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【Gladiator032】対戦相手がイ・フィジェに変更——中川皓貴「やることは同じ。試合で出し切るだけです」

【写真】ライブ中継も正式決定の今大会。メインで中川はRIZIN LANDMARK神戸大会出場をアピールしたいという(C)SHOJIRO KAMEIKE

21日(日)に大阪府豊中市の176BOXで開催されるGladiator032で、中川皓貴が韓国のイ・フィジェと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

中川は当初、ウズベキスタンのアヴリヨホン・ハミドフとの試合が発表されていた。しかし主催者からのリリースによれば、ハミドフのビザが下りずに欠場。代わりにイ・フィジェとフェザー級ではなく68キロ契約で対戦することが決まったという。

いずれにせよ中川にとっては昨年7月、チハヤフル・ヅッキーニョスに敗れて以来のMMAとなる。フェザー級トーナメント準々決勝で敗れ、中川も一時期は引退まで考えたという。そんななか復帰を決めた中川の表情は、何か吹っ切れたのか――以前にも増して笑顔で溢れていた。再びグラジのフェザー級王座、そして今回勝利して11月3日のRIZIN LANDMARK神戸大会出場を希望する中川に話を訊いた。

この取材はハミドフ欠場が発表される前のもの。発表を受け、改めてイ・フィジェ戦に向けたコメントも中川から届いている。


中原選手とプログレスルールで戦って、ここで辞めるわけにはいかんと思うようになりました

――中原由貴選手とのプログレス戦を挟み、久々のMMAに臨みます。

「そうですね。MMAは1年以上、空いてしまいました」

――この期間は、あえてMMAをやろうと思っていなかったのか。それとも良いオファーがなかったのでしょうか。

「オファーがなかったわけではないです。でも自分の中で『どうしようかな……』と」

――どうしようかな……、というのは?

「今後どうしていこうかな、って。試合も長いこと出ていないし」

――それは「現役を続けるかどうか」と考えていたのですか。

「そうです。ちょっと悩んでいました。しばらく負けが続いていて、自分の立ち位置——グラジからすると、自分のことはどう見えているんかな、と考えたりとか。もちろんグラジのベルトは欲しいです。ただ、今のままタイトルマッチに辿り着いても自分はチャンピオンになれるんかな……って考えたりしていました」

――フェザー級トーナメントで中川選手に勝利したヅッキーニョス選手は、その後ライト級に転向しています。そこで中川選手がもう一度ベルトを目指すためには何戦も勝利を重ねなければいけないなかで、誰と対戦すれば良いのかという状態でもあります。

「はい、そこが見えなくて。かといって、いきなりタイトルマッチをやるのは違いますしね。

何より負けが続いていて……今までずっと上を目指してやってきました。自分はホンマに上を目指せるのか。このままじゃアカン、メチャクチャ中途半端やなと思っていて。

そんななかでも大会は行われているじゃないですか。それを見て、自分も出たいとは思っていました。練習も続けていましたし。ただ仕事が忙しい面もあったのと、オファーはあっても自分の中で何かしっくり来るものがなかったんです」

――ヅッキーニョス戦は中川選手が勝っているのでは、という声もありました。

「そういう声をもらえるのは嬉しいですけど、負けは負けなので。『自分の伸びしろは、ここまでやったんか』と思いました。ヅッキーニョス選手にはウチの先輩たちが負けて、どうしても自分は勝たなアカンという気持ちも強かったんですよ。メチャクチャ練習にも熱が入って、追い込んでやっていて。それで負けて『ここまでなんか……』と思ったのは確かです」

――……。

「でも中原選手とプログレスルールで戦って、あれほど強い選手に極められることがなかった。すると『これはまだMMAでいけるんちゃう?』と思うようになって。まだいける、ここで辞めるわけにはいかん、と思うようになりました」

自分は今、ゼロの状態になりました。今また調子が上がってきています

――プログレス戦を経て、再びMMAを戦う気持ちになったわけですね。

「ずっとモヤモヤした気持ちを抱えていたけど、そう思ってから練習が楽しくなったんです。楽しくなると、練習も良い感じになってきて。その頃に代表(田中淳reliable代表)から『9月のグラジ、どうする?』と訊かれたので、自分も『やります』と答えました」

――なるほど。

「そこで代表から『誰と試合したい?』と訊かれて。『今グラジのフェザー級なら誰やろう?いきなりタイトルマッチはないし……』と考えていたら、ウズベキスタンの選手との試合が決まりました。

とりあえず『誰でも良いです』とは答えていたんです。自分の中でも、コレっていうのは決まっていなかったし。そうしたらウズベキスタンって(笑)」

――アハハハ。

「最初、代表から『相手が決まったぞ』と、中央アジアの人の写真を送られてきて、そのあとに『まぁ嘘やけどな』と言われたんですよ。でも数時間後に『ホンマに中央アジアの選手やったわ……』という連絡が来て」

――まさかのジョークが現実に(笑)。

「メチャメチャ予想外でした。自分から国際戦は希望していなくて、たぶん日本人選手やろなと思っていました。厳しいですよ。でもここで勝たんと、タイトルマッチやらせてほしいとは言えへんし。

今は楽しみと不安、半分半分ですね。全く相手の情報がないし、どうなるかなっていう気持ちもあります。試合映像を視るとテコンドーとレスリングが主体で。テイクダウンを奪えない場合のギロチンもある。凄いのは――その対戦相手からインスタのフォローリクエストが来ていて」

――えっ!?

「僕も試合前に相手と仲良くなろうとは思っていないので、フォローは返していないけど――でも投稿された練習動画を視たら、メチャクチャ動きにキレがあって。でもこれは練習であって、試合を視ると自分にもチャンスはあるのかなって思いますね。

とにかく試合が楽しみです。でも早く試合を終えて、早く帰宅したいですね。もう試合までの気持ちが……しんどくて(苦笑)」

――久々の試合を控えて、毎日の緊張感も違いますか。

「全然違いますね。今回もたくさん応援に来てくれるし、良い試合を見せたくて。ただ、以前とは違う部分もあります。負けていない時はずっと『勝たないといけない。良い試合を見せないといけない』という、自分へのプレッシャーが強すぎました。

でも今は違っていて。自分は今、ゼロの状態になりました。もうやるしかないし、今また調子が上がってきているので。減量もうまくいっていて、メチャクチャ調子が良いです。次の試合に向けて楽しみしかないですね。ワクワクしています」

ハミドフ戦を楽しみにしてくれていた方は、対戦相手が変わっても更に楽しみにしてください

このインタビュー後、前述のとおり中川の対戦相手はイ・フィジェに変更となった。イ・フィジェのプロMMA戦績は3勝2敗。フィジカル+レスリングで前に出て来るというよりも、蹴りを多用して距離を詰めてくる好戦的なストライカーだ。イ・フィジェ戦の発表後、中川はMMAPLANETに次のコメントを寄せてくれた。

「対戦相手が変わってしまいましたが、やることは同じなので、練習してきたことを試合で出し切るだけです。ハミドフ戦を楽しみにしてくれていた方は、対戦相手が変わっても更に楽しみにしてください。メインで一番盛り上げます!」

■視聴方法(予定)
9月21日(日)
午後4時00分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■対戦カード

<68キロ契約/5分3R>
中川皓貴(日本)
イ・フィジェ(韓国)

<ライト級/5分3R>
チハヤフル・ヅッキーニョス(日本)
荒井銀二(日本)

<キック 70キロ契約/3分3R>
ハンセン玲雄(日本)
荒尾祐太(日本)

<60キロ契約/5分3R>
岩崎圭吾(日本)
パク・ファラン(韓国)

<フェザー級/5分3R>
石田拓穂(日本)
國頭武(日本)

<ウェルター級/5分3R>
後藤丈季(日本)
クォン・ジフ(韓国)

<ライト級/5分3R>
八木敬志(日本)
友實竜也(日本)

<キック(※ヒジなし) 80キロ契約/3分3R>
森井翼(日本)
小山寛太(日本)

<PROGRES ライト級/5分2R>
岸田海輝(日本)
徳野”一心”一馬(日本)

<バンタム級/5分2R>
野口蒼太(日本)
古賀珠楠(日本)

<フェザー級/5分2R>
コウ(日本)
谷川渉(日本)

<フライ級/5分2R>
藤原浩太(日本)
村泉空(日本)

<ストロー級/5分2R>
木村旬志(日本)
與那嶺大輝(日本)

<ヘビー級/5分2R>
土井淳(日本)
ヨコヤマクレガー(日本)

<ヘビー級/5分2R>
松本洋平(日本)
かずややねんけど(日本)

<バンタム級/5分2R>
古賀琉斗(日本)
岩田虎之助(日本)

<フェザー級/5分2R>
天野武徳(日本)
キム・ジギョン(韓国)

<60㎏契約/5分2R>
谷口隆元(日本)
カーヴィ(日本)

<バンタム級/5分1R>
田口大貴(日本)
髙橋良河(日本)

<ストロー級/5分1R>
辻本涼太(日本)
松尾翔貴(日本)

<フライ級/5分1R>
藤原健介(日本)
横山桔平(日本)

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