシム・サルドロフ(タジキスタン)
佐藤龍汰朗(日本)

<女子ストロー級王座決定戦/5分5R>
KAREN(日本)
本野美樹(日本)

<フェザー級/5分3R>
オタベク・ラジャボフ(タジキスタン)
Ryo(日本)

<ライト級/5分3R>
粕谷優介(日本)
ISAO(日本)

<ライト級/5分3R>
天弥(日本)
クリストフ・キルシュ(ドイツ)

<ウェルター級/5分3R>
内藤由良(日本)
髙橋攻誠(日本)

<バンタム級/5分3R>
松井斗輝(日本)
荒田大輝(日本)

<フライ級/5分3R>
浜本キャット雄大(日本)
岸田宙大(日本)

<ライト級/5分3R>
松岡嵩志(日本)
神谷大智(日本)

<フライ級/5分3R>
菅歩夢(日本)
クーパー・ロイヤル(豪州)

<フライ級/5分3R>
齋藤楼貴(日本)
小澤武輝(日本)

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