【KNOCK OUT60】空手家 宮原穣。UNLIMITED=カーライル戦へ。「自分の空手の稽古が本物だと信じて」
【写真】競技空手は、空手の一部。それを思い出すことができた、宮原の言葉だった(C)TAKUMI NAKAMURA
30日(火)東京都渋谷区の国立代々木競技場第二体育館で開催されるKNOCK OUT60「K.O CLIMAX 2025」で、KNOCK OUT-UNLIMITED 77キロ契約戦で宮原穣が、スパイク・カーライルと対戦する。
Text by Takumi Nakamura
極真空手出身、大道塾でも実績を残し、ブルガリアのSENSHI、米国のKARATE COMBATで戦ってきた宮原。逆輸入ファイターとして、KNOCK OUTにUNLIMITEDルールで参戦する。
今回のUNLIMITEDルール挑戦に向けて、宮原はフルコンタクト空手の技術をどう活かすのかではなく「その距離と形になれば自然と打撃が出る。どんな状況になっても殴る蹴るを徹底する」と話す。UNLIMITEDルールで宮原の全局面打撃が解放される。
他の日本人がやってない道を行きたいと思っていました
──今回がKNOCK OUT初参戦となる宮原選手です。宮原選手は極真出身で、SENSHIやKARATE COMBATといった海外プロモーションで戦ってきた選手です。このタイミングで日本で、試合をしようと思ったのはどうしてでしょうか。
「僕は30歳を超えていて(1994年11月4日生まれ)、最後は日本で試合をやりたいという思いがずっとあったんですね。そう思っている中でKNOCK OUTからお声がけいただいて、いいチャンスだなと思って(試合を)受けました」
──プロフィール的なこともお伺いしたいのですが、宮原選手が最初に始めた格闘技が空手になるのですか。
「はい。5歳から極真空手を始めて、今も空手は続けています。その後、自分が移った極真の組織(KWU)が海外でキックのイベントをやることになり、その時にキックボクシングデビューしたという感じですね。それが2019年頃の話です」
──そのイベントがブルガリアのSENSHIになるのでしょうか。
「そうです。SENSHIで4戦ほど試合をした時に、今度はKARATE COMBATからオファーをもらって、それからはKARATE COMBATで戦うようになりました」
――大道塾の大会にも出ていました。
「初めてSENSHIに出たとき、実は一切キックの練習をせずに極真の練習しかやらずに試合に出たんですよ。当然それでは勝てなくて。そのあとはしばらく空手の試合だけに出ていたのですが、新型コロナウィルスの問題が落ち着いたぐらいの時に再びブルガリアで試合をしないかという話をもらって。そのタイミングでたまたま大道塾の練習を始めていて、キックボクシングの練習も兼ねて大道塾の練習を続けていました」
──いわゆるプロに憧れて空手をやっていたわけでないのですね。
「そうなりますね。デビューしたきっかけも『キックの試合のオファーが来たけどどうする?』と言われて『出ます、押忍』みたいな感じだったんで(笑)。ただ自分としてはいい経験をさせてもらいましたし、当時日本人でSENSHIの舞台で勝っている人はいなかったので、SENSHIで勝つことを目標にしていました」
──宮原選手は空手の実績もあり、体のサイズもあるので日本でデビューする話もあったかと思います。海外で試合をすることにこだわりがあったのですか。
「自分は他の日本人がやってない道を行きたいと思っていましたし、SENSHIもKARATE COMBATも日本人選手がほとんどいなかったので、そういうチャンスにはすぐに飛び付いていましたね。極真と大道塾を同時にやっている選手は周りにいなかったですし、自分はちょっと変わっているかもしれないです(笑)。ただプロでやるにしても他の選手と同じことをやっても上に上がっていくのは難しいだろうなと思っていました」
──SENSHIはキックルールの大会ですが、KARATE COMBATは試合会場が鉢状になっていて、テイクダウンとパウンドも許されたルールです。そうした試合を経験することでプラスになることもありましたか。
「自分の中ではルールが自分を成長させてくれたとはあまり思っていないですね。視覚的に面白い試合ができたとか、他の日本人選手がやっていないことをできたという部分で、自分の中で特別なことをやってきたり、大きな経験になったと思っています」
──やることは変わらず、戦う場所・舞台やルールが違うという感覚なのでしょうか。
「僕は極真出身で、極真には基本稽古、移動稽古、型があって、それはすべて実戦を想定したものなので、僕自身はあまり試合ルールのことは気にしてないです。自分もフルコンタクト空手出身ということで、例えば『寝たら何もできないんでしょ?』や『顔を叩かないから顔面ありはできないんでしょう?』と思われがちですが、空手の試合ルールにはそれがないだけで、普段の稽古ではそういった動きは含まれているんです。だからフルコン出身だから…という感じで思われたくないですね。日々の空手の稽古では寝て叩く・蹴るはやっているし、出来ますからね」
──今も空手の練習は続けられているのですか。
「そうですね。自分の道場に空手の試合に出ている選手もいるので、そこでスパーリングをしたり、日常の中でそれ(練習)がある感じです」
──UNLIMITEDルールはKARATE COMBATに加えてサッカーボールキックや四点ヒザも認められています。宮原選手にとっても興味があるルールだったのですか。
「やはりルールの制限がなければないほど、本来の戦いに近くなると思っていますし、僕としては純粋なキックボクシングよりも興味があるものだなと思っていました。MMAに繋がるルールでもあると思いますし、純粋に戦いとして面白いなと思っていました」
──UNLIMITEDルールの練習をしている中で新たな発見もありますか。
「どの距離でも何かしらの打撃を当てられると思うし、おそらくその距離と形になれば自然と打撃が出ると思います。それだけ体に染み付いたものがあるし、頭で考えて何かをやるというよりはその体勢や状態になれば体が勝手に動くと思います。自分自身、自分の空手の稽古が本物だと信じています」
──他のプロ選手とも交流はありますか。
「自分は千葉が拠点なんですけどTHE BLACKBELT JAPANの山本琢也選手は体重が近いので定期的に練習させてもらっていますし、先日は空手時代につながりがあった谷川聖哉くん、ブハリ亜輝留選手(共にK-1・Krushに参戦)と練習しました。それ以外ではパリ五輪の女子レスリングで金メダルを獲った藤波朱理選手のお兄さん、藤波勇飛さんにレスリングを教えてもらったり、色んな人に協力してもらえているのでありがたいです」
自分は殴る蹴るを徹底しようと思います
──対戦相手は元UFCファイターで、RIZINでも活躍するスパイク・カーライルです。カーライルという相手もモチベーションになっていますか。
「なりますね。今までは『海外で誰々と試合をします』と言っても『そうなんだ』ぐらいの反応しかなかったのですが、カーライル選手と試合が決まってからめちゃくちゃ反響があるんです。そういう意味では強敵ではあるんですけど、注目される試合が出来て嬉しいです」
──言える範囲で構いませんが、宮原選手としてはどのような試合展開をイメージしていますか。
「おそらく相手がやってくるであろうことは想定できるんですけど、どんな状況でも自分は殴る蹴るを徹底しようと思います。自分が空手でやってきたことを出したいです」
──今後も継続してUNLIMITEDルールで試合をしていきたいですか。
「はい。ただこれは競技的な話になってしまうのですが、77キロくらいの階級は選手が少ないので戦う相手が多い階級に行くのか、さらに制限のないルール=MMAに行くのか。どちらに進むにせよ、この試合がきっかけになると思っているし、カーライル選手に勝つことが出来たら、もっと先が見えてくると思います」
──海外を主戦場に戦ってきて、初めて宮原選手の試合を見る方も多いと思います。今回はどのようなところを見せたいと考えていますか。
「逆輸入ファイターとして存在感を出したいです。こうやって取材していただく時間もそうですし、日本で試合をすると団体やメディアのプロモーションの違いを感じますし、僕はこういう状況で戦えることを幸せだと思います。海外の試合は数日前に現地入りして、計量して試合して終わり、みたいな感じなので」
──例えば道場の生徒から「先生は日本で試合しないのですか?」と言われることもありましたか。
「はい。今まで生徒たちには『海外で試合してくるね』だったのが『会場まで応援に来てね』になったのは全然違います。自分の試合を通じて、みんながやっている空手がこれだけ強いんだよというところを見せたいし、いい時間にしたいです」
──これからも、5歳から続けてきた空手の技術やそこで培った強さを色々なルールにチャレンジして行きたいと考えているのでしょうか。
「みんな自分のバックボーンに触れて『何々の強さを証明する』と言いますが、僕の場合はそれが空手の強さであり、それを証明するためにルールは関係ないと思うので、今回はUNLIMITEDルールで空手の強さを証明したいですね」
■視聴方法(予定)
12月30日(火)
午後1時15分~U-NEXT
■KNOCK OUT60対戦カード
<KNOCK OUT-REDライト級(※62.5キロ)選手権試合/3分3R>
[王者] ゴンナパー・ウィラサクレック(タイ)
[挑戦者] 久井大夢(日本)
<KNOCK OUT-BLACKスーパーウェルター級(※70.0キロ)選手権試合/3分3R>
[王者] 海人(日本)
[挑戦者] シッティチャイ・シッソンピーノン(タイ)
<KNOCK OUT-BLACKウェルター級(※67.5キロ)選手権試合/3分3R>
[王者] 中島玲(日本)
[挑戦者] ユリアン・ポズドニアコフ(ウクライナ)
<KNOCK OUT-BLACK女子アトム級(※46.0キロ)選手権試合/3分3R>
[王者] Kiho(日本)
[挑戦者] 山田真子(日本)
<KNOCK OUT-UNLIMITEDフェザー級(※57.5キロ)王座決定戦/3分3R>
カルロス・モタ(ブラジル)
有川直毅(日本)
<KNOCK OUT-REDスーパーフェザー級(※60キロ)/3分3R>
ゲーオガンワーン・ソー.アムヌワイデッー(タイ)
軍司泰斗(日本)
<KNOCK OUT-UNLIMITED68キロ契約/3分3R>
松嶋こよみ(日本)
漁鬼(日本)
<KNOCK OUT-UNLIMITED60キロトーナメント決勝/3分3R>
TBA(――)
TBA(――)
<KNOCK OUT-BLACK59.0キロ契約/3分3R>
龍聖(日本)
玖村修平(日本)
<KNOCK OUT-UNLIMITED77キロ契約/3分3R>
スパイク・カーライル(米国)
宮原穣(日本)
<KNOCK OUT-UNLIMITED61.5キロ契約/3分3R>
大雅(日本)
プンルアン・バーンランバー(タイ)
<KNOCK OUT-REDバンタム級(※53.5キロ)/3分3R>
乙津陸(日本)
星拓海(タイ)
<KNOCK OUT-RED61.5キロ契約/3分3R>
重森陽太(日本)
ロム・イーサン・タイガーレオン(タイ)
<KNOCK OUT-BLACK48キロ契約/3分3R>
ぱんちゃん璃奈(日本)
サネーガーム・サックチャムニ(タイ)
<KNOCK OUT-UNLIMITED63キロ契約/3分3R>
中村悠磨(日本)
ふくやーまん(日本)
<KNOCK OUT-BLACKスーパーバンタム級(※55キロ)/3分3R>
前田大尊(日本)
川野龍輝(日本)
<KNOCK OUT-REDフェザー級(※57.5キロ)/3分3R>
“狂拳”迅(日本)
皆川裕哉(日本)
<KNOCK OUT-UNLIMITED60キロトーナメント準決勝/3分3R>
平川蓮斗(日本)
タン・フォン(中国)
<KNOCK OUT-UNLIMITED60キロトーナメント準決勝/3分3R>
町田光(日本)
新田宗一朗(日本)
<KNOCK OUT-UNLIMITED60キロトーナメント・リザーブ戦/3分3R>
宇山京介(日本)
オルベン・キンジ(日本)
<KNOCK OUT-BLACKスーパーフェザー級(※60キロ)/3分3R>
荒井幸太郎(日本)
滝澤直樹(日本)
<KNOCK OUT-BLACKライト級(※62.5キロ)/3分3R>
隼大(日本)
栗野耕作(日本)
















