この星の格闘技を追いかける

【Grachan79×Herios02】RTU敗戦から手塚基伸との再戦。伊藤空也ー02ー「己を変えるしかない」

【写真】伊藤、手塚ともに前日計量をクリア。様々な想いを馳せた再戦へ(C)GRACHAN

21日(日)、東京都江東区の有明TFTホール1000にて開催される「Grachan79 × Herios02」で、手塚基伸の挑戦を受けるバンタム級王者の伊藤空也インタビュー後編
Text by Shojiro Kameike

インタビュー前編では4年前に手塚に敗れて以降、ファイトスタイルを進化させてきた過程について語ってくれた伊藤。この後編では今年のRoad to UFC敗戦からの練習内容、そして手塚とのストーリーについて訊いた。

<伊藤空也インタビューPart.01はコチラ


RTUのあと、まず試合内容をノートに全て書き出して、客観的に自分を見つめ直しました

――ファイトスタイルを進化させ、今年はRTUに出場したものの初戦でカイ・シャンに判定負けを喫しました。

「内容的には『激闘で面白かった』という声を掛けていただくこともありました。でも客観的に見たら、あの試合は最悪ですよね。自分じゃない」

――というと?

「飲み込まれていた、と言った変ですけど――何か余計なことを考えているんですよ。自分がやるべきことをもっと明確にしていれば良かったけど、先を見てしまった部分があって。反省すべき内容で、パフォーマンスとしては良くなかったです」

――やはりRTUの舞台は、エターナルとも違いましたか。

「違いました。実際に試合をして思ったのは、僕の中のマインドとIQを変えるべきだと。そこから練習環境と練習内容はゴロッと変えましたね」

――どのように変えたのでしょうか。

「まず試合内容をノートに全て書き出して、客観的に自分を見つめ直しました。たとえばグラップリングで出てしまう癖があって。詳しくは言えませんが、その癖が出ていなければ、どういう試合になっていたのか――その先を考えていく。特に今回の相手は手塚さんなので、そういうグラップリングの癖をなくすことを考えながらスパーリングしてきました」

――RTUの敗戦から7カ月が経ちました。現時点で先ほど言った癖は解消できている、と。

「はい、もうバッチリ解消できています」

――グラップリングの面で倍以上レベルアップし、課題であった癖も解消できた。手塚選手と前回対戦した時と比べて、全く違う自分になっているのでしょうか。

4年前の対戦では手塚が52秒、腕十字で勝利。実はこの試合以前にも両者は対戦していた(C)GRACHAN

「間違いなく、違います。グラチャン公式のインタビューを視ると、手塚さんは『RTUの試合を視ると、伊藤空也は全然変わっていない』と言っているんですよ。それは煽るために言っているとしても、もしRTUの試合を視て研究しているのであれば、僕からすれば好都合で。すでにグラップリングの癖、打撃の形から全てRTUの時とは全然違う動きができていますから」

――敗戦からの7カ月というのは大きいですね。

「ただ、僕の中では復帰戦という感覚はなくて。正直、今にして思えばエターナルの試合は流れて良かったと思っているんです。その期間に、今までよりもっと考えて練習できました。試合が流れたのも自分のためだったのかな、と考えていますね」

――おそらく伊藤選手の場合、プロのファイターとして試合に標準を合わせるだけでなく、常在戦場という心構えを持っているように感じます。戦う者として日々を過ごしている。

「あぁ、そうかもしれないですね」

――一つひとつの勝敗はもちろん大切です。それ以上に、試合だけにフォーカスした7カ月間と、常在戦場として過ごした7カ月間では濃度が異なるのではないでしょうか。

「確かに、濃度は違うと思います。僕たちにとって試合は仕事だから、仕事を頂けるのはありがたいです。ただ、毎日のトレーニングはもちろんだし、負けた試合にも次の試合で勝つためのヒントがありますよね。もっと言えば、勝った試合にも次の試合で負ける要因があるというか。そのために考えさせられる部分があるし、考えていかないといけない。だから格闘技って面白いと思うんです」

――そのとおりですね。だから我々も専門メディアであれば、決して点だけで考えてはいけない。前の試合と比べて次の試合がどうだったのかと、常に線で考える必要があります。その分「何試合か続けて同じ負け方をしている。変わっていない」と気づくこともあるわけですが……。

「あぁ、なるほど。記者の方がそうやって見て、気づいてくれることがあるじゃないですか。それを戦っているファイター自身が分かっていない場合があって。それはどうなのかな、とは思いますよね。これは不思議ですけど。

ただ、昔は僕もそうでした。本人は今いる環境で、ガムシャラに頑張っているんです。でもそれは第三者から見れば、ゴールのない深いプールを必死にもがいているだけで。だから常に環境を見直し、己を変えるしかない。己の意識を変えるしかないです」

手塚さんとの試合は苦い想い出しかないんです。ここでそういう苦い想いは終わりにしたいですね

――しかし、その「己を変える」というのが最も難しいと思います。

「難しいです。でも、そこで己を変えた人が上に行っていますからね。

これは悪く受け取ってほしくないから、あえて言いますけど――僕は今、BRAVEのプロ練には週1しか出ていません。それはBRAVEのプロ練が良くない、ということではないです。普段は週に何回も出ています。今回は試合と相手が決まり、その相手を想定した練習をしないといけないですよね。たとえばストライカーとガチスパーし続けても、それほど意味はなくて」

――対戦する手塚選手が稀なスタイルで、なかなか自分のジムに手塚選手と同じスタイルの選手はいないですしね。

「サウスポーで、ガンガン組んできて、どんどんサブミッションを狙ってくる相手と練習したほうが意味はありますから。今回はそういう相手を、BRAVEのクラスとプロ練がない時間に来てもらって、ケージを使ってマンツーマンで練習をお願いしています」

――その手塚選手と対戦したのは、実は4年前のタイトルマッチだけではないと知って驚きました。

「実はそうなんです(苦笑)。2018年の大晦日にグラップリングで対戦しているんですよ」

――大阪のACFで行われたグラップリングトーナメントの決勝で、手塚選手に下からの肩固めを極められています。

「あれは僕が20歳の時です。柔術はやっていましたけど、トーナメントの1回戦と2回戦は上を取ってキープしていただけでした。当時、手塚さんは雲の上の存在で……ファン目線で手塚さんと対戦できて良かったという感じで。だから僕、手塚さんとの試合は苦い想い出しかないんです。ここでそういう苦い想いは終わりにしたいですね」

――それも含めて、もう一度手塚選手と対戦したかったですか。

「グラップリングはグラップリングで仕方ないですけど、やっぱり4年前の試合は自分の中にも残っていますよ。あの時も僕がチャンピオンで、手塚さんが挑戦者。手塚さんは今、連敗中ですけど、ここで僕に勝ったらオイシイじゃないですか。逆に僕が圧倒的に勝てば、『4年前、手塚さんが勝ったのはマグレだったのか!?』という印象にも繋がるし。

あの試合まで僕はグラップリングが嫌で嫌で仕方なかったです。でもトライフォースに通い、今は柔術やグラップリングが大好きになりました。MMAでも手塚さんとグラップリング勝負してみたいと思うぐらいですよ」

――この再戦が決定する伏線は昨年2月にありました。伊藤選手がTSUNE選手に対戦をアピールしたあと、ベルトを失った手塚選手に「まだ引退しないでくださいよ。僕のリベンジが残っていますから」と伝え、手塚選手も「伊藤選手がああ言ってくれたから、続けなきゃいけないですよね」と答えていました。スポーツとして良い展開だったと思います

当日はGrachan79とGrachan Herios02の二部制興行。Herios02ではバンタム級とウェルター級のWタイトルマッチが行われる(C)GRACHAN

「皆さんにそう言ってもらえて、嬉しいです。ケージサイドにいて、どちらが勝つか分からないし、何も言うことは考えていませんでした。でも岩﨑(ヒロユキGrachan代表)さんに『一発マイク頼むわ』と言われて(笑)。僕としては自然と出た言葉でしたね」

――その後、RTU出場やエターナルの防衛戦もあったことを考えると、もしかしたら今回の手塚戦は実現しなかった可能性もあります。そう考えると、これは偶然なのか運命なのか……。

「運命だと思いますよ。今回勝ってもまた次のストーリーが生まれるでしょうし。それは自分で創るというよりも、自然と出来上がっていくものだと思うので。たとえどういう展開になっても、先ほど言われたとおり常在戦場——日々常に戦いですから。今回はまず4年間でやってきたものを全て手塚選手にぶつけます」

■Grachan Helios02 視聴方法(予定)
12月21日(日)
午後5時~ U-NEXT

■Grachan79 視聴方法(予定)
12月21日(日)
午後1時30分~ GRACHAN放送局、GRACHAN公式YouTubeメンバーシップ

■Grachan Herios02 計量結果

<Grachanバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者] 伊藤空也:61.1キロ
[挑戦者] 手塚基伸:61.05キロ

<Grachanウェルター級王座決定戦/5分3R>
林RICE陽太:76.35キロ
山田哲也:77.1キロ

<フライ級/5分2R+ExR>
三澤陽平:56.95キロ
増田比呂斗:57.0キロ

<フライ級/5分2R+ExR>
宮内拓海:57.0キロ
平野紘希:57.15キロ

<バンタム級/5分2R+ExR>
野澤海斗:61.5キロ
足立晃基:61.6キロ

<バンタム級/5分2R+ExR>
長野将大:61.20キロ
大村友也:リミットを5キロオーバー
※試合は66キロ契約5分2Rのグラップリングルールに変更

<フェザー級/5分2R+ExR>
佐藤藏ノ介:66.25キロ
吉田剛:65.9キロ

■Grachan79 対戦カード

<フライ級/5分2R+ExR>
能坂陸哉:56.95キロ
宮島夢都希:57.0キロ

<ライト級/5分2R+ExR>
アリアン・ナカハラ:ドクターストップにより欠場
西條貴陽:70.45キロ
※試合中止

<フライ級/5分2R+ExR>
二之宮徳昭:57.95キロ ※800グラムオーバー
AXEL RYOTA:56.85キロ
※二ノ宮は減点2から試合スタート

<ヘビー級/5分2R+ExR>
井上悠司:当日計量
瓜田幸造:当日計量

<ヘビー級/5分2R+ExR>
佐々木克義:96.7キロ
パウロ・フェレイラ:96.9キロ

<63キロ契約/5分2R+ExR>
おはぎ:62.45キロ
竹下登:62.8キロ

<バンタム級/5分2R+ExR>
渡部大斗:61.3キロ
中嶋紳乃介:61.6キロ

<フライ級/5分2R+ExR>
小松原翔太:56.8キロ
金森琢也:56.95キロ

<アマチュア/3分2R>
佐藤珀虎:70.1キロ
飛鳥成宣:69.8キロ

PR
PR

関連記事

Movie