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【Shooto2025#09】世界フライ級王者=関口佑冬に挑戦、亮我「5Rで長く戦える分、自分がフィニッシュ」

【写真】写真撮影で「座ってこちらを向いてください」とお願いすると、体育座り(三角座り)——という素の姿と、試合のギャップが興味深いファイターです(C)SHOJIRO KAMEIKE

16日(日)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2025#09で、亮我関口祐冬の持つ修斗世界フライ級王座に挑む。
Text by Shojiro Kameike

今年6月、当時修斗の世界フライ級2位であった高岡宏気を下し、一気にランキングを上げた亮我がそのままベルト挑戦のチャンスを掴んだ。デビュー当時から爆発力の高いテイクダウンとグラウンドを武器としていた亮我が、高岡戦で見せた新しい自分とは。さらに王者の関口攻略と、同日に行われる新井丈×田上こゆる戦にも語る。


高岡戦は『この試合に勝って世界王座に挑戦させてほしい』という気持ちは強かったです

――10日後にベルト挑戦を控えてのインタビューとなります(※取材は11月6日に行われた)。まず試合が決定した時の率直な感想を教えてください。

「やっと来たな、と嬉しかったです。1年前に負けて(※昨年11月、須藤晃大に判定負け)、『あそこで負けていなければ、もっと早くベルトに挑むことができていたんじゃないかな』と思う時期もありました。でも、まず自分としては一つひとつ勝つことだけを考えて試合をしてきました」

――プロ初黒星となった須藤戦から、自身の中では何が一番変わったと思いますか。

「技術的には進化し続けていると思いますけど、全体的に大きく成長してきているんじゃないかと思っています。メンタル面でも――僕、もともと試合で全然緊張しないんです。でも緊張しなさすぎて、冷静すぎて空回りしていた時期もあったりして」

――冷静すぎて空回りする、というのは……。

「たとえば堀川選手との試合(2023年9月、堀川”55″滉介とドロー)では、ずっと回りながら顔面を蹴るということを意識しすぎていました。すると初回は自分の攻撃が出ず、相手の打撃が少し当たってポイントを取られたような感じだったんです。冷静だからこそ狙いすぎて、目の前にある相手の動きに集中できていないというか」

――亮我選手の場合、油断しているわけではないものの「最後は組めば勝てる」という余裕を持ちすぎていたのではないですか。実際、組んで勝っていたので。

「あぁ、そうです。練習の段階でもそう考えていて、ケージの中に入ったら、よりその意識は大きくなっていました。組みで勝てるから、まずは他のことを試してみようと」

――だからこそ組みだけでは勝てないような競り合いが必要ですし、まさに高岡戦は重要な競り合いだったと思います。この試合は実質的な挑戦者決定戦として臨んでいたのか。あるいは、この試合に勝ってもまたベルトに挑むことは分からないという状態で戦っていたのでしょうか。

「公式的に挑戦者決定戦と決まっていたわけではなかったです。ただ僕の中では『この試合に勝って世界王座に挑戦させてほしい』という気持ちは強かったですね」

――その気持ちは、高岡戦に向けた練習や試合内容に何か変化をもたらしましたか。

「いえ、練習や試合はいつもどおりです。もちろんフィニッシュしてベルトに挑戦したいという気持ちはありましたけど、練習や試合は毎回気持ちは変わらないです」

――そうだったのですね。これまで亮我選手の試合は爆発的な内容も多かったのに対し、高岡戦はしっかりと勝ち切ることを目指しているように見えました。これは決して「手堅い」とかネガティブな意味ではなく、しっかりと接戦をモノにしたという。

「やっぱり判定決着ではなく極めたかったです。それも、いつもの試合と同じで。でも僕の中では――先を見据えて戦うことも大切ではありますけど、何より目の前の1試合を全力で戦いたい。だから、そういう試合内容になったのかなって思います」

――極めることができなかったのは、もちろん高岡選手の踏ん張りも影響しているかと思います。一方で自身の試合運びで何かミスがあったのでしょうか。

熱戦となった前回の高岡戦。反省点もあるが、得るものもあったはず(C)FORCE/TNS

「一番大きかったのは、3Rめが上への攻撃ばかりになっていたことですね。あそこで下……シングルレッグに行けていたら、テイクダウンできていたら試合展開も変わっていたんじゃないかなって思います。それなのに自分は顔面へのパンチばかり考えてしまって」

――自分の中で倒したい気持ちが強すぎた?

「1Rめと2Rめにテイクダウンを防がれてしまってから、いつの間にか自分の中でも打撃に寄ってしまっていました。あとで試合映像を視返しても、3Rめケージに押し込んでいる時とか『ここで下に行ける(テイクダウンに入ることができる)よな!』と思うところばかりで――反省点も多いです」

――結果論ですが、打撃戦で優位に立てたからこそポイントを取ることができた。そこでテイクダウンに移行していれば、極めることができたかもしれません。

「はい。そこでフィニッシュできていたら……やっぱり格闘技って、極めてナンボの世界だと思っているので」

――と同時に、得意分野の組みに持ち込むための打撃ではなく、打撃戦でポイントを得ることができた。そのゲームメイク力が重要なのではないか、と思っています。

「そう言ってもらえると、テイクダウンに行くのではなく打撃戦をやったことで、得るものも大きかったです。打撃でもやれるんやな、と実感することはできました。あそこでテイクダウンしたら、結局は今までと同じやったと思いますし」

来年のRTU出場を目指しているなかで、年内に修斗のベルトに挑戦できるのはメッチャ良いタイミングやなって思います

――高岡戦前には米国マネージメント会社イリディウムとの契約を発表していました。

北川純ゴンズジム代表 亮我としては「UFCを目指したい。そのためにはRoad to UFCに出場したい」という希望を持っていました。でも自分には、そういったところに出られるような繋がりがない。そこでTHE BLACKBELT JAPANの松根良太代表に相談したんです。するとイリディウムの方がすぐジムまで来てくれて。僕と亮我と話をして、契約に至りました。

――亮我選手の中で具体的にRoad to UFC出場を考えるようになったのは、いつ頃ですか。ただ出たいという希望ではなく、たとえば「RTUに出るためには、こうしないといけない」と考えるようになったのは……。

「先生(北川代表)からお話があった時——自分がUFCに行きたいという希望があり、そのために先生が動いてくださった時から、ですね。イリディウムと契約して、そこから自分自身で何をしていかないといけないか。そう考えると、来年のRTU出場を目指しているなかで、年内に修斗のベルトに挑戦できるのはメッチャ良いタイミングやなって思います」

――修斗チャンピオンシップの先にRTU出場を見据えているなか、今年のRTUについてはどのような印象を持っていますか。まだ決勝戦が行われる前ではありますが。

「う~ん……フライ級だけでなく全階級で、日本人選手が負けている。勝ち上がったのは1人ですよね。じゃあ日本と海外の差は何なのか。フライ級でいえば修斗に出ている山内選手は、すごく打撃が強いじゃないですか。でもRTUでは逆に打ち気にはやらされてKO負けしたのを見ると――やっぱり僕自身も、もっとレベルアップしないとRTUでは勝てないと感じました」

――RTUの戦いを見て「自分なら勝てる」と簡単に考えてしまうよりは、そういう意識を持つほうが良いのではないですか。

「アハハハ、そうなんですかね」

――修斗のベルトを巻くことは、RTU出場のための一つの要素にはなるかと思います。と同時に今、亮我選手自身が言う「日本と海外の差」を考えるうえで、国際戦に対する不安は残りませんか。これまで亮我選手は国際戦を経験していません。

「海外の選手と対戦しておきたい、という気持ちはあります。でも実際のところ、やるとなればトレーニング次第で乗り越えることはできるとは考えています。いきなり海外の選手と戦うことになっても、やるしかない。そのための準備しておくことのほうが重要で」

次のタイトルマッチは、もう1つのフライ級戦を超えるような力を見せつけたいです

――そのためには、やはり国内の試合で競り合っておくことも重要かと思います。次に挑む王者の関口選手も、そういう競り合いをキッチリと制するファイターです。

「関口選手はトリッキーなところがあって、他にはない独特のタイプですよね。そんななかで直感が強い選手やと思うんですよ。テイクダウンに来た相手をヒジでKOした試合があったじゃないですか」

――昨年5月の石井逸人戦ですね。

「少し劣勢になっていても、その場に応じて直感でひっくり返すことができる。相手の動きに対する反応も速いと思うんです。そういう部分には気をつけたいですね」

――相手の直感や反応速度に対して、どのように注意して戦いますか。

「自分はいつもどおりのことをやるだけです。今までやってきたことを出して、自分の土俵に持ち込む。それは相手が誰であっても同じ意識で戦っています。それと今回は世界チャンピオンシップやから5Rで長く戦える分、自分がフィニッシュに持って行けると思っています」

――なるほど。当日はもう1試合、注目のフライ級戦があります。「同じ日にこの試合を持ってくるの!?」とは思いませんでしたか。

「そんなことは思わないですよ(笑)」

――アハハハ、失礼しました。

「現ストロー級王者と元2階級チャンピオンの試合なので、注目されることは分かっています。メッチャ良い試合になるでしょうし。だから自分にとってはモチベーションになっていて……次のタイトルマッチは、この試合を超えるような力を見せつけたいです」

■視聴方法(予定)
11月16日(日)
午後5時55分~ ツイキャスPPV

■Shooto2025#09 対戦カード

<修斗世界フライ級選手権試合/5分5R>
[王者] 関口祐冬(日本)
[挑戦者] 亮我(日本)

<フライ級/5分3R>
新井丈(日本)
田上こゆる(日本)

<ウェルター級/5分3R>
住村竜市朗(日本)
森井翼(日本)

<フェザー級/5分3R>
轟轟(日本)
シャ・ランディ(日本)

<ストロー級インフィニティリーグ/5分2R>
旭那拳(日本)
マッチョ・ザ・バタフライ(日本)

<ストロー級インフィニティリーグ/5分2R>
黒部和沙(日本)
田口恵大(日本)

<フライ級/5分2R>
岡田嵐士(日本)
恐山陸奥太郎(日本)

<バンタム級/5分2R>
一條貴洋(日本)
藤田ムネノリ(日本)

<2025年フェザー級新人王決定T準決勝/5分2R>
垂水稔朗(日本)
辻純也(日本)

<2025年フェザー級新人王決定T準決勝/5分2R>
飯野雄斗(日本)
本松要(日本)

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