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【Pancrase360】タイトル前哨戦??=RYO戦に向け、オタベク・ラジャボフ「MMAはアマから始めるべき」

【写真】今回も通訳の立ち合いの下、英語で受け答えをしたラジャボフだった(C)MMAPLANET

21日(日)に東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPancrase360。同大会でオタベク・ラジャボフが3度目の来日を果たし、RYOと戦う。
Text by Manabu Takashima

プロデビューが昨年7月のパンクラスにおける高城光弘戦だったラジャポフは、今回がプロ5戦目になる。しかし、アマチュアで19試合を経験しており、2023年のIMMAF世界大会でバンタム級の制したラジャボフは、そのアマチュアMMAの経験に絶対の自信を持っていた。


才能じゃないよ。毎日、厳しい練習を繰り返したからだ

――9月の遠藤来生戦では初回KO勝ちを飾りました。オタベク自身の満足度は?

「とてもハッピーだったよ。でも、あの試合を振り返るより次の試合のことを考えたい。キャンプも順調に消化していて、凄く良い状態なんだ。試合の日が来るのが待ち遠しいよ」

――今回の試合に向けて、どのような準備をしてきましたか。

「今、モスクワのEVOLVEジムで準備をしているんだ。ここであと10日間練習をして、東京に向かう予定だよ(※取材は4日に行われた)。エンドーと戦った時はタジキスタンのドゥシャンベのドロップジムでキャンプをした。

今回はジムメイトも一緒にモスクワに一緒に来ている。EVOLVEジムのファイターから練習を一緒にしないかと、誘われたんだ。モスクワは、やはり強いファイターが揃っている。スパーリングパートナーに巡れているよ」

――前回のインタビューは試合直前だったので、試合に関してしか話を聞くことができなかったです。今回はもう少し詳しくオタベクのことを教えてください。まずいつから格闘技を始めたのでしょうか。

「13歳の時に柔術を始めた。家の近くにジムがあって、そこを訪れると柔術の練習をしていたんだ」

――それはブラジリアン柔術ですか? それとも古流柔術の部類だったのか。

「ブラジリアン柔術だよ。道着を着て練習をしたし、ノーギもやった。それからボクシング、キック、レスリング、MMAの練習をするようになった。練習をしているうちに、凄く打撃が好きになったんだ。ファンも打撃戦を好むしね。僕自身、レスリングもグラップリングもできて、打撃にも自信がある。だからMMAを戦うのが、一番都合が良いんだよ」

――ここ2年ほど、日本のMMAは中央アジア、モンゴルの選手が大活躍をしています。そして彼らは幼少期より馬に乗り、羊肉を食べているという共通項がありました。

「もちろん馬には乗っていたよ。今での大好きだ」

――タジキスタンにはチームで騎馬戦を行うスポーツがあるそうですね。

「あぁ、ブズカシだね。僕にとってブズカシは見るモノであって、やるモノじゃなかった」

――グシュティンギリという伝統レスリングもあると聞きました。その経験は?

「タジキスタンの男は、子供の時に国民の祝日に皆がグシュティンギリをやってきたはずだ。でもレスリングというか、道着もあって柔道に似ている。決着は一本だけで技ありや有効はない。そして寝技もない。カザフスタンのクラッシュにも似ているよ。勝てば商品がもらえるから、いつも出ていた(笑)。

グシュティンギリをやっているから、僕らは体が強かったというのはあると思う。そして柔道や柔術に生かせるものだ。僕自身はさっきも言ったように13歳から柔術を始め、18歳になってMMAの練習をするようになった」

――そして打撃の才能があったことに気づいたと。

「才能じゃないよ。毎日、厳しい練習を繰り返したからだ。食べて、寝て、練習。食べて、寝て、練習。その繰り返しの日々を送ってきた結果だよ」

――なるほどです。18歳、つまり4年前にMMAの練習を始めたということですが、その頃はタジキスタンにおけるMMAは、どれぐらい普及していたのでしょうか。

「ちょうど、その時にタジキスタンMMA連盟、タジMMAF(※オタベクの発音はタジマッフというものだった)が活動を始めたんだ。僕らタジMMAFアスリートはIMMAFのアジア、ヨーロッパ、世界大会で戦った。MMAのトレーニングをするのは、プロMMAで戦うため。それは皆、同じはずだ。ただ、MMAはアマチュアから始めるべきだと僕は思っている。多くの経験ができるからね。アマで豊富な経験があれば、プロで戦うのも容易くなる」

――例えば次の対戦相手のRYO選手の場合は、プロ戦績が12勝14敗。26試合をプロMMAの経験があります。対してオタベクはまだ4試合です。アマチュアMMAの経験が、この差を埋められると考えていますか。

「もちろんだ。世界中のファイターが、アマチュアを経験すべきだ。彼がプロで20試合以上戦っていようが、僕はアマチュアで18勝1敗だった。ファイトIQにしてもレベルが違う。それを今回の試合で証明する。彼が何試合戦っていようが関係ない。ただ僕は自分の道を往くだけだよ。自分の戦いをしてね」

エメリヤーエンコ・ヒョードルのような存在になりたい

――同じ夜に栁川唯人選手とカリベク・アルジクル・ウールがフェザー級王座決定戦を戦います。オタベクも前回の勝利後、タイトルショットを熱望していましたが、今回はその機会が巡ってこなかったです。

「カリベクも彼の相手も良い選手だ。だからタイトルファイトを戦うことになった。僕の次の試合は、そのタイトル戦で勝った方と戦う。どっちが勝とうが構わない。今回の試合に勝ったら、パンクラスが僕にタイトル挑戦の機会を与えてくれるに違いない。そのチャンスを生かすだけだよ。

そのためにも21日の試合では日本のファンの皆が、満足できる試合をするから、会場で僕の試合を見て欲しい。僕は日本のファンが大好きだから、彼らの心に響く試合がしたいんだ。そして、僕はエメリヤーエンコ・ヒョードルのような存在になりたいんだ」

■視聴方法(予定)
2025年12月21日(日)
午後1時~ U-NEXT

■Pancrase360 対戦カード

<ウェルター級KOPC/5分5R>
[王者] 佐藤生虎(日本)
[挑戦者] ゴイチ・ヤマウチ(ブラジル)

<フェザー級王座決定戦/5分5R>
栁川唯人(日本)
カリベク・アルジクル ウール(キルギス)

<バンタム級王座決定戦/5分5R>
井村塁(日本)
田嶋椋(日本)

<バンタム級王座決定戦/5分5R>
コシム・サルドロフ(タジキスタン)
佐藤龍汰朗(日本)

<女子ストロー級王座決定戦/5分5R>
KAREN(日本)
本野美樹(日本)

<フェザー級/5分3R>
オタベク・ラジャボフ(タジキスタン)
Ryo(日本)

<ライト級/5分3R>
粕谷優介(日本)
ISAO(日本)

<ライト級/5分3R>
天弥(日本)
クリストフ・キルシュ(ドイツ)

<ウェルター級/5分3R>
内藤由良(日本)
髙橋攻誠(日本)

<バンタム級/5分3R>
松井斗輝(日本)
荒田大輝(日本)

<フライ級/5分3R>
浜本キャット雄大(日本)
岸田宙大(日本)

<ライト級/5分3R>
松岡嵩志(日本)
神谷大智(日本)

<フライ級/5分3R>
菅歩夢(日本)
クーパー・ロイヤル(豪州)

<フライ級/5分3R>
齋藤楼貴(日本)
小澤武輝(日本)

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