【Shooto2025#09】特別な一戦=田上こゆる戦へ。新井丈「なにか感じるものがある。初恋と一緒(笑)」
【写真】熱くても、クール。それが新井丈 (C)TAKUMI NAKAMURA
16日(日)東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2025#09にて、新井丈が田上こゆると対戦する。
Text by Takumi Nakamura
今大会で実現した新井と田上による新旧世界ストロー級王座対決。新井は田上がベルトを巻く以前から、田上との対戦に特別なものと感じ、過去に「直感的に俺と田上こゆるがやるんだったらもっと取って置きたいと思った」とオファーを断った過去もあるという。
その2人が遂に拳を交えることとなり、新井自身は令和の修斗軽量級を象徴する試合になると語っている。田上戦に向けた新井の熱い想いをお届けしよう。
俺とこいつがやりあったら絶対に修斗の会場を盛り上げることが出来るなと思っていました
――田上戦は反響も大きく、ここで実現するのか!という驚きもあったと思います。新井選手自身は最初にオファーを受けた時はどんな心境でしたか。
「よっしゃ!と思いましたね。本当にやりたい相手だったんで、いい相手を引いたなと思います。名前を聞いた瞬間にモチベーションが上がりました」
――田上選手のどこに戦いたいという魅力を感じたのですか。
「自分と似たものを感じる所があったからですね。田上選手は自分と同じ低身長のストライカーで、修斗でチャンピオンになってからも、修斗を背負うというか団体を盛り上げたいという熱を感じる選手で。そこで自分と似たような匂いがするなと思って、俺とこいつがやりあったら絶対に修斗の会場を盛り上げることが出来るなと思っていました。それは数年前から思っていたことで、やっとそれを修斗ファンに見せられるなという思いで本当にうれしいです」
――決して田上選手が世界タイトルを獲ったから戦いたいと思ったわけではない、と。
「そうですね。実は自分がまだチャンピオンになる前にストロー級でオファーをもらったことがあったんですけど、その時に初めてオファーを断ったんですよ」
――そうだったのですか。
「でもそれは相手が怖いからとかじゃなくて、直感的に俺と田上こゆるがやるんだったらもっと取って置きたいなと思ったんですよね。俺がタイトルを争えるようになって、田上こゆると戦うのが一番修斗のためになると思って。当時の立場からしたら生意気なんですけど(苦笑)。それで初めてと言っていいくらい、怪我もないのに試合を断りました。で、お互いチャンピオンになって、お互いやりたいと口に出し合いながらもなかなか決まらない時期が長くて、もしかしたら巡り会わないのかなと思ったりしたんですけど、ここに来て決まって。自分のなかでは勝手になるべくしてなった物語だと思っています」
――修斗には田上選手以外にもチャンピオンがいると思うのですが、田上選手からは他の選手と違う熱意や熱いものを感じたのですか。
「そうなんでしょうね。細かく覚えてないところもありますけど。でもそんなもんじゃないですか、なにか感じるものがある試合や相手って。明確な理由があるわけじゃなくて、直感的にそう思う……初恋と一緒ですよ(笑)」
――対戦相手として田上選手にはどのような印象を持っていますか。
「そこも自分と似たような選手だと思います。本当に自分自身と戦うような感覚があるかもしれないですね。それぞれストライカーとして歩んできた道があって、多少は種類が違うと思うんですけど、お互いがベストな状態で全力を出し合ってぶつかれば、自ずと俺がやりたい試合になると思います。試合内容に不安があるとかそういうのは一切なくて、本当に全力を出してやるだけという相手ですね」
ベルトを防衛するという立場は似合わねぇなと改めて思いました
――新井選手自身、5月の関口祐冬戦を負傷欠場(※右ハムストリングス損傷、及び右ハムストリングス内血腫)していますが、いつ頃から練習を再開できたのですか。
「怪我をして1カ月ぐらいは運動ができなくて、そこからリハビリが始まって、体力を戻して……対人練習を始めるまでに2~3カ月かかりました。怪我の違和感も薄れてきて、今まで通りのスケジュールをこなせるようになって、いつでも試合ができる状態になったところで今回のオファーをもらいました」
――試合そのものは約1年2カ月ぶりですが、この間の精神状態というのは?
「当然試合をしたいと思って生活はしていたし、自分の中ではRIZINのフライ級GPで暴れることを一つの目標にしていたんですよ。本来であれば5月の関口戦にバシッと勝って、マイクでRIZINに喧嘩を売れば、トーナメントの椅子を1つもらえるかどうかの位置にはいたと思うんですよ。でもその道が怪我でなくなってしまって。
フライ級GPが盛り上がっているところを見て、多少気が病む時期もありました。それは一旦置いておいても、俺は試合をたくさんやって、一つの試合が終わったらすぐ次、終わったらすぐ次と、次の目標がどんどん定期的に課されるような状況にいて、挑戦者のマインドでいる方が燃えられるんですよね。だからこの試合をバシッと盛り上げて新しい新井丈を見せたとしても、そこで落ち着きたくはないですね。どんどんどんどん試合をして、どんどんどんどん挑戦をしていきたいと思っています」
――それは新井選手の性格的なものなのですか。
「自分の人生を振り返っても、何かが優秀だったとか秀でていたわけはなかったし、常に上を見ている立ち位置だと思います。まぁほとんどの人がそうですよね。小さい頃から負けなしとか、ずっと学校で一番頭がいいとかってなかなかないじゃないですか。僕は常に劣等感というか、追っかける立場で育ってきたので、修斗でチャンピオンになって、ベルトを防衛するという立場は似合わねぇなと改めて思いましたね」
――では怪我で欠場している間にRIZINフライ級GPが盛り上がっていて、反骨精神にも火が点いていますか。
「自分は負けた相手や負けた場所への執着は人よりあると思うし、過去の自分を超えたいし、やり返しに行きたいなと強く思っています」
今までで一番覚悟を持って、悔いなくやり切る
――今回の田上戦、自分が挑む立場、チャレンジャーという気持ちでアグレッシブな試合を見せたいですか。
「はい。守る気はサラサラないし、自分はつらい試合をしたいです」
――つらい試合、ですか。
「楽な試合したくないですね。自分は今まで楽に勝ちたいとか無傷で勝ちたいとか思ったことがないんですよ」
――常に厳しいことをやる覚悟を持っているわけですか。
「それが自分のやりたいことなんだと思いますね。無傷で勝っちゃうようなエリートに憧れたわけじゃないし、泥臭くてボロボロになりながらも最後は逆転勝ちするようなヒーローに憧れたんです。そういうドロドロな試合をしたいと思って格闘技を始めたので、自分でもそういう試合をしたいと思います」
――今回の試合は多くのファンが楽しみにしている試合です。そのファンに向けてメッセージをいただけますか。
「2年ぶりに修斗の後楽園に帰ってくることになりました。本当に修斗ファンの人たちを待たせてしまったし、この試合を期待してくれている修斗ファンの方も多いので、その人たちの前でまた新しい新井丈、強い姿を見せられるということで、すごくワクワクしています。修斗の歴史において強い軽量級のチャンピオンがたくさん生まれていますが、この試合は令和の時代を象徴するというか、令和に入って修斗が生んだ軽量級の選手で組むことが出来る一番熱いカードなんじゃないかなと思っています。
そんな試合を自分もやりたいし、田上こゆるもやりたいと思っているはず。この試合を見ている人が自然と声を出してしまうような、そんな熱い空間を作ることが出来たら自分自身は幸せです。今までで一番覚悟を持って、悔いなくやり切るので応援お願いします」




















