この星の格闘技を追いかける

【TTFC11】キャリア5戦目、石井逸人戦へ――カイル・マヨッキ「打撃ができないとグラップラーは勝てない」

【写真】しっかりと体重を落としてきたマヨッキ。かなり創られていそうだ(C)MMAPLANET

14日(日)に東京都練馬区の練馬coconeriホールで開催されるTTF CHALLENGE11で石井逸人と戦うカイル・マヨッキ。
Text by Takumi Nakamura

豪州、ブリスベンから北に1600キロも離れた人口8000人の村で育ったマヨッキは、1歳下の弟と共にMMAファイター、いやUFCファイターになるためにトレーニングを積んできた。リアリティTVショーでスカラーシップを得て、ニュージーランドの名門シティ・キックボクシング在籍となったプロMMA4戦4勝のファイターは、MMA界のパワーハウス=オーストララジアン(豪州&ニュージーランド)の強さを知るのに格好の選手だ。

今年からオーストララジアン勢がRoad to UFCに参戦し、あの日の出を見る勢いだった中国勢をその他大勢に追いやった。しかも、トップどころはUFCと契約し、第2グループがContender Seriesから最高峰を目指すなかで、Road to UFCで結果を残している。オーストララジアン勢の力はいかほどなのか。

試合経験数で絶対的な差のある石井戦を前に、マヨッキをインタビューすると絶対的な自信が感じられた。


僕はピュアMMAファイターだよ

ニュージーランドとリモート取材時は、当然のように室内でも長袖だった

――2週間後にTTFC11で石井逸人選手と戦います(※取材は1日に行われた)。

今の気持ちを教えてください。

「しっかりトレーニングができ、良い感じだよ。体重も上手く落ちている。日本には良い状態で行けそうだ。そして良い試合ができるだろう」

――冬のニュージーランドから、残暑厳しい日本にやってきます。

「そうだね。オークランドは寒くて、雨が降っている。東京はどうなの?」

――2日前は40度近くありました。

「イエイ、イエイ。最高じゃないか。僕が棲んでいる豪州のイニスフェールもそんな村だから、故郷に戻るようなものだから大丈夫だ」

――つまりカイルは豪州人で、ニュージーランドのシティ・キックボクシングで練習しているということですか。

「そうだよ。11年前、小さな頃から弟のブローディと一緒に柔術を始めて、一緒にファイトをしてきた。ボクシング、ムエタイも練習し、多くの時間は柔術の練習をして少しMMAをやっていた感じかな。MMAファイターになるために柔術に時間を割いていたんだ。だから僕はピュアMMAファイターだよ」

――子供の頃からMMAの練習をしてきた。その目標はどこに置いていたのですか。

「もちろん、UFCを目指していた。このスポーツで食っていけるようになりたいと思っていた。豪州のMMAでは、UFCファイターになる以外はフルタイムで戦うことは難しい。だから練習をしているほとんどの人間にとって、UFCがゴールだ。それはニュージーランドも同じだよ」

――戦い続けるには、UFC一択しか将来がないことがオーストララジアンの選手を強くしているのでしょうか。

「それ以外の機会がないからね」

――ニュージーランドのシティ・キックボクシングで練習するようになったのは?

「僕と弟はリアリティTVショーのトライアルのような番組で合格し、1年間スカラーシップを得てシティ・キックボクシングで練習できることになったんだ。その期日が過ぎても、ファイトキャンプのたびにニュージーランドに来ている。故郷の村でキャンプをするのと、全然違うからね。

シティ・キックボクシングではUFCファイター、Contender Series、Road to UFCファイターが周囲にいる。この環境が僕を成長させてくれるんだ」

――そんなカイルは5戦目で、日本で試合をします。

「アマチュアでもっと戦ってきた。サイトにあるよりも、多い。10戦以上、アマでやってきたよ。ボクシング、柔術でも戦ってきたからファイトの経験は十分にあると思っている」

――それだけアマチュアや他競技で経験を積んできたと。そんなカイルは、MMAファイターとして自分の長所はどこだと思っていますか。

「基本的に柔術、グラウンドゲームが秀でていると思う。だけどレスリングとスタンドの打撃もずっと練習してきたし、打撃も武器になっているはずだ。それでも一番得意なところは柔術、グラウンドゲームだね」

――打撃戦ができるグラップラーというわけですね。

「MMAの進化は凄まじい。打撃ができないとグラップラーは勝てない。どのエリアでも戦えないとね。拳が届く距離にいれば、テイクダウンには入りやすいわけだからね。まぁMMAにはいろんな局面があって、遠い距離から組んで倒すのもその一部だ。実際、僕もアマチュアの頃はそうやって勝てた試合もあった。でも、それだけじゃ今は難しい。テイクダウン・ディフェンスのレベルが上がっている。なら接近戦で打撃ができないと。そこのディフェンス力が上ったら、将来UFCやMMAはどうなるんだろうね」

――自然とディフェンス力も上がってくるのは絶対ですしね。そんななか今回、プロキャリアで6倍ほどの経験がある石井逸人選手と戦います。

「さっきも言ったように柔術、ボクシング、それにムエタイでも若い頃から戦ってきたし、経験は十分に積んできたと思っている。確かにプロになったのは去年だ。でも、それから5試合という数を戦ってきた。既に彼とやり合えるだけの力は身に着けている。

対戦相手はグラップリングが強い。柔術、もしくはその代わりに柔道ができる。テイクダウンも良いね。僕とは手が合う、良いファイトができるだろう」

Road to UFCは一つのオプションだ

――64キロ契約、通常より2キロほど余分に体重を落とさないといけないです。

「フェザー級で僕は小さくて、対戦相手はいつも僕より少し大きい。フェザー級に落とすのは難しくないから、64キロまで問題なく落とせると思う」

――ではこの試合後のキャリアをどのように考えていますか。UFCを目標にするにしても、今年からオーストララジアン勢はRoad to UFCにも出場できるようになりました。

「UFCに行くにはコンテンダーシリーズだと考えていた。でも、とにかく経験を積むことが重要で。この試合後も、可能な限り多くの試合に出続けたい。チームメイトのアーロン・タウとローレンス・ルイがRoad to UFCの決勝に残っている。Road to UFCは一つのオプションだ。3試合を戦ってUFCへ行くのは、コンテンダーシリーズからすぐにUFCと契約するよりも経験が積める。

経験豊富な相手と戦うことは、次のレベルに進むために本当に良い機会になる。だからこのタイミングで、日本でこういう機会を得られたことは凄く良かった。次に進む好材料になる。試合だけでなく、遠く離れたところで試合をする。減量も含めて、絶対にこれからに生きてくるはずだ。過去イチ大変な試合になると思っているけど、だからこそ楽しみなんだよ」

――Road to UFCを目指している日本人ファイターも、カイルことを注目するようになるでしょうね。では、今回のTTFCでの石井戦、どのようなファイトをしたいと考えていますか。

「僕の技術を見て欲しい。そして皆に喜んでもらえる試合をして、キーラン・ジョブリンと一緒にオーストララジアンが如何に優れているか見せたい」


■視聴方法(予定)
9月14日(金)
午後3時40分~ツイキャスLIVE

■TTFC計量結果

<ライト級/5分3R>
エフェヴィガ雄志:70.25キロ
キーラン・ジョブリン:70.60キロ

<64キロ契約/5分3R>
石井逸人:64.35キロ
カイル・マヨッキ:64.2キロ

<バンタム級/5分2R+Ex>
阿部光太:77.50キロ
シオネ・ヴェイコソ:77.3キロ

<バンタム級/5分2R+Ex>
上田直毅:61.55キロ
宮川日向:61.55キロ

<バンタム級/5分2R+Ex>
榎本明:61.5キロ
小山敬司:61.45キロ

<バンタム級/5分2R+Ex>
藤田ムネノリ:61.6キロ
千種純平:61.3キロ

<フェザー級/5分2R+Ex>
シャ・ランディ:65.95キロ
石田裕星:65.15キロ

<フライ級/5分2R+Ex>
和田教良:56.9キロ
柿沼和敬:56.85キロ

<フェザー級/5分2R+Ex>
河坂修斗:66.05キロ
武本行平:65.5キロ

<フェザー級/5分2R+Ex>
テヘラン・カトウ:65.9キロ
谷知哉:65.3キロ

PR
PR

関連記事

Movie