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【DEEP127】1年3カ月ぶりの復帰戦で五明宏人と激突、関鉄矢「新しいスタイルでの再出発点」

【写真】新しいスタイルが楽しみな関の復帰戦(C)MMAPLANET

15日(月・祝)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP127にて、関鉄矢五明宏人と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

関にとっては昨年6月のカルシャガ・ダウトベック戦以来、1年3カ月ぶりの試合となる。ダウトベックにKO負けを喫し、一度は引退も考えたという関。しかし新しいスタイルの完成を目指し、再びケージに戻ってきた。復帰の舞台となるDEEPフェザー級は、GP終了後に次の展開を迎えている激戦区だ。そんななかで関が目指すものとは。


自分のやりたいスタイルで戦いたい。周りのイメージどおりの動きをしなくても良い

――お久しぶりです。今日はよろしくお願いします。

「お久しぶりです! 1年3カ月ぶりのインタビューですね」

――つまり関選手にとっては1年3カ月ぶりの試合となります。

「実はダウトベック戦のあと、チョコチョコと海外の試合のお話を頂いていたんです。でも出ることになっても相手が決まらなかったり、直前で試合が流れたりとか3回ぐらい、そういうことが続いて。まず確実に試合がしたい。そこでDEEPに出させていただくことになりました」

――ダウトベックにKO負けを喫した直後は引退も考えたと聞きました。

「あの時は『もうダメだな』と思いました。これ以上続けても――とネガティブな感じになって」

――……。

「試合後、控室から妻に『これ以上は無理かもしれない』と連絡したんです。妻は『まだいけるよ』と言ってくれるものの、その時は続けられる気はしなくて。でも帰宅して妻や子供の顔を見て元気づけられ、『また頑張りたい』と思いました。妻は僕に対して『好きなことをやってこい』というスタンスでいてくれて、すごく助かっています」

――家族の存在あってこそ続けられるMMAということですね。まずダウトベック戦の内容について、「これ以上続けても――」と感じたのは、どのような点ですか。

「自分のやりたい展開があったのに、その展開へ持って行ける気がしませんでした。完全に生物的な違いを見せられた気がして……。MMAを続けるためには、今の自分は頭打ちなのかと思ったんです」

――頭打ち、ですか。関選手の実力であれば、今後もとりあえず試合をして勝つことはできる。ただ、さらに上を目指していくとなると……。

「その壁を感じてしまいましたね。MMAを戦ううえではガムシャラにベルトを目指していました。でもダウトベック戦で壁にぶつかってしまった。心が折れてしまったような部分もありました。

だけど、何て言うんでしょうね。……泥臭くてもいい、もう一度勝つ姿を見せたい。そういう気持ちが芽生えてきたんです。試合をしたい。自分はMMAが好きで、試合をすることが好きだ。試合で自分のやりたいスタイルを出したい、と思いました」

――好きなスタイルとは?

「細かいことは言えないけど、『今までは綺麗に試合しようとしすぎていたのかな』とも思いました。でもそんなことでは、試合では思うように動けなくなってしまう。その意味で、『もっと試合を楽しみたい。自分の好きなことをしたい』と考えるようになりましたね」

――試合中に考えすぎて、迷いが生まれてしまっていたのでしょうか。

「というよりも、自分の中で『スタンドで戦いたい。関鉄矢は打撃だろ』と決めてしまっていて」

――確かに関選手といえば、やはり必殺の右ストレートが一番印象的です。今でもプロフィール写真は弓を引くポーズで、右ストレートという矢が飛んでくるイメージで。

「そういうイメージがつくのも仕方ないです。試合に出始めた頃は、右ストレートしかなかったので(苦笑)。でも10年以上MMAをやってきて『自分が一番得意なところはソコじゃない』と気づいたんですよね。

……いや、それは前から分かってはいたんです。でも『自分の試合に対してはスタンドでKO、というイメージを持たれてしまっているのかな。だったらスタンドで戦わないといけない』と決めつけていました。でもMMAは、そうじゃない。自分のやりたいスタイルで戦いたい。周りのイメージどおりの動きをしなくても良いのかな――と思いました。

何より、まだ自分の好きなスタイルを試すことができていなくて。だから辞めることができないんです」

相手がどうであれ自分のスタイルに持ち込むことが今回のテーマであり、理想なので

――新しい、好きなスタイルで戦いたい。いつ頃から、そう考えていたのですか。

「堀江選手との試合(2021年3月、堀江圭功にTKO負け)で、もう打撃だけの勝負は打ち止めだと思いました。そこから自分の強みは何だろうと見直して。だけど試合になると、自分は相手のアゴを右で打ち抜くことを求められている――と思い込んでしまっていたんですかね。自分自身は気にしていないつもりでしたけど。今回はそれを一切気にしないことも一つのテーマです。周りの目を気にしてはいけない」

――ただ、五明選手とのマッチアップは打撃戦を期待されるかと思います。

「オファーが来た時に『そういうことだよな』って思いました(笑)」

――アハハハ。

「五明選手はカウンターが得意ですよね。自分が突っ込んでいき、五明選手がカウンターで迎え撃つ。そこで打ち合いとか……極端に言えばダブルノックダウンするぐらいの打ち合いを求められているかもしれません。でも自分の目標は、そこじゃないので。

五明選手という強敵が相手だからこそ、分のやりたいスタイルを貫き通すことができれば、今後もやっていける自信になると思います。逆に以前と同じスタイルになってしまうようなら、この先は難しい。また越えられない壁にぶつかっちゃうんだろうな、と。これは自分が一皮むけるために重要な試合になります」

――その五明選手はDEEPフェザー級GPの準決勝で、高橋遼伍選手に敗れて以来の試合となります。関選手はダウトベック戦以降、今年に入って開催されたDEEPフェザー級GPをどのように見ていましたか。

「試合を見てはいましたが、そこまでGPを意識してはいなかったです。でもGP出場メンバーに選ばれている五明選手に勝つ意味は大きい、ということは分かっています」

――フェザー級GPも終わり、同級王者の青井人選手も21日にRTU以来の復帰戦に臨みます。いずれ優勝者の水野新太選手が青井選手に挑戦するでしょう。今回のマッチメイクを見ても、すでにその次の挑戦者争いが始まっている。関選手はDEEPのベルト奪取を見据えていますか。

「はい。GPの選手に勝って、自分もそこに入り込みたいです」

――そう聞くと、五明選手に勝てば次は自然と高橋遼伍選手との試合が決まるかもしれません。

「アハハハ。海飛選手かもしれないし、同じ大会で組まれている木下カラテ選手と相本宗輝選手の勝ったほうかもしれない。選手としてはそういう流れも意識しますよね。

自分もベルトは視野に入れています。でもこれだけ壁が多いので、タイトルマッチに辿り着くまで1年以上は掛かるかもしれません。自分も飛び級を望んではいなくて、やるなら順々に強い相手を倒していきたいです」

――次の試合では新しいスタイルの披露を楽しみにしています。

「ありがとうございます。自分の新しいスタイルが噛み合わなければ、最終的には右を出すことになるかもしれないです。ただ、相手がどうであれ自分のスタイルに持ち込むことが今回のテーマであり、理想なので。

この試合については、求められているものとは違うかもしれないです。でも自分にとっては新しいスタイルでの再出発点です。『コイツ変わったな』と気づいてもらえるような試合をして、そこを楽しんでもらいたいです。よろしくお願いします!」

■視聴方法(予定)
9月15日(月・祝)
午後5時30分~U-NEXT、DEEP/DEEP JEWELS YouTubeチャンネル メンバーシップ

■対戦カード

<ウェルター級/5分3R>
佐藤洋一郎(日本)
ストラッサー起一(日本)

<フェザー級/5分3R>
木下カラテ(日本)
相本宗輝(日本)

<フェザー級/5分3R>
五明宏人(日本)
関鉄矢(日本)

<女子アトム級/5分3R>
大島沙緒里(日本)
須田萌里(日本)

<58.5キロ契約/5分2R>
力也(日本)
濱口奏琉(日本)

<73キロ契約/5分2R>
郷野聡寛(日本)
近藤有己(日本)

<バンタム級/5分2R>
魚井フルスイング(日本)
春日井“寒天”たけし(日本)

<ストロー級/5分2R>
中務修良(日本)
杉山空(日本)

<ライト級/5分2R>
石塚雄馬(日本)
ケンシロウ(日本)

<フェザー級/5分2R>
高橋正親(日本)
佐々木耀(日本)

<フェザー級/5分2R>
平石光一(日本)
菊川イサム(日本)

<アマチュア フライ級/3分2R>
RYOTA(日本)
佐藤照栄(日本)

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