【Gladiator033】リライアブル田中有×中川皓貴「2人で同じ日にベルトも巻いたら、かっこいいですよね」
【写真】田中有と中川皓貴。チームメイトというよりも家族であり兄弟という絆を感じさせる(C)SHOJIRO KAMEIKE
30日(日)、大阪府豊中市の176BOXで開催されるGladiator033に総合格闘技道場リライアブルの田中有と中川皓貴が出場。田中はライト級王者の小森真誉に、中川はフェザー級王者パン・ジェヒョクに挑戦する。
Text by Shojiro Kameike
田中淳リライアブル代表の実弟である田中有は1995年生まれ、中川は1996年生まれと1歳違いで、学生時代からの友人であった。それは2人だけでなく多くの選手が同様の仲間であったことが、リライアブルのファミリー感を生み出している。そのリライアブルにとって大きなチャンスが巡ってきた今大会。田中と中川は揃ってベルトを巻くことができるか。2人の歴史、関係性からファイターとしての現在を紐解く。
中学の柔道部は先輩も兄やん一人で、僕たちは皆、初心者。そこから1年ちょっとで神戸市内で1位になったんですよ(中川)
――田中選手と中川選手は年齢も1歳違いで、プロデビューも同様に1年違いですね(※プロデビューは田中が2016年、中川が2017年)。
田中 えっ、そうなんですか。プロデビューの年とか全然覚えていなくて。
中川 もう10年近く前になるんですね。
――MMAを始めた時期は、どれくらい違うのでしょうか。
田中 僕のほうが先ですね。皓貴とは2~3年ぐらい違うんかな。
中川 兄やんは高校を卒業してすぐ始めて、僕は大学に行っとったから――それぐらいは違うと思う。
――中川選手は田中選手のことを「兄やん」と呼ぶのですね。リライアブルといえば、まさに「田中ファミリー」という印象が強いです。
田中 お互い昔から知っていますからね。
中川 知り合ったのは小学生の頃ですよ。そのまま中学校では柔道部で先輩と後輩になって。
田中 さらに高校まで付いてきたもんな。
――小学校から中学、高校、そしてMMAファイター生活まで一緒に過ごしてきたのですね。
田中 そうです、そうです。自分にとっては、ずっと弟みたいな感じで。皓貴もずっとこんな感じやし(笑)。
中川 小学校の頃から一緒に遊んでいて、今までずっと関係性は変わらないままです。
――ちなみに当時の遊びというと……。
中川 ベンチプレスですね。
――遊びでベンチプレスですか!?
田中 暇やったら筋トレしていました(笑)。
中川 中学の時は「ベンチプレス、なんぼ挙げられる?」と競っていたんです。学校が終わったら皆で友達の家に行って。その家にベンチプレスがあったので、皆でやりながら100キロ超えたら「おぉ、まぁエエか」みたいな。
――アハハハ。
中川 でも兄やんはスーパー真面目になりましたよ。中学校の時は授業には出ず、部活だけ来ていて。
田中 皓貴を柔道部に誘ったのは僕ですからね。その僕が部活に出ていなかったら、皓貴に悪いじゃないですか。ウチの柔道部って結構厳しかったんですよ。皓貴には「練習は楽やから柔道部においで」と誘ったのに、いざ入ってみたら厳しかったという。
中川 アハハハ! 「練習も早く終わって帰れるで」と言っていたのに、実際は練習もガチガチで。
田中 練習初日に皓貴が「え、嘘やん」って僕のほうを見ていました(笑)。柔道部では、なぜか僕だけ自由にやらせてもらっていたんですよ。理由は分からないけど。
中川 強いからやん。
田中 いやいや、たいした成績も残していなかったし。
中川 あぁ、そうか。僕たちが入った頃、ウチの中学の柔道部ってメッチャ弱かったんです。
田中 神戸市で最弱やったもんな。僕が2年生の時、部の先生が変わって。皓貴の代が先生にとって初めての部員だから、余計に厳しかったんやと思います。
中川 僕たちの先輩も兄やん一人で、僕たちは皆、初心者。そこから1年ちょっとで神戸市内で1位になったんですよ。自分らは初心者スタートの自分らに対して、周りの学校は経験者ばかりなのに――番狂わせの連続でしたね。
――凄い! まるでドラマの世界ですね。続いて高校も同じ柔道部に?
中川 はい。高校から推薦をもらえて。
田中 そこは強豪校でした。皓貴の代には全国3位になっていましたから。
勝手にリライアブルを背負っていたというか。今は何も感じていません。試合を楽しんでベルトを獲りたい(田中)
――そして2人ともリライアブルでMMAを始めると。
田中 僕が高校1年ぐらいの時に兄が格闘技のジムを立ち上げて。僕は最初ダイエットというか軽く体を動かす程度のつもりやったのに、いつの間にか試合に出ていました(笑)。
中川 僕も淳君がジムを始めて、兄やんが練習し始めたことを聞いて「自分もMMAやりたいなぁ」という感じで言っていたんですよ。自分は大学に入って柔道を続けとったけど、淳君や兄やんの試合を見て、「かっこえぇなぁ」と思って大学を辞めました。
田中 皓貴がMMAをやりたいのは知っていました。でも大学に行っていたので「どうすんやろうなぁ」とは思っていたんですよ。ただ、柔道時代もずっと自分に付いてきていたし、「もしかしたら……」と思っていたら、ジムに来たんですよね。「ホンマに来たな!」という感じでした。
中川 高校も兄やんが入ったところにしか行かへん、と先生に伝えていたぐらいで(笑)。MMAを始めたのも、やっぱり淳君と兄やんがおるからですよね。淳君もメッチャ熱い人なので。
――田中選手と中川選手だけでなく、リライアブルには同様に昔から知っている仲の選手が多いと聞きました。
中川 だいたい中学校から知っていますね。
田中 柔道繋がりで。
中川 みんなライバル校で、試合の時はバチバチやけど仲が良くて。それがリライアブルに集結したんです。
――それもまたドラマのような展開ですね。先ほど中学時代の遊びがベンチプレスだったという話がありました。それだけ鍛えているとMMAを始めた時、すでにフィジカルは強かったのではないですか。
田中 強いほうやったと思うし、高校に入ってからもっと強くなったかもしれないです。柔道部の練習がキツかったので。当時は地獄でしたけど、今となってはありがたいですよね。
中川 柔道部の練習は――(いろいろとエピソードを披露)。
――現在は状況も違うと思いますので、そのエピソードの掲載は控えます(苦笑)。柔道部時代に鍛えたフィジカルと経験があれば、デビュー当初はその貯金だけでも勝てますよね。しかし、いずれ壁にぶつかる。
田中 そうですね。最初はトントンって勝てました。
中川 僕も同じです。柔道の経験があるから「寝技ができたら勝てるやろ」って感じで天狗になっていました。でも東京で試合をした時、ボコボコにされたんですよね(2021年6月、遠藤来生に判定負け)。寝技も通じへんし、「これじゃアカン」と。
田中 僕の場合は修斗で4連勝して世界ランキングに入ったあと、当時ランク1位の大尊伸光選手に負けた(2019年9月にKO負け)時ですね、「柔道の技術だけじゃ無理や。パワーがあってもアカン」と考えて。そこから――やることは変わらないけど、意識して練習するようになりました。昔は考えずに練習していたんですよ。とにかくガンガン練習する……でも、そういうことじゃなくて。
――柔道部時代の経験から、ガンガン練習することには慣れていたから余計にそうなるかもしれません。
田中 そうなんです。自分は高校を卒業してすぐMMAを始めて、練習も柔道部時代のスタイルのままでした。負けたあと、練習自体が変わったわけじゃないんです。でも打撃にしろ寝技にしろ、どうやったら自分の優位なポジションを取って、優位に試合を進めることができるかって考えて練習するようになりましたね。
――現在、お互いMMAファイターとしてはどのような印象を持っていますか。
田中 皓貴はフィニッシュ率が高いし、MMAは僕よりも試合をしていて経験値が高いですからね。あと練習より試合のほうが強いタイプなんですよ。試合なるとガンガン行ける根性がある。それは凄く良いことで。
――中川選手は今年9月の大会で、イ・フィジェにスタンドでギロチンを極めました。2020年2月にも天草ストロンガー四郎戦で、同じような形のフィニッシュを披露していました。
中川 そうですよ! 9月の試合は首を曲げていましたけど、ストロンガー戦は絞め上げる形で。ああいう形は得意なんです。
田中 あの形は――いつも技の名前が分からなくて、僕は「轟絞め」と呼んでいます。
――轟絞め?
田中 昔テレビ番組で轟というキャラが、ああやってギューンって絞めていたんです。だから僕は「出た。轟絞め!」と呼んでいました。
中川 アハハハ! あれは淳君に練習でやられていた技なんですよ。そうしたら自分の試合で「あれ? コレいけるやん」という体勢になって。
――では今後は「轟絞め」で行きましょう! 中川選手は田中選手について、MMAファイターとしてどのような印象を持っていますか。
中川 とにかく安定していますよね。だから負けている時も「もっと行ける! こんなところで負けている人じゃない」と思っていて。ずっと色んなものを抱え込んでいたと思うんですよ。だから、もっともっとチームで助け合いたいと考えていました。
――抱え込んでいた、というのは……。
田中 勝手にリライアブルを背負っていたというか。
中川 一時期、リライアブルも連勝していて。やけど最近は負けも続いているじゃないですか。特に兄やんがタイトルマッチやる時、その試合の間に出ている僕たちが勝っているところを見せられていない。淳君も「お前らに勝たせたい……」と言ってくれているのに、自分たちは負けが続いていて。そういう面で兄やんにプレッシャーを与えていたんじゃないかと思うんですよね。
田中 いやいや……自分が一人で勝手に背負っていただけで、皆は関係ないです。逆に今は何も感じていません。自分が挑戦者やから、試合を楽しんでベルトを獲りたいという気持ちしかないですね。
お互い、もう負けることは何も怖くないと思うんですよ。チャレンジャーなので、あとはやるだけです(田中)
気持ちの問題ですね。試合で出し切るだけです(中川)
――田中選手にとってはダイレクトリマッチでのベルト挑戦となりました。
田中 僕としては負けている相手にやり返したい。それだけです。もちろんベルトは欲しいけど、今はまず小森選手に勝つこと。勝ったらベルトが付いてくる、とだけ考えていますね。この期間にどう自分が変わったかは――言葉では表せないけど、しっかり試合を見てほしいです。
――中川選手はパン・ジェヒョクに挑みます。2023年1月、チョ・ソンビンとの王座決定戦以来のタイトルマッチです。
中川 パン・ジェヒョクには先輩が負けているので(昨年7月、石田拓穂がKO負け)、それを取り返す。それと、ベルトもそろそろ日本人が巻いとかんとなって思います。
相手はただただ強いです。でも淳君から言われていれるのは「お前の強いところを出すことができれば勝てる。でも一歩でもイモ引いたら負ける」。だから、気持ちの問題ですね。
田中 お互い、もう負けることは何も怖くないと思うんですよ。チャレンジャーなので、あとはやるだけです。
中川 そう。何も考えてへん(笑)。試合で出し切るだけです。僕は兄やんと同じ日に試合ができるのも嬉しくて(過去には今年1月のグラジのみ)。それで同じ日にベルトも巻いたら、かっこいいですよね。当日は2人揃ってチャンピオンになります!
■視聴方法(予定)
11月30日(日)
午後1時00分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル
■対戦カード
<GLADIATORバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者] 南友之輔(日本)
[挑戦者] ルキヤ(日本)
<GLADIATORフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者] パン・ジェヒョク(韓国)
[挑戦者] 中川皓貴(日本)
<GLADIATORライト級選手権試合/5分3R>
[王者] 小森真誉(日本)
[挑戦者] 田中有(日本)
<GLADIATORフライ級王者決定戦/5分3R>
今井健斗(日本)
岩崎圭吾(日本)
<フライ級/5分3R>
久保健太(日本)
熊崎夏輝(日本)
<63キロ契約/5分3R>
上田祐起(日本)
吉野光(日本)
<ヘビー級/5分3R>
大番高明(日本)
アルブリー・ンジャイ(セネガル)
<68キロ契約/5分3R>
國頭武(日本)
倉本拓也(日本)
<キック 70キロ契約/3分3R>
荒尾祐太(日本)
ペ・ジョンフン(韓国)
<ライト級/5分2R>
KENZO(日本)
望月貴史(日本)
<フライ級/5分2R>
塩川玲斗(日本)
石田聖人(日本)
<ヘビー級/5分2R>
松本洋平(日本)
土井淳(日本)
<フェザー級/5分2R>
山下魁(日本)
谷川渉(日本)
<ストロー級/5分2R>
諸井友祐(日本)
タッキー(日本)
<バンタム級/5分1R>
村越平次郎(日本)
山田倖生(日本)
















