【UFC ESPN72】風間敏臣と対戦、親子鷹アライジャ・スミス「寝技になっても、何も怖くない」
【写真】確かな自信が伝わってきた――というよりも、自信しか伝わってこなかったアライジャ・スミス(C)MMAPLANET
9日(土・現地時間)、ネヴァダ州エンタープライズのUFC APEXで開催されるUFC on ESPN72「Dolidze vs Hernandez」。同大会で風間敏臣と対戦するのが、親子鷹アライジャ・スミスだ。
Text by Manabu Takashima
来月で23歳になるスミスの父親は、現在43歳。2017年9月までケージで戦っていたプロフェッショナルMMAファイターだ。UFCでは0勝1敗、Bellatorでも白星を挙げることはできなかったが、LFAの前身RFAではウェルター級王座を獲得している。TUFにも2度出演するが、UFCに返り咲くことはできなかった。対してアライジャは、レコード8勝1敗。既に父が手にすることができなかったオクタゴンでも勝利を手にしている。
そんな親子鷹アライジャは、父の影響でなく自分の判断でMMAファイターを志したという。自らをピュアMMAファイターという呼ぶアライジャは、絶対的な自信を持って風間の前に立ちふさがる。
父がMMAファイターだったから、僕がMMAファイターになったということじゃない
――今週末、風間選手と対戦します。今の気持ちを教えてください。
「良い感じだよ。ファイトキャンプは最高だったし、体重も順調に落ちている。凄く自信があるよ」
――アライジャは、UFCファイターだったギルバート・スミスの息子さんだったのですね。お父さんがRFAウェルター級王者になった時など、記事を書いた記憶あります。
「へぇ、そうなんだ。確かに父はRFAのチャンピオンだったよ、10年前に。ただ父がMMAファイターだったから、僕がMMAファイターになったということじゃないんだ。そこは本当によく勘違いされるけど。
父からMMAをやれと言われたこともないし、確かにレスリングや柔術の経験は少しあったけど、僕はずっとフットボールをしていた。ただコロナ・パンデミックが起った時、ジムも練習場も全て閉められ、フットボールの練習は当然として体を動かすことができなくなった。そこで僕は父と2人だけで、ジムでトレーニングをするようになったんだ。当然、他には誰もいなかった。
ジムが再開されるまで、ずっと2人でやっていた。父はもう引退していたけど、体は動くしファイト・トレーニングは凄く面白かった。父が現役の時はMMAに興味を持つことはなかったけど、この時のスパーリングで凄さが分かった。あの時からMMAに興味を持つようになり、自分の運動神経を生かすには最適だと思った。そしてMMAファイターを目指すことを決めたんだ」
――お父さんの反応はいかがでしたか。
「凄くハッピーだったね。僕がMMAに夢中になってくことが、凄く嬉しそうだったよ。でもMMAファイターになりたいと伝えた時は、凄くシリアスに『それなら本気で、思い切り真剣に練習をしろ』と言われたよ」
――MMAファイターは、タフなビジネスです。お父さんのギルバートもUFCでは1度戦っていますが、その後はフィーダーショーで活躍し、TUF出演もUFCに戻ることはできなかったです。
「絶対的にタフだよ。だから本当にハードな練習し、MMAで食っていけるのかとか余り考えないようにしていた。厳しい道を選択した方が、最終的には自分の役に立つしね」
――お父さんがMMAファイターであることの利点を感じることはありますか。
「どうだろう……確かに父親がMMAファイターだったことはアドバンテージになるかもしれない。それよりも、最も僕のことが分かっている存在がコーチであり、コーナーにいることの方が利点といえるかな。父がMMAファイターだったかどうかよりも。そして、誰よりも僕のことを分かっている父親が、練習方法や減量のことを分かっているのはアドバンテージになるだろうね。ただし、ケージの中で戦うのは僕一人だ。だから、そういうことを頭に入れて戦うことはない」
――そんなアライジャのファイトは、力強いレスリングとボクシングが融合しています。アライジャ自身は、自分の長所はどこだと考えていますか。
「僕のストロングポイントはレスリングだ。レスリングがあって、力強いパウンドを打ち込める」
グラウンドになっても、スタンドでもぶちのめして勝利を手にする
――レスリングは少し齧った程度だと言っていましたが、あのテイクダウンの強さはMMAの練習で身につけたモノなのでしょうか。
「そうだね。僕はカレッジでレスリングをしたことはないし、ボクシングも経験がなかった。柔術のトーナメントは何度か出場したことはあるけど、キックボクシングの試合に出たこともない。言ってみると、僕はピュアMMAファイターだ。キャリアの序盤は、運動神経を武器に戦っていた。ただ経験を積むことで技術力もアップし、しっかりとテクニックを使って戦えるようになったと思う」
――では風間選手の印象を教えてください。
「良いファイターだよ。でもね、今回は彼の試合じゃない。僕のファイト、マイ・タイムだ」
――柔術ベース、極めの強さを持った選手です。その辺りはどのように考えていますか。
「確かに柔術は良いものがある。ただし、MMAはそれだけじゃ不十分だ。それに彼とグラウンドゲームになっても、何も怖くない。グラウンドになっても、スタンドでもぶちのめして勝利を手にする。しっかりとフィニッシュするつもりだ。どの局面で戦っても、アドバンテージがあるのは僕だからね」
■視聴方法(予定)
8月10日(日・日本時間)
午前5時00分~UFC FIGHT PASS
午前4時45分~U-NEXT