【RIZIN Y.E.S.P.Festival】YA-MAN戦に向け沖縄で調整。斎藤裕—02—「戦いというものに対する芯」
【写真】THE BLACKBELT JAPAN沖縄にて松根良太代表と最終調整を行う斎藤。練習に集中し、何より自身が納得いく戦いを見せてほしい(C)YUTAKA SAITO
31日(水)に埼玉県さいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで開催される「RIZIN 師走の超強者祭り」で、YA-MAN” rel=”noopener” target=”_blank”>YA-MANと対戦する斎藤裕のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike
復帰までの道のりについて語ってくれたインタビュー前編に続き、ここでは1年5カ月振りの試合に向け、THE BLACKBELT JAPANの千葉と沖縄での練習について触れた斎藤。千葉では同日に元谷友貴とのフライ級GO決勝に臨む扇久保博正とスパーを行っていた。さらに沖縄では松根良太氏のもとで練習に取り組んでいる。YA-MAN戦に向け、練習でも手応えを感じているという斎藤が、RIZIN10周年のリングで見せるものとは(※インタビューは12月4日に行われた)。
<斎藤裕インタビューPart.1はコチラ>
扇久保さんがホセ・トーレスとガジャマトフを撃破した活躍って、もう『世界の扇久保』じゃないですか
――会見でも、登場した時点で斎藤選手の表情は少し緊張気味でした。しかしファンの声援を受けて表情も少しほころんだようにも見えました。
「そうなんですよね。意外とお客さんとの距離も近かったし、すごく熱を感じて嬉しくなっちゃいました(笑)」
――アハハハ。
「やっぱりRIIZNのファンは凄いな、と。PRIDEの時とはまた違って、RIZINファンの熱については、説明できないぐらい凄いものを感じています」
――PRIDE時代の熱は、やはりプロレスからの流れも関係していたように思います。RIZINファンの熱はプロレスも、それどころか今まで格闘技と関わってこなかった人たちも巻き込んだ熱があるように感じます。
「そこなんですよ。今のRIZINは、大会に向けてファンの人たちが一つになっている。日本人選手のストーリーが見えやすくなったというのも、盛り上がっている理由の一つでしょうし。それこそニッチな層だけじゃなく、一般層にも届いていると思います」
――ただ、盛り上がってくるにつれて、自身はファイターとして練習しづらい環境になってくる。そんななか斎藤選手はTHE BLACKBELT JAPANの千葉と沖縄で、それぞれ練習したそうですね。
「11月中旬の2週間、沖縄に行って合宿を張っていました。また来週から行きます」
――沖縄での練習は、先ほど言われた「都内だと練習環境が整いづらい」という面から繋がってくるのですか。
「いろいろありますけど、松根(良太THE BLACKBELT JAPAN沖縄代表)さんの指導力って本当に凄いです。平良達郎君の活躍もそうだし、沖縄に行くと本当に若い選手が育っている。アマチュアのファイターもそうですけど、とにかく若い20代の選手が育っています。ここから第二の平良達郎が出て来るんだ、という感じで。その指導をしている松根さんと一緒なら、試合までに良いものが出来るんじゃないかと思っていて。
11月5日に僕の試合が会見で発表されて、まず次の週から2週間いました。僕は先週ぐらいに東京へ戻ってきて、撮影などプロモーション活動をずっとやっています。平良君のUFCの試合が終わり、松根さんが戻ってくるタイミングでもう一度、沖縄へ行きます。最終セッションというか、集中して松根さんとコミュニケーションを取ってやっていきたいので」
――ファイターとしての先、という問題はキャリアを重ねれば誰もがぶつかるものだと思います。特にタイトルマッチを経たあとは……。千葉と沖縄の練習を通して自分の中に新しいものは生まれてきましたか。
「試合で勝つために、こういうものが必要だという話ができています。千葉で行った扇久保さんとの練習も、本当にメチャクチャ勉強になりますから。『いやぁ、トップファイターだな』って練習しながら感じますね」
――斎藤選手自身もトップファイターでしょう(笑)。
「いやいやいや。僕は経験も実績も多少はありますけど、試合間隔も空いていますし。扇久保さんがホセ・トーレスとガジャマトフを撃破した活躍って、もう『世界の扇久保』じゃないですか。強いよなって、練習すると本当に感じます」
いわゆる現代MMAと言われる動きの中でも、松根流MMA柔術という松根さんの理論がある
――ちなみに松根さんと組んだことはありますか。
「いえ、ないです。僕が行った時は練習を見てくれる立場で。ただ、実際に組んでも相当強いと思います。その松根さんと話すと、メチャクチャ勉強になることが多くて。もう金言だらけですよ。
これは平良達郎君の話で申し訳ないんですけど――以前、平良君の対戦相手が直前に変わった時があったじゃないですか。韓国人選手に変更された時が」
――今年8月、試合直前にアミール・アルバジからパク・ソンヒョンに変更された時ですか。
「はい。その時に平良君の周囲から『1Rは様子を見て、2Rから行こう』という意見が出て。でも松根さんは『いやいや、達郎。お前は極める力があるのだから最初から行こう。そもそもUFCチャンピオンを目指しているファイターが、スタミナなんか気にしていたら無理だから』と」
――そんなことがあったのですか!
「その話を聞いて、僕も『まさにそうだ!』と思ったんですよ。すごく当たり前の話ではあります。でも松根さんの中にある、戦いというものに対する芯がすごく太くて。いわゆる現代MMAと言われる動きの中でも、松根流MMA柔術という松根さんの理論がある。その中から自分も『今回の試合はこれが使えるんじゃないか』というものを幾つも頂きました」
――すでに策はいくつもあるわけですね。
「当然、僕のなかでもできる動きと、できない動きが出てきます。自分にフィットするなら使えばいいし、ダメなら一旦置いておく。そういうことを重ねているうちに、技術的な気づきも学びも多いです。2週間、沖縄に行って良かったなと感じることができた――そういう時間を過ごすことができたのは大きいですね」
早く終わらせたい。試合が長引いたとしても、お互いヘロヘロの酸欠状態になっても勝ちたい
――以前、日沖発さんも言っていました。「MMAの場合は2Rを取ったほうが3Rも取るという傾向は多い。反対に1Rと2Rを取られていて、3Rに逆転するのはレアケースだ。10分間ドミネイトされている選手が最後のラウンドで逆転できるなら、最初からペースを取っているはず」と。
「そうですよね。まさに先手必勝という言葉がありますけど、自分からフィニッシュに向かって試合を創っていく。それが全てだと思います」
――ただ、YA-MAN選手は1Rからガンガン来る選手です。斎藤選手も1Rから出て行くかどうか。同時に……コンディションやモチベーションはさておき、前戦ではタイプこそ違えど同じストライカーの久保選手をテイクダウンしきれませんでした。その点について、現在はどのように修正してきましたか。
「テイクダウンのアプローチに関しては、もっとやりようがあったなと思います。自分が試合の中で、うまく対応できませんでした。準備段階から少し甘さも感じながら――結局はどれだけ練習してきても、試合の場で出せなければ何の意味もないので。それも踏まえて今回は、いろんな動き方とか入り方、全てを見直しているような感じです」
――では当日、どのような試合をしたいですか。
「早く終わってほしいです。早く終わらせたい。どの試合も無傷で勝つことが理想です。今回もハマれば、そんなに長引かずに行くパターンかもしれない……というのは、互いにそうでしょうけどね。YA-MAN選手のパンチをアゴにもらったら効かされるでしょうし」
――斎藤選手とYA-MAN選手、どちらもフィニッシュできる武器を持っています。
「でも万が一というか、試合が長引いたとしても、お互いヘロヘロの酸欠状態になっても勝ちたい。だからそこに向けた練習——消耗戦のための練習もしています」
――久保戦については、勝った先が見えていない面があったということでした。では今回のYA-MAN戦で勝利した先は、何か見えているのでしょうか。
「どうなんですかね? なかなか僕の対戦相手を選ぶのって難しくなっていますよね。そんなに相手がいないことは自分でも分かっています。ただ、選手としては勝たないと現役生活が続いていかないことは理解しているので。
まぁ、先のことは分からないです。お店のこともあるし、今までのようには進んでいかない気もします。この試合に勝った時と負けた時で見えて来る景色も全然違うと思いますしね。そこはあまり考えなくて良いかな、と」
――なるほど。
「今回の試合を決める時、榊原さんと直接話をする機会がありました。10周年のイベントに対するRIZINの想いを、しっかり興行として表現していきたい。僕も10年の中で、少なからず貢献してきたという自負もあります。だから勝った先に――というよりも、まずはこの試合で、今までやってきた自分の全てを見せたいです」
■視聴方法(予定)
12月31日(水)
午前11時~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!



















