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【RIZIN LANDMARK12】安井飛馬戦へ、鹿志村仁之介とガチ格闘談義「次の次の手を考える必要がある練習」

【写真】練習に関しては不真面目風で、真面目な鹿志村 (C)MMAPLANET

11月3日(月・祝)に開催が迫ってきた、RIZIN LANDMARK12。神戸市中央区のジーライオンアリーナ神戸で開催される同大会では6月のRIZIN LANDMARK11=札幌大会に引き続き、鹿志村仁之介が出場し安井飛馬と対戦する。
Text by Manabu Takashima

RIZIN初陣では後藤丈治に後れを取った鹿志村は、9月のDEEP仁で中国のマジシャンに勝利し再度RIZINのケージに足を踏み入れる。柔術、極めの強さは絶対の鹿志村の課題は、MMAにその極め力をいかに落とし込むことだった。

当然、打撃の強化が必要になってくるなかで、柔道出身の安井と戦うことが決まった。キャリア的にはリスキーな相手との対戦に、「勝って自分をアップするための試合」と鹿志村は自信を口にした。

インタビューを通し、自信は鹿志村のMMA観が固まってきたからこそ得られるように感じられた。


根がそんなに真面目じゃないですし。練習の合間とかでも、別に自分を偽って『一生懸命です』って感じで無理はしたくない

――次戦まで1週間、もう最終の体重調整の段階に入っている感じでしょうか(※取材は26日に行われた)。

「明日まで普通にやる感じですね。明日までやって、水曜日ぐらいから抜いていこうかなと」

――先日、松嶋こよみ選手の取材でBattle Boxを訪れた際、鹿志村選手も打撃練習の日で。なかなか痛みに耐えるスパーになっていました。

「いやぁ、いつもあんな感じですよ(笑)。やられていますけど、アレはアレで必要な練習で。週に1回ぐらいは、ああいう目に合うのも(笑)。打撃だけで、あの動きを見ることができるようになりたいし、そうなれば組めるMMAになると全く話は違ってくるようになるので。そこをどういう風に考えて、打撃のスパーリングをするのか。僕は組みがあることをイメージして、受けているので」

――とはいえ練習中に悔しさを見せるとか、そういう風でなく『無理ィ』とかいって背中を見せてしまうのが面白かったです。

「アハハハハ。クソってなって前に出ても、余計やられるだけじゃないですか。そんなことで試合前にダメージを負ってもしょうがない。なら、流すことも大切で。こよみさんも、試合モードだしMMAグローブで危ないスパーリングは試合前にすべきじゃないですよ」

――確かにその通りです。しかも次戦に向けての対策練習でもないわけですし。

「そうですね。でも相手によって練習をガラリと変えることはないです。火曜日はいつも、ああいうやられる練習をしています(笑)」

――とはいえ良太郎トレーナーは鹿志村選手の打撃の成長を褒めていました。その辺り、打撃の進歩に関して自信を得ているということは?

「打撃だけにフォーカスして、打撃だけの練習という部分ではかなり良くなっているとは思います。それをMMAのなかでどう出すのか。そこの組みたてを常に意識しています」

――鹿志村選手は、そういう真剣な部分を過去の取材でもだしていなくて……。練習中も体を動かしていない時は、凄くメローだけと斜めからの自己表現をするというか。

「まぁ、練習に関しては真面目に取り組んでいますよ(笑)。でも根がそんなに真面目じゃないですし。練習の合間とかでも、別に自分を偽って『一生懸命です』って感じで無理はしたくないです。開き直るのとは違うけど、楽にいければ一番良いと思っています。自己表現……自己表現といわれると、それが僕のやり方なのかと」

――ところで前回のDEEPの試合前に「DEEPはDEEP。RIZINはRIZIN」と言っていましたが、では今回のRIZIN再出場は、どのような意識を持って挑むのでしょうか。

「ぶっちゃけ、変わらなくなってきましたね(笑)。RIZINだって意識したのは、初戦だけだったんだと気づきました。あの時はずっと見てきた舞台で戦うということで、色々な感情があって。RIZINを大きく見て、特別仕様のような感じになってしまっていました。結果、それがダメで。いつものように変わらずに戦おうと今回は思っています。

9月のDEEPでマジシャンに勝てたから、連勝狙いという気持ちで戦えるし。やっぱり、負けた後って負けられない意識が凄くあるんで。今の気持ちで入っていければ、良い状態で試合ができるはずです」

MMA選手が柔道を知らなさすぎるが故に、あのレベルの投げ技や寝技を食らってしまう

――対戦相手の安井選手も、まだRIZINレギュラーではない。いわばトライアウト中というか、鹿志村選手と同じポジションにいる選手かと。

「4勝0敗で、格上に立ち向かうという感じでもない。自分にとってはリスキーかもしれないけど、それもあんまり思わないし。勝手な理解だけど、僕のために組まれた試合だと思っています。

世間的に認知はされていて、無敗。でも、それほど実力があるわけじゃない。柔道ベースという部分でも、同じといえば同じで。俺を勝たせて、アップさせてくれるのって思っていますね」

――4勝0敗のなかで、鈴木博昭選手に勝っている。そこは注視すべきではないかと。

「柔道を大学までやっていた人のフィジカルとか、寝技の能力って他のMMA選手とは全く別物なんです。柔道独特のモノがあって。怪物君もそうですが、そういう相手にやられる時は、あのパターンです。下手な柔道技を食らって、トップをキープされる。

MMA選手が柔道を知らなさすぎるが故に、あのレベルの投げ技や寝技を食らってしまう。僕も柔道はやってきたので、それが分かるんですよ。想定内です。ビックリするような投げ技じゃない。でもあの程度の払い腰や巻き込み系の首投げ的な技を、柔道をやってきてない人はビックリして対処できない。それがハマったのが、怪物君との試合でした。たまたま打撃を凌げる形になって。

道着があるような組み方をしていても、通用しちゃっていたじゃないですか。怪物君がやってきたグラップリングは、ああいう投げ技はない。レスリングから始まって、壁に押し込まれるという練習をしてきたはずです。

しかもボンサイだから、柔術系で。だから寝技では極めさせないし、足も効かせることができてスクランブルには持ち込める。でも僕には、あの柔道は分かるので」

教えてもらったモノを自分の技にするには試す場所が必要

――鹿志村選手から見て、安井選手の寝技の精度は?

「高くはないです。全然高くない。ホント、白帯レベル」

――JTTで竹浦正起選手にグラップリングや柔術の指導を受けていると、そこはこの数カ月でも柔道のフィジカルと融合して強化されている可能性はないでしょうか。

「間に合わないんじゃないですか。グラップリングの強度がどこまで高いか分からないけど、教えてもらったモノを自分の技にするには試す場所が必要です。そういう練習相手がいるのかなって。相手のレベルが低いと、習った技をそのまま使えますけど。それを凌がれた時、次に何をするのか。次の手、その次の手、その次の次の手を考える必要がある練習ができているのか」

――そこが鹿志村選手との違いということでしょうか。

「ハイ。僕、やっていますから。ロータス世田谷に週に2度、3度と行っていて。そこに加えてイゴール(タナベ)のような柔術ベースの人達とも多く練習しているので。練習相手のレベルが、彼とは違うと思います。何より、ベースとして僕は寝技を10年はやっているので。柔道をやってきて、グラップリングに転向して2、3年ってヤツに俺とグラップリングの勝負ができるのかっていうと、『それは違うんじゃないの?』って思いますけどね。でも、彼は自信があるみたいで」

――組まずに突き放して、打撃でダメージポイントを取るとう策もあるかもしれないです。そうなると、組み技に持ち込むことは難しくなるかもしれないです。

「う~ん、付き合ってくれないなら、追い込むし。付き合ってくれるなら、その場で勝負をする。あんまり向うが何をしてくるのかは考えていないですね。後藤(丈治)選手と戦った時は、切られた時や打撃で詰められた時を考えていましたけど。今回の相手は、そんなに警戒するポイントが浮かばない。なら、これまで通りやる方が自分のMMAの精度が上がると思ってやってきました」

誰と戦っても初回で仕留める。そういう気持ちで入ります

――では、安井選手を相手にどのようなMMAを見せたいと思っていますか。

「ドーンとテイクダウンして、バッとバックを取って。バチっとバックチョークを極める」

――擬音語ばかりじゃないですか(笑)。

「アハハハハ。それしか考えていないですね。まぁ下にはなりたくないですけど、下になったら下になったでやりようがある。やっぱりピュア柔術、ピュア・グラップリングの練習をしないといけない。

それは週2、週3はやっています。後藤戦前はMMAグラップリングと立ち技だけ練習していて。そういう準備をしていると、下になった時に立つという選択しかなくて。変な形やタイミングでも立とうとしていました。練習で、そういう動きの癖がついちゃっていて。

下になったらなったで三角絞め、オモプラッタ、足関節を狙う。そこで柔術の怖さを相手に与えないと、MMAグラップリングが活きなくなってしまう。そういう意識を持つようになりました。やっぱりベースにあるモノに対して、実戦で自信を失うと何で勝負をすれば良いか分からなくなるので。

そうならないためにも、自分のルーツである柔術を大切にしないといけない。そこがあるから、トップで攻めることができるので」

――斜めからでない、良い話をありがとうございます(笑)。

自宅にいる鹿志村をZOOMインタビュー。終了後、平田樹が登場。メディアでは珍しい(?)ツーショットとなった

「ハハハハハ。

これを良い話にするために、勝たないと。勝って良い話だったとできるようにします。本当に勝つだけ。勝ち以外は、全部意味がない。良いスクランブルをしようと、負けは負け。MMAというスポーツは勝たない日の目を見ない。

だから勝ちに拘ります。相手のことを舐めてはいないし。相手がどうこうでなく、誰と戦っても初回で仕留める。そういう気持ちで入ります」


■視聴方法(予定)
11月3日(月・祝)
午前11時30分~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!

<フェザー級/5分3R>
秋元強真(日本)
萩原京平(日本)

<RIZIN女子スーパーアトム級選手権試合/5分3R>
[王者] 伊澤星花(日本)
[挑戦者] 大島沙緒里(日本)

<フェザー級/5分3R>
ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)
松嶋こよみ(日本)

<フェザー級/5分3R>
摩嶋一整(日本)
木村柊也(日本)

<50キロ契約/5分3R>
ケイト・ロータス(日本)
イ・ボミ(韓国)

<ライト級/5分3R>
宇佐美正パトリック(日本)
桜庭大世(日本)

<バンタム級/5分3R>
中島太一(日本)
後藤丈治(日本)

<ヘビー級/5分3R>
貴賢神(日本)
MAX吉田(日本)

<62キロ契約/5分3R>
金太郎(韓国)
リ・ユンフォン(中国)

<ライト級/5分3R>
雑賀“ヤン坊”達也(韓国)
ヌルハン・ズマガジー(カザフスタン)

<バンタム級/5分3R>
鹿志村仁之介(日本)
安井飛馬(日本)

<ライト級/5分3R>
キ・ウォンビン(韓国)
キャプテン☆アフリカ(日本)

<フライ級/5分3R>
トニー・ララミー(カナダ)
山内渉(日本)

<キックボクシング51キロ契約/3分3R>
KING陸斗(日本)
水野夢斗(日本)

<OP女子スーパーアトム級/5分2R>
NOEL(日本)
海咲イルカ(日本)

<OPキックボクシング57キロ契約/3分3R>
赤平大治(日本)
翔磨(日本)

<OPバンタム級/5分2R>
宮川日向(日本)
MG眞介(日本)

<OPキックボクシング63キロ契約/3分3R>
元氣(日本)
林眞平(日本)

<OPキックボクシング51キロ契約/3分3R>
みいちゃんレンジャージム(日本)
伊藤菜の花(日本)

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