【Pancrase360】「世界の頂点に到達するのに、近道は存在しない」――カリベク・アルジクル・ウール
【写真】シャーク・レッグロックは、もうちょいネーミングを考えて欲しかった(笑)(C)MMAPLANET
21日(日)に東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPancrase360。同大会でカリベク・アルジクル ウールが栁川唯人とフェザー級KOP王座決定戦を戦う。
Text by Takumi Nakamura
昨年9月の初来日から、2戦目でバンタム級タイトル挑戦権を手にしたものの負傷&計量失敗で透暉鷹とのタイトル戦は実現せずフェザー級に階級を上げた。
7月にISAOを67秒でKOし、11月には平田直樹にグラップリングゲームに挑み、バック&両足をフック下上体から左足を捻り上げて一本勝ちを手にした。三宅輝砂のタイトル返上を受けて、栁川とベルトを賭けて戦うことになったカリベクにタイトル戦に向けての心境とあのレッグロックについて尋ねた。
打撃、レスリング、グラップリング。なんであろうが、攻守が揃っていないとMMAとはいえない
――カリベク、いよいよフェザー級KOP王座決定戦を戦います。オファーがあった時は、どのような気持ちでしたか。
「とても嬉しくて、凄く興奮した。それは今も続いている。ついにタイトルショットを戦う機会が巡ってきた。本来、去年の12月にバンタム級王座に挑戦する予定だったけど、不運にも2人揃ってケガをして、キャンセルになってしまった(4月に再び組まれたが、カリベクが計量失敗。チャンピオン透暉鷹が脱水症状で緊急搬送された2度目の中止という事態に陥った)。だからチームも僕も、1年も待ったことになる。この機会を与えてくれたパンクラスに感謝している」
――前回の平田直樹選手との試合では、変形レッグロックで一本勝ちしました。平田戦の手応えはいかがでしたか。
「最高だったよ。これまで僕のレスリングやグラップリングに関して、色々なことを言われてきたから組み技により力を入れて戦ったんだ。レスリングやグラップリングを多用して、打撃で倒さないように気を付けて戦った」
――日本でカリベクは、グラップリングは力不足とでも言われていたということですか。
「その通りだ」
――正直、組み技を見せる機会がなく打撃で勝利しているという感覚で、組み技ができないという認識のファンや関係者はいなかったと思いますが……。
「そうなのか……なんていえば良いのか。それなら、ありがたいことだよ」
――それにしても気が強いのですね。私がカリベク陣営なら、ムキになってグラップリングの技術を披露することなく、必要になるまで隠しておきたいと思ったはずです。平田戦の結果、誰もがアリベクのレスリングとグラップリング能力の高さを知りました。
「構わないよ。別に隠していたわけじゃないから。僕にとってグラップリングも打撃も、どちらも同レベルで戦うことができる。僕の打撃の強さを知っていても、対戦相手は防ぐことができなかったじゃないか。グラップリングも同じことだよ。どの局面でも、問題なく戦う。それがMMAだから。
MMAファイターでもストライカーなのか、グラップラーなのかを気にしすぎる傾向が見受けられる。これはMMAだ。どの局面でも戦える腹積もりでいないといけない。打撃、レスリング、グラップリング。なんであろうが、攻守が揃っていないとMMAとはいえない」
――それでいてグラップリングに拘ったと。それにしても打撃にインパクトを残してきたカリベクが、前回はグラップリング、特に最後の変形レッグロックでショックを与えました。あのレッグロックは、我々はどのように呼べば良いのでしょうか。
「シャーク・レッグロックだよ(※シャークはカリベクのニックネーム)。ただインパクトを残すとか、残さないではなくて。とにかく毎日必死に練習して、勝利を手にするだけなんだ」
――それにしても、バックグラブから足を攻める。しかもカーフスライサーでも、スロエフストレッチでもない。なかなか見られないサブミッションでした。
「そりゃあ、バックからだとRNCが一番狙いやすい。でも、僕はエキサイティングかつエンテーテイニング・ファイターだ。チャンスがあれば、ファンがより喜ぶ試合がしたい。あの時、視界の片隅にヒラタの足が見えた。だから、レッグロックを仕掛けることにしたんだ。それが上手くハマった。たた、それだけだよ」
――シャーク・レッグロックはサンボ由来の足関節ですか。
「あれはね、シャーク・テクニックだよ(笑)」
パンクラスのベルトは、僕を次のレベルに引き上げてくれるだろう
――ハハ……。では栁川選手の印象を教えてください。
「ヤナガワは、僕との試合を受けた。MMAというスポーツで、トップになりたいならタフな相手と戦わなければならない。戦える相手のなかで、最強のファイターと戦うべきだ。ヤナガワは今回、僕との戦いから逃げなかった。凄く尊敬しているよ。
僕も対戦相手を選んだことは一度もない。決められた相手と戦ってきた。世界の頂点に到達するのに、近道は存在しないからね。強くなりたいなら、強い相手と厳しい試合をするしかない。それに今回の試合はチャンピオンシップ・ファイトだ。ヤナガワと僕がナンバーワン・コンテンダーだ。彼が王座決定戦を拒否するわけがない」
――ではMMAファイターとして、どのように思っていますか。
「ヤナガワは良い選手だよ。強いと信じている。ランク1位なのだから、それには理由があるはずだ。ただ、ヤナガワについて今はあまり話したくない。ケージのなかで、何をするかを見て欲しい。どんな試合になるだろうね。
同時にファンをガッカリさせることはない。皆も僕のタイトルショットを長い間待ってくれていたと思う。KOか、また何かサブミッションか。試合を見て欲しい」
――パンクラスのベルトを奪取することで、カリベク・アルジクル・ウールが何者かを世界に示すことができると考えていますか。
「パンクラスのベルトは、僕を次のレベルに引き上げてくれるだろう。でも自分が何者かは、タイトル戦だから示すわけじゃない。毎試合、どの試合でも僕はそのつもりで戦っている。だからこそ、毎試合万全の状態で戦うために日々、激しい練習に向き合っているんだ」
――素晴らしいです。ところで今回、同じ大会に出場するオタベク・ラジャポフがこのタイトル戦の勝者に挑戦したいと言っています。同じ中央アジア、タジキスタン人ファイターのラジャポフのことをどのように思っていますか。
「実は彼の試合を見たことがないんだ。個人的にも知らないから、どういえば良いのか分からないよ。どうせなら。良いヤツで良いファイターであってほしい。今回は彼も同じショーで戦うよね。とにかく今回のタイトル戦後に、どういう試合が組まれるのかはパンクラスが決めることだ。僕は誰とでも戦うよ」
――中央アジアの国々のファイターは、自分たちこそが一番強いというライバル心は持っているのでしょうか。
「質問の意味が分からない。中央アジアでライバル心を持って、何になるのか……。ラジャポフは、彼が必要なことをやれば良い。他の国のファイターも同じだ。僕は自分に必要なことをやっていく。中央アジアで1番でなく、世界で1番になるために練習はするものだからね」
――押忍。では約10日後に迫ったタイトル戦に向けて意気込みを最後に終え害します(※取材は9日に行われた)。
「最高の試合はファンの見てもらいたい。ヤナガワもそうだし、僕もベストを尽くす。そして、ベルトをキルギスに持ち帰る」
■視聴方法(予定)
2025年12月21日(日)
午後1時~ U-NEXT
■Pancrase360 対戦カード
<ウェルター級KOPC/5分5R>
[王者] 佐藤生虎(日本)
[挑戦者] ゴイチ・ヤマウチ(ブラジル)
<フェザー級王座決定戦/5分5R>
栁川唯人(日本)
カリベク・アルジクル ウール(キルギス)
<バンタム級王座決定戦/5分5R>
井村塁(日本)
田嶋椋(日本)
<バンタム級王座決定戦/5分5R>
コシム・サルドロフ(タジキスタン)
佐藤龍汰朗(日本)
<女子ストロー級王座決定戦/5分5R>
KAREN(日本)
本野美樹(日本)
<フェザー級/5分3R>
オタベク・ラジャボフ(タジキスタン)
Ryo(日本)
<ライト級/5分3R>
粕谷優介(日本)
ISAO(日本)
<ライト級/5分3R>
天弥(日本)
クリストフ・キルシュ(ドイツ)
<ウェルター級/5分3R>
内藤由良(日本)
髙橋攻誠(日本)
<バンタム級/5分3R>
松井斗輝(日本)
荒田大輝(日本)
<フライ級/5分3R>
浜本キャット雄大(日本)
岸田宙大(日本)
<ライト級/5分3R>
松岡嵩志(日本)
神谷大智(日本)
<フライ級/5分3R>
菅歩夢(日本)
クーパー・ロイヤル(豪州)
<フライ級/5分3R>
齋藤楼貴(日本)
小澤武輝(日本)
















