【PFL WT2025#08】展望 PFL WTフェザー級決勝。組みの圧ハイブラエフ×打の圧、後ろも使えるピネド
【写真】打と組み、どちらが圧を掛け続けることができるか。楽しみな長丁場の一戦だ(C)PFL
1日(金・現地時間)、PFL World Tournament決勝ラウンドがスタートする。PFL World Tournament2025#08で実施されるのはウェルター級とフェザー級の決勝戦だ。開催地はかつて東のベガスと呼ばれたニュージャージー州アトランティックシティ、2003年2月に宇野薫がBJ・ペンとUFC世界ライト級王座決定戦を戦い痛み分けとなったジム・ウィーラン・ボードウォーク・ホールだ。
Text by Manabu Takashima
ウェルター級では菊入正行を準決勝で破ったローガン・ストーリーが、サッド・ジーンと相対する。一方、フェザー級決勝は2021年のPFLフェザー級世界王者モヴィッド・ハイブラエフが、同2023年世界王者のヘスス・ピネドという顔合わせだ。
ハイブラエフは1回戦でジェレミー・ケネディ、準決勝でキム・テキュンを共に判定で下し決勝戦進出を決めた。一方のピネドは1年4カ月のブランクを感じさせない試合内容で、アダム・ボリッチとガブリエル・ブラガをそれぞれ初回で仕留め止め圧倒的なパフォーナンスを披露している。
キャリア25勝6敗1分のピネドは現在5連勝中で、その全てがKO勝ちと乗りに乗っている。実は柔術も使いこなすピネドだが、16度の勝利が打撃によるフィニッシュだ。
サウスポー、183センチの長身でリーチは圧巻の188センチ。ピネドは、この腕の長さを最大限に生かす。ジャブ、前蹴りで相手を突き放し、同時に打の圧を掛け続けることで疲弊させる。一発を効かせてから仕留めに懸かる時のパンチの回転力は、PFLフェザー級随一といえる。
加えて首相撲に捕らえながら、スペースを創って左ミドルで試合を決めるなどピネドは、ファイトIQの高さも披露してきた。
他方ハイブラエフは、相手の打撃を許さず徹底したテイクダウン&コントロールで23勝0敗1分1NCというレコードを残し、うち判定勝ちは14を数える。PFLでは9勝のうち判定勝ちが7を数える。
だからといってハイブラエフにフィニッシュ能力が欠けているわけではない。KO勝ちは6度、一本勝ちは3回ある。シーズン制&プレイオフ戦で、堅実に勝利を収めるためにハイブラエフは、テイクダウン&コントロールを軸にしてきたとい見方ができる。
相手の打撃を怖がることなく、自らの打撃を当てることでテイクダウンを容易にし、組み勝てるファイトを展開してきた。
突き放しつつ、打撃の圧で削るピネド。対してハイブラエフは組んで倒し、相手を疲弊させる。この打と組みの圧でどちらが試合を支配できるのか。フェザー級WT決勝戦は、そこがまずキーポイントとなろう。
実際、ピネドはメディアデーのインタビューで「テイクダウンを切って、打撃の圧を与え大きいな一発を入れる」と明言。確かにNCAAを制したバッバ・ジェンキンス戦で、打から組もうとするジェンキンスにパンチを纏め、テイクダウン狙いを切ってダメージを蓄積させた。ハイブラエフも「ダゲスタン・レスリングは別次元、組みでプレッシャーをかける」と口にしているが、ピネドは「ダゲスタン人も、ドイツ人も関係ない」とTDディフェンスには絶対の自信を持っていた。
加えてチャンピオンシップ・ラウンド、5R制というファクターも見逃せない。ケネディ戦で鼻を折ったハイブラエフは、キム・テキュン戦で終盤にはスタミナが切れる場面もあり、逆にボディロックテイクダウンを奪われている。
とはいってもKO勝ち続きのピネドが、あの打撃の圧を5Rに渡り掛け続けることが可能なのか。そこも実際は未知数だ。この点においてもハイブラエフが「普段から山間部で練習をしている。5Rは問題ない」と言えば、ピネドも「5Rを戦いきることを想定して高地トレをしてきた」と話している。
一点、ピネドは下がって――後ろを使った戦いでも、相手に致命傷を与えることができる。ハイブラエフはそれがない。この点においてピネド有利という見方は、早計過ぎるだろうか。
■視聴方法(予定)
8月2日(土)
午前9時15分~U-NEXT
■ PFL WT2025#08対戦カード
<ウェルター級決勝/5分5R>
サッド・ジーン(米国)
ローガン・ストーリー(米国)
<フェザー級準決勝/5分5R>
モヴィッド・ハイブラエフ(ロシア)
ヘスス・ピネド(ペルー)
<フェザー級/5分3R>
アザエル・アジュージ(フランス)
イーブ・ランジュ(フランス)
<ミドル級/5分3R>
ジョーダン・ニューマン(米国)
エスラム・アブドゥル・バセット(エジプト)
<160ポンド契約/5分3R>
ヤクブ・ギャズバ(ポーランド)
セルジオ・カッシオ(メキシコ)
<ライト級/5分3R>
フセイン・カジマゴメドフ(スイス)
カイル・ドリスコール(米国)
<フェザー級/5分3R>
ネイサン・ケリー(アイルランド)
フレドリック・ジュプハ(カナダ)
<ウェルター級戦/5分3R>
サレック・シールズ(米国)
ニック・メック(米国)
<フェザー級戦/5分3R>
マット・タンブル(米国)
トム・パグリロルーロ(米国)
■視聴方法(予定)
8月2日(土・日本時間)
午前7時15分~U-NEXT