【TKOF06】UNLIMITED60T、初戦突破へ。タン・フォン「卸力(シエリー)の崩しからの攻撃で勝つ」
 【写真】上背はないが、組みをしてきた均整の取れた体躯のタン・フェン。キックボクサーとフレームの違いが興味深い (C)KNOCK OUT
【写真】上背はないが、組みをしてきた均整の取れた体躯のタン・フェン。キックボクサーとフレームの違いが興味深い (C)KNOCK OUT
明日11月1日(土)に福島県田村市にある常葉アリーナで開催されるTHE KNOCK OUT FIGHTER06。同大会で実施される「THE KNOCK OUT FIGHTER UNLIMITED 60キロ・トーナメント準々決勝」で中国のタン・フォンが、瑠夏と対戦する。
Text by MANABU TKASHIMA
 優勝候補の1人と目されていた栗秋祥悟に重大なコンプライアンス違反があり、無期限試合出場停止処分となったことで町田光の準決勝進出(12月30日、ワンナイト4人制トーナメント)が決まった。そのような状況で準々決勝3試合が明日行わる。タン・フォンは今回のトーナメントで唯一の外国人選手だ。MMAで2戦2勝、キックやムエタイでも結果を残しているタン・フォンはベースがチャイニーズレスリング=摔跤という――日本では異色のファイターだ。
優勝候補の1人と目されていた栗秋祥悟に重大なコンプライアンス違反があり、無期限試合出場停止処分となったことで町田光の準決勝進出(12月30日、ワンナイト4人制トーナメント)が決まった。そのような状況で準々決勝3試合が明日行わる。タン・フォンは今回のトーナメントで唯一の外国人選手だ。MMAで2戦2勝、キックやムエタイでも結果を残しているタン・フォンはベースがチャイニーズレスリング=摔跤という――日本では異色のファイターだ。
中国勢の打撃の強さは浸透しているなかで、中国武術の理が残る摔跤出身のタン・フォンはトーナメント本命となる可能性を秘めている。そんなタン・フォンを計量後にインタビューすると、卸力(シエリー)という言葉が聞かれた。
中国3000年の歴史が培った技術が明日、無制限に発揮されるか。
 ――明日のTHE KNOCK OUT FIGHTER UNLIMITED60キロT準々決勝を控え、本計量を終えたタン・フォン選手です。今の気分を聞かせてもらえますか。
――明日のTHE KNOCK OUT FIGHTER UNLIMITED60キロT準々決勝を控え、本計量を終えたタン・フォン選手です。今の気分を聞かせてもらえますか。
「計量を終えたばかりなので、まずはリカバリーに努めコンディションを整えていきたいです」
――昨日東京に到着し、その足で福島に向かったと伺っています。計量前日のその移動は、なかなかハードではなかったでしょうか。
「確かに移動が長く、疲れました。ただ、この会場に到着すると設備が整っていてリラックスして減量に臨むことができました」
――MMAも戦うタン・フォン選手ですが、気になるのは摔跤の経験があるということです。中国のMMAは散打出身の選手が多いなかで、かつてヤオ・ホンガンという摔跤出身のMMAファイターがいました。
「ヤオ・ホンガン選手は自分からすると、先生クラスのファイターです。もちろん知っている格闘家ですが、指導を受けたり親交があったりするわけではないです。ただ一度、会ったこともあります。凄く尊敬している、素晴らしいファイターです」
――なるほどです。その摔跤ですが、我々日本人からすると未知の部分が多いです。タン・フォン選手から、摔跤とはどのような競技かを教えていただけないでしょうか。
「摔跤とは現在、中国ではレスリング全般を指す言葉です。そして伝統的な摔跤のことは中国式摔跤、古典摔跤と呼ばれています。自分はまずレスリングを始め、それから古典摔跤を学ぶようになりましが、やっている側からすると凄く大きな違いあるとは思っていなかったです」
――歴史ある中国武術から競技化した摔跤ですが、中国大陸で行われる競技会を見ると武術の間やタイミングよりも、力と力のぶつかり合い。フィジカルが非常に大切なように映りました。
「摔跤は2人で組み合う戦いです。組んだ状態で全力で投げ合うのでフィジカルとスタミナがないと、競い合えないです。普段からトレーニングは強度の高いフィジカル、スタミナの養成に重きが置かれています。
と同時に中国武術の卸力(シエリー)という理論が、摔跤には今も息づいています。力を入れているようでも、実は抜いている。相手の力を利用し、自分の力を相手に浸透させ中心軸を崩す。そういう動きが摔跤には残っています」
※卸力。太極拳の推手にも、相手の力の方向を察知し、弧を描くような軌道で攻撃を誘導・無効化するという卸力の理念と技術が存在する。同時に日常生活においても、口論が起きた際に自ら身を引くことや、ユーモアで話題を変えることも卸力の理念が事象化した例だ。卸力とは人間関係において力を逸らす知恵を示す例であり、ひいては紛争の激化を効果的に防ぐことに役立つ
――それは興味深いです。道着着用で、組み手争いも多くなった摔跤にそのような論理が残っているのですね!! それこそUNLIMITEDルールやMMAに生きてきそうです。
「ハイ。卸力は道着の有無に関係なく、どのようなルールでも生きてきます。MMAでもUNLIMITEDルールでも、摔跤の技術は生かせます。摔跤の柔道のような崩す動きは、それこそMMAでも同じです。と同時にレスリングの組んで投げるという技術も当然、そのままMMAで使えます。レスリングも摔跤もどの競技においても、その特性は生かせると自分は思っています」
――タン・フォン選手のMMAの試合映像を見た時に、ボディロックからテイクダウンを仕掛けてヒザをついた状態でも、横回転……弧の動きを見せて崩した。その時に、摔跤を影響が見たような気がしました。
「自分自身、スタンドの技術も学んできたので打撃で攻めることも多いですが、組んだ時には相手の力を利用して崩したり、自分の力を相手に浸透させたりする摔跤の技術を用いることは多いのかと思います」
――その崩しの技術で、姿勢を乱した相手にヒザを入れたり、サッカーボールキックを見舞ったりできるのがUNLIMITEDルールなので、本当に楽しみです。
「一般的なMMAでは3点ポジションになると、足での顔面や頭部への攻撃は許されないですが、それでも自分達の崩しの技術は3点ポジションになる前に、崩して即打撃を入れることが可能です。さきほども言ったように、卸力の崩しというのはあらゆる戦いに生きていきます。UNLIMITEDルールでは卸力の崩しからの攻撃の幅が広がるので、自分の強みがより出ると期待しています。卸力の崩しからの攻撃で勝つ。その勝算はあります。
同時にこれまで自分が培ってきた技術を生かして、対戦相手に勝利することで摔跤、タン・フォンの強さを皆さんに見てもらえればと思っています」
 ――対戦相手の瑠夏選手は、キックボクサーです。キックボクサーとUNLIMITEDルールで戦う。自信のほどを教えてください。
――対戦相手の瑠夏選手は、キックボクサーです。キックボクサーとUNLIMITEDルールで戦う。自信のほどを教えてください。
「もちろん対戦相手のことは研究してきました。このルールにおいて、自分の方が有利だと思います。特にグラウンドになれば自分が勝つ確率は上がるでしょう。とはいってもスタンドでの打撃戦でも負けるつもりはないです。スタンドでも、グラウンドでも自分は勝てます」
――では、今回のトーナメントを勝ち上がる自信の方は?
「このトーナメントにはキックの選手、MMAの選手、そしてUNLIMITEDルールを戦ったことがある選手、初めての選手が出ています。多種多様なファイターがいますが、もちろん優勝を狙っています。ただ自分の戦いに向けての心の在り方は、目の前の試合に集中するということです。明日の試合で、相手を叩きのめします。次のことはそれから考えます。一戦、一戦、目の前の相手のことを考える。トーナメントに勝つことを考えているからこそ、明日の試合に集中しています」
――押忍。そのような言葉を貰いながら恐縮ですが、トーナメントで優勝すればUNLIMITEDスーパーフェザー級タイトルへの挑戦権を得ることができます。今後、格闘技界でバリューをあげるためにUNLIMITEDルールで戦う重要性をどのように考えていますか。
「このトーナメントに参戦したということは優勝してタイトルに挑戦するためで、KNOCK OUTで自分の名前をあげたいと考えています。そして優勝とタイトル挑戦という目標と同時に、とにかく強い選手と戦いたいです。現チャンピオンの倉本選手もそうですが、元UFCファイターのカルロス・モタ選手とも戦っていきたいです。
KNOCK OUT UNLIMITEDルールは自分に合っているルールです。継続参戦して、自分の強さを日本の皆さんに証明したいと思っています」
――計量後、お疲れのところありがとうございました。最後に明日への意気込みを改めてお願いします。
「ファンの皆さん、自分の試合に期待してください。その期待を裏切らないようエキサイティングな試合を見せます。謝謝」
■視聴方法(予定)
11月1日(土)
午後12時50分~KNOCK OUT公式YouTubeチャンネル
■THE KNOCK OUT FIGHTER06対戦カード
<THE KNOCK OUT FIGHTER UNLIMITED60キロT準々決勝/3分3R>
平川蓮斗(日本)
オルベン・キンジ(日本)
<THE KNOCK OUT FIGHTER UNLIMITED60キロT準々決勝/3分3R>
松本飛雅(日本)
新田宗一朗(日本)
<THE KNOCK OUT FIGHTER UNLIMITED60キロT準々決勝/3分3R>
瑠夏(日本)
タン・フォン(中国)
<UNLIMITED68キロ契約/3分3R>
石田協(日本)
梅津ガブリエル(ブラジル)
<UNLIMITED63キロ契約/2分3R>
中村悠磨(日本)
三浦健人(日本)
<KNOCK OUT-BLACKスーパーフェザー級/3分3R+XR>
河崎鎧輝(日本)
MAKURI(日本)
<アマUNLIMITED57キロ契約/2分3R>
安達優心(日本)
岡田悠希(日本)
<アマUNLIMITED58キロ契約/2分3R>
長谷川柊哉(日本)
石渡寛崇(日本)
 
















 
								 
								 
								 
								 
								
