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【UFC】Fight&Life#112より。アモリン撃破の魅津希「やられるイコール契約を切られるという状態だった」

【写真】撮影の合間に「31歳になりましたぁ(笑)」のポーズの魅津希 (C)MMAPLANET

23日(火)から発売中のFight&Life#112で、10月25日のUFC321でジェケリニ・アモリンに勝利した魅津希のインタビューが掲載されている。
Text by Manabu Takashima

(C)Zuffa/UFC

この4年で3試合目の魅津希。

2年のブランクを経て、UFC戦績4勝1敗で4試合連続フィニッシュというアモリンを相手にパウンドの猛攻を見せ判定勝ちを収めた。

どの局面でも戦えることで、相手に合わせたファイトで後手に回ることが多かった魅津希が、自分のやるべきことをぶつけたファイト。ようやく持ちうるポテンシャルをオクタゴンの中で発揮した魅津希のインタビューから、冒頭のアオモリン戦を振り返った部分を抜粋して、ここでお伝えしたい。


――10月25日、UFC321におけるジャケリニ・アモリン戦の判定勝ち。何周回って、あの魅津希が戻ってきたかという強さを印象づける試合だったかと思います。

「ホント、何周回ったんでしょうね(笑)。自分でも分からないです。今回の試合は、良いパフォーマンスはできかと思います。自分でも安心しました。試合前に思い描いていた戦い方が、本当にバチっとはまって戦うことができました」

――思い描いていた試合とは?

「まずは自分からアクションを起こすことでした。これまで様子を見て、相手のペースに付き合わされる試合が続いていたので、パンチでも組みでも相手から何かされるのではなく、自分から先に攻撃をしてその反応を見ようと」

――魅津希選手は、どの局面でも対応できるので、相手のゲームに合わせることが多かったと思います。対して今回は、アモリンの柔術に付き合わずに対応し、強烈なパウンドを落としました。

「右手を取られていたので左で殴ったのですが、一発目は当たらなくて。でも、アモリンが驚いたような表情を浮かべたのですぐに次の一発をいれると、たまたまですけどアゴを直撃しました。すると白目をむいて一瞬飛んでいたので、そこから追撃を入れたのですが、10秒ぐらいしかなくて時間になりました」

――過去イチと言って良いパウンド攻撃だったと思います。

「効かせたのが初めてですからね(笑)。パウンドって練習では本気で打てないじゃないですか。今回はTSUNE選手と後藤浩希選手が組み対策のスパーで相手をしてくれて。そのスパーのなかでテイクダウン狙いを切って、がぶる。そこからサイドバックについて殴ることを意識していました。ただサイドバックから思い切り打つと、男性でも痛いじゃないですか?」

――勿論です(笑)。

「でも本気で打ちたいので、頭の上を思い切り空振りさせて。あとはアッパー気味のパンチも頭がない場所に振るという練習をしていました。動く相手に、思い切りパンチを打つとスタミナのロスも激しいし、そういう状態を創っていたんです。疲れても3Rフルに戦える能力をつけたかったので、スタミナ・トレにもなっていました。あの練習も良かったと思います」

――今回のパウンド攻撃は、文字通り怖い井上魅津希が戻ってきたと思わせていただきました(笑)。

「ハハハハ。あのパウンドが入った瞬間はスローに見えました。フィニッシュできず、ポイント的にもどっちについたかは分からなかったですけど、良い形で初回を終えることができました。あれで2Rも攻め続けられると思えました」

――自分から攻める。相手に合わせない。やり切るというのは魅津希選手にとって長い間の課題でした。今回、克服できたのには明白な要因があったのでしょうか。

「きっと契約を切られるかもしれない崖っぷちの状態だったからだと思います。これまではゲームプランがあっても、相手に付き合っちゃってやり切ることができなかったです。付き合うという部分は、練習でも同じで。付き合って、相手の動きを理解してから対処する。力で対抗しない。力を使わず、技術で返すという練習をしてきたので、体に染みついていたのかと思います」

――それは練習ですからね。それこそ、そういう練習をしていないとパウンドの前にバックを許した時に、正対できなかったもしれないです。

「ハイ。そうしないと、技術が向上しないので。バックを逃げることできたのも受けて練習をしてきたからです。同時に、試合では受け過ぎないようにしたかったのですが、どうしてもそうなってしまっていて。今回は自分からアクションを起こさないとやられるイコール契約を切られるという状態だったので。そんな風にならなかったのかと」

――お尻に火が点いていたと。

「自分から動いても負けるかもしれない。でも、やらないで後悔するより、動いた方が良いだろうと思って。やってもダメでリリースになるのと、やらないでリリースは違うじゃないですか。それこそ、これまで練習してきたことが通じなかったら、負けても悔いはないし。でも、それを出さないで、終わってしまうなんて嫌だと思って」

Me,Weのチームメイトのサポート。セラ・ロンゴMMAのプミー・ヌクータとの信頼関係、米国と日本との練習、そして白心会・山口定則先生について語った魅津希インタビューが掲載されたFight&Life#112は23日(火)より発売中です。


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