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【UFC ESPN08】フロリダ3連戦、唯一のアジア人=ソン・ヤードンがTOP10入りを賭けマルロン・ヴェラ戦へ

Song Yadong【写真】活動再開のUFCに唯一アジア人ファイターとしてソン・ヤードンが出場しマルロン・ヴェラと対戦する (C)Zuffa/UFC

16日(土・現地時間)にフロリダ州ジャクソンビルのヴィスター・ベテランズ・メモリアル・アリーナでUFC再開活動シリーズ3連戦の最終戦、UFC ESPN08「Ovreem vs Harris」が開催される。

ヘビー級のアリスター・オーフレイム✖ウォルト・ハリスがメイン、セミに女子ストロー級のクラウジア・ガデーリャ✖アンジェラ・ヒルが組まれている同大会には、これらフロリダ・シリーズで唯一となるアジア人ファイター=ソン・ヤードンが出場しマルロン・ヴェラと対戦する。


サクラメントのチーム・アルファメール所属のソン・ヤードンは、2017年11月にUFCデビューを果たし、これまで4勝1分と負け知らず──チャイナ・パワー台頭の象徴といえる22歳だ。

ベースは散打、足技、崩しに特徴のある中国流散打にボクシングを加えたソン・ヤードンは、前後の動きに秀でている。オーソドックスでやや遠めの距離から素早く、身を屈めて踏み込みつつ放たれる右オーバーハンドや右フックは一発KOパワーを持つ。

ソン・ヤードンはステップバックして相手を誘いこむことができることで、この踏み込みをカウンターとしてより効果的にしている。加えてこの距離はレスリングにも応用でき、相手が打撃に呼応すると、ダブルレッグに移行してテイクダウンにつなげる。組んでからのソン・ヤードンは、クラッチを軸に回ることで横からの負荷をかけてテイクダウンを奪い、立ち技とは違う回転軸で戦うこともある。

打撃を嫌がって組んできた相手には懐に相手をいれず、10フィンガーやゴゴチョークというカウンターのサブミッションもソン・ヤードンのレパートリーだ。そのなかで再注目は、前後の動きからのパンチを相手が警戒するようになると、同じステップの踏み込みから右スピニングバックキックという回転系の蹴りを駆使し、その防御をすり抜ける点だ。

若干遠目のレンジでの前後の移動、ここでの圧力に屈せず、横移動を使って力強くテイクダウンを仕掛けるコディ・ステーマンに苦戦しドローに終わった前回の試合を経て、ソン・ヤードンが横移動を身に着けているのか、それとも前後移動を強化しているのかに注目だ。

水曜日の大会で勝利したリッキー・シモンとも練習するヴェラ

水曜日の大会で勝利したリッキー・シモンとも練習するヴェラ

対するエクアドル人ファイターで、アーバインのチーム・オーヤマ所属のヴェラは母国やパナマ、ペルーのインカFCを経てTUFラテンアメリカに出演、負傷で準決勝を棒に振ったがUFCとの契約を勝ち取った。

現在までプレリミを中心に9勝4敗と結果を出している。

重心が高いスイッチヒッターのヴェラは、常にハイペースではなく緩急をつけたファイトを展開する。そして打撃と組みが流れるという言葉以上に、繋がっており切れ目が全く感じられない。その組みも特徴的でスタンドで肩固めを仕掛けて寝技に持ち込む動きも過去に披露してきた。

打撃を見せ、組んでバックに回る一連の動作が他にないほどスピーディーで、相手に首を守る準備、その思考を与えない。下になることを厭わない寝技が、ヴェラの思い切りの良さを可能にしているといえるだろう。バックを取っても下に落とされることが多く、そうなるくらいなら自ら離れて打撃の間合いに戻るのがMMAのセオリーだが、ヴェラは落とされてガードになっても構わない覚悟で、背中に乗って極めを狙う。

下になればポイント的には不利になるが、彼には腕十字、三角絞めという常套手段の合間に相手がクラッチを組むことを想定した──腕版カーフスライサーといえば表現方法はおかしいが筋肉潰し系のサブミッション、ガードから鉄槌攻撃など独創的な下攻めを有している。またトップを取った時は、長いリーチを生かし遠心力をつけたパウンドに直線的なエルボーを交え甚大なダメージを与えてきた。

スタンドでも近距離でのエルボーを多用し、切れのあるファイトを展開するヴェラ。ただしソン・ヤードンと対峙した場合、彼が多用する──顔面をガードで固め、額でパンチを受けるように下を向くのは厳禁だ。ソン・ドーヤンとの打撃戦で、この反応を示した時こそボディにスピニングバックキックを被弾し、致命傷となる危険性がある。

ここまで5試合連続フィニッシュ勝利のヴェラ、4勝1分のソン・ヤードン。この試合で勝利することで、より上のステージで戦う権利を得ることができる大切なファイト。勢いのソン・ヤードン、老獪なヴェラ──トップ10進出が掛かった注目の一番だ。

■UFC ESPN08対戦カード

<ヘビー級/5分5R>
アリスター・オーフレイム(オランダ)
ウォルト・ハリス(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
クラウジア・ガデーリャ(ブラジル)
アンジェラ・ヒル(米国)

<フェザー級/5分3R>
エジソン・バルボーサ(ブラジル)
ダン・イゲ(米国)

<ミドル級/5分3R>
エリク・アンダース(米国)
クリシュトフ・ヨッコ(ポーランド)

<バンタム級/5分3R>
ソン・ヤードン(中国)
マルロン・ヴェラ(エクアドル)

<ミドル級/5分3R>
ケヴィン・ホランド(米国)
アンソニー・ヘルナンデス(米国)

<フェザー級/5分3R>
ジガ・チカズ(ジョージア)
マイク・デイヴィス(米国)

<女子フライ級/5分3R>
コートニー・ケイシー(米国)
マラ・ロメロ・ボレッラ(イタリア)

<フェザー級/5分3R>
ダレン・エルキンス(米国)
ネイト・ランドヴェール(米国)

<ヘビー級/5分3R>
ドンテイル・メイス(米国)
ホドリゴ・ナシメント(米国)

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