この星の格闘技を追いかける

【Shooto2023#04】田上こゆると対戦、ザ・タイガー石井─01─「修斗ってコレで良いんですか?」

【写真】タイトルの言葉の前には「勝った自分が言うのもなんですが」という前置きがある(C)SHOJIRO KAMEIKE

18日(日)、大阪市淀川区のメルパルクホール大阪で開催されるShooto2023#04で、ザ・タイガー石井が田上こゆると対戦する。
Text by Shojiro Kameike

石井は今年4月の沖縄大会で12年ぶりに修斗に参戦、世界ストロー級2位の旭那拳を判定で下した。旭那戦はストロー級リミットではなく54キロ契約であったため、石井が新たに世界ランク入りすることはない。それでも現在の修斗ストロー級に、一つの大きな風を巻き起こしたことは間違いない。そして迎える次の相手は、またも世界ランカーの田上。しかも相手の地元で戦う。そんななかで石井は、修斗の現状に問題提起を発した。


――今日はよろしくお願いいたします。……前回のインタビューと同じ構図ですね。

前回のインタビューのスクショ

「前回と同じ時間に、同じ場所に車を止めています。車も同じです(笑)」

――違いといえば、前回よりも髪が少し長いぐらいですか。

「アハハハ、これももうすぐ切ります。それだけで何グラムも落ちるので」

――えっ……、次の田上戦は4月の旭那戦と同じく、ストロー級リミットではなく54キロ契約です。それでも減量はキツいのでしょうか。

「いえいえ、今回は試合間隔が1カ月で――それも沖縄の時と同じですね(苦笑)。ただ、オファーを頂いてから試合までの期間に余裕があるわけではなかったので。とはいえ減量は大丈夫です」

――となるとフライ級に上げて試合をするという選択肢もあるかと思いますが、石井選手にとってフライ級は大きすぎるのでしょうか。

「そうですね。いずれストロー級に落として戦いたいと思っています」

――なるほど。まずは旭那戦ですが、12年ぶりの修斗参戦となった石井選手がストロー級のランカーに勝利したことについて、周囲の声はいかがでしょうか。

「いろんな声をかけていただいていますね。試合会場に行くと、みんな声をかけてくれて。修斗の世界ランカーに勝つと、ここまで評価が違うんだって思います」

――その旭那戦ですが、勝因は何だったと考えていますか。

「自分のできることをやった。それが一番だと思います。最初に自分のパンチが当たってから、僕が前に出ると相手が下がるようになりましたよね。相手にとっては、すごくやりづらかったんだろうなぁと感じました。あのパンチは狙っていたわけではないんです。まずフェイントとして出してみようと思っていたパンチが当たったので、自分でもビックリしました。そういうパンチが意外と当たって、効いたりするんですよ」

――ワンツーで右ストレートを当てようと思ったら、先の左ジャブが効いたりだとか。

「そのパターン、よくありますよね。まず右でダウンを奪ったので、右を軸に試合を進めようと思いました。2Rは僕がダウンを奪って、パウンドに行かずに腕を取られたらひっくり返されて。そういうムーブは巧いなと思いましたが、そこで相手は取り切れずに、僕にとっては救われましたね。それと久しぶりに修斗で試合をして感じたことというか……」

――12年ぶりの修斗参戦で、以前と何か違うものを感じましたか。

「修斗に戻ってきたなぁと感慨深いものはありました。もう一つ——『昔のような修斗じゃないんだなぁ』と感じましたね」

――昔のような修斗ではない……それは、どのような意味でしょうか。

「これは悪い意味ではなくて。単純に、僕たちが後楽園ホールや北沢タウンホールで試合をしていた頃の修斗とは違うなと思いました。空気というか」

――石井選手が感じたものとはリングがケージに変わったり、場所が東京ではなく沖縄だったことは関係ありますか。

「それもあります。反対に昔から馴染みの人たちも会場にたくさんいて、そういう意味では変わっていないところもありますよ。でも、それも懐かしさであったり……。以前のようなピリピリした雰囲気や、緊張感は薄れていたかもしれないです。僕がキャリアも年齢も重ねたからですかね?」

――どちらが良いかどうかはともかく、石井選手が出場していた頃の北沢タウンホールの雰囲気とは違うと思います。前回も同じような話になりましたが(苦笑)。

「アハハハ、そうですね。北沢だけじゃなく後楽園ホールでも、相手をブッ殺すような気持ちで挑んでいた選手が多かったじゃないですか。僕が修斗の前に、キックボクシングに出ていた時もそうだったんですよ。試合前は死刑台に昇るような気持ちで。もう試合後のことは何も考えられないというか」

――……。

「北沢タウンホールって劇場だからか、バックステージが暗くて。だけど対戦相手の顔は見えるので、試合前は緊張感が凄かったです。あの相手を潰して、自分が上に行くことしか考えていませんでした。当時は軽量級なら修斗しか選択肢がなかったし、そこで這い上がるしかなかったので。

そういえば、沖縄ではサイダーさん(※金内サイダー雄哉。現在は旭那と同じTheパラエストラ沖縄所属)と会って、昔からの知り合いなので話をしました。でも昔の自分だったら、サイダーさんと話をすることはなかったと思います。対戦相手だけでなく、対戦相手と同じチームの人とも話をすることはなかったでしょう。自分も変わってきたのだと思います。

それも時代の流れなのでしょうね。いくら懐かしがっても、あの頃には戻れませんし。それならそれで良くなっていってほしいと、自分の中で受け入れるしかないです。でも、ちょっと言いたいことはあるんですよ」

——はい、ぜひお願いします。

「あの時は、旭那選手が絶対に勝たなきゃいけない試合じゃないですか。でも12年ぶりに修斗で試合をした人間が、世界ランカーに勝った。世界ランカーが地元で、こんなワケ分からないヤツに負ける。勝った自分が言うのも変だけど、修斗ってコレで良いんですか?」

<この項、続く

■視聴方法(予定)
6月18日(日)
午後1時00分~ Twit Casting LIVE

PR
PR

関連記事

Error, no Advert ID set! Check your syntax!

Movie