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【PFL2026#07】ベンヘン戦へ、パトリッキ・アビホハ「戦うことが自由に感じるのは、ONE PIECEの影響」

【写真】MVPもNARUTO大好きだった。そしてMVPと同様に戦いを語る時に、インテリジェンスが感じられるアビホハだった (C)PFL

23日(土・現地時間)、ベルギーはブリュッセルのINGアリーナで開催されるPFL 2026#07「Brussels」のメインでパトリッキ・アビホハが、ベンソン・ヘンダーソンと戦う。
Text by Manabu Takashima

25歳、8勝0敗で7つのKO勝ちを誇る新鋭は、ルアンダ人の両親の下ベルギーで生まれ育った。アフリカンの肉体的才能とヨーロッパの環境が彼らをあらゆるスポーツで活躍させている――とアビホハ自身が語るように、同門のボリス・アムバルギャ・アトンギャナと共にPFL欧州シーンを席巻しているアフリカン・ベルジアン・ファイターが、復帰してきたレジェンドと相対する。

アニメのファンだというMMAファイターは、もう珍しくもない。しかし、人生の軸にONE PIECEがあると断言するほど影響を受けた選手は珍しい。これからどこまで成長していくのか――は、ベンソン・ヘンダーソン超えがなるか、というところから始まる。パトリッキ・アビホハ、要注目の初インタビューとなる。


皆からムギワラって呼ばれるほど、日本のマンガが好きだった

――今週末、ベンソン・ヘンダーソンと対戦します(取材は18日に行われた)。すでに2人のUFCベテランを破っていますが、ベンヘンは元UFC世界チャンピオンです。今の気持ちを聞かせてください。

「現時点で僕の対戦相手のなかで一番のビッグネームだ。彼のようなレベルのファイターと戦えるのは、凄く嬉しい。もちろん、もう絶頂期でないことは分かっているけど、あれだけ経験値が高いファイターだから絶対的に危険な何かを今も持っているはずだ。だからこそ、ベンヘンのような選手に勝って僕のレガシーを築いていきたい」

――今、アフリカン・ヨーロピアンはMMA界で物凄い勢いで台頭しつつあります。だからこそ今回インタビューをさせてもらったのですが、ベルギー国籍のパトリッキのルーツはどこになるのですか。

「僕の両親はルワンダ出身だ。ただ僕はベルギーで生まれ育った。アフリカ大陸の人間はスポーツで活躍できるDNAを生まれもって、与えられている。NBA、NFL、サッカー、陸上競技では長距離も短距離も。どんなスポーツでもアフリカ系の選手が活躍している。遺伝子レベルで僕らはその能力が組み込まれている。骨格……骨の強さ、筋肉が強い。ただアフリカ系でもエチオピアやケニアはマラソンランナーが優れていて、細くて引き締まっている。

ナイジェリアになると、体が大きくて強い。カメルーンは、カメルーン人の特徴がある。アフリカの人間は生まれた場所によって、それぞれの才能を天から与えられている。

そしてアフリカの血が流れていて、ヨーロッパに住んでいると、色々なスポーツとアクセスしやすい。まぁスポーツだけじゃないけどね。アフリカで生まれ育つと、何かを究めるにはヨーロッパに渡るのが一般的だ。でも、ヨーロッパで生まれ育つと、最初からその環境を享受できる。さらに米国やアジアにも、アクセスしやすい。

もともと肉体的な才能があるうえで、ヨーロッパは環境が整っている。この二つの要素を兼ね備えているのだから、ヨーロッパ生まれのアフリカンがスポーツで活躍できるのは、ある意味当然だと言えるだろう」

――才能と環境の両方があると。それは脅威になってきて然りですね。

「その通りだ。ところで日本のファンに僕のことを紹介してくれるなら、僕が日本に凄く興味を持っていることを伝えてくれないかい。皆からムギワラって呼ばれるほど、日本のマンガが好きだったんだ」

――ムギワラとはONE PIECE関連ということですか。ちょっと、私は子供が視ているのを横で眺めているぐらいで分からないのですが……。

「もちろん、ONE PIECEだよ。ずっと日本のマンガを読んで育った。NARUTO、ハイキュー!! 僕の人生には常にマンガがあった。僕がケージの中で戦うことが自由に感じるのは、ONE PIECEの影響だよ。夢を追いかけて生きる。夢のなかで生き抜く。そんな人生の根底にONE PIECEがある。そして、こうやってファイターとして生きていけるのは、マンガがあったからなんだよ。それも日本という国のおかげだ。

実は8月に日本を訪れるつもりなんだ。沖縄、宮崎、京都、東京を回る予定で」

――そんなに多くの街を訪れるのですか!!

「マンガもそうだし、日本で色々なことを探求したいと思っているんだ(笑)。それと友人のエリー・ケーリッシュから、8月にRIZINがあると聞いている」

――ハイ。8月11日にTOYOTA ARENA TOKYOでRIZIN54が開催されますね。それほどマンガ好き、日本贔屓のパトリッキはなぜMMAを始めたのでしょうか。

「僕が喧嘩ばかりしていたから、友人に誘われたんだよ。『どうせ殴り合うなら、プロになって金を稼げ』ってね(笑)。それまでの人生、僕は何をすれば良いか分かっていなかった。自分を持っていなかったんだ。でも、何か大きなことをやりたいと焦れていた。スポーツは好きだったし、何かに熱中したかった。結果、格闘技の経験は一切なかったけど、友人の誘いがあって16歳でMMAを始めた。最初は週に2度だけジムに行くようになり、2回が3回に。3回が4回と増えていき、1試合、2試合、3試合と戦うと、このまま突っ走るぞって、思うようになったんだ」

――バッググラウンドを持たない、生粋のMMAファイターということですね。

「そうだよ。それがニュージェネレーション・ファイターだ。俺たち世代は他の格闘技の経験はなく、直接MMAを始めるんだよ」

――そして、直接プロMMAでなくアマチュアMMAからキャリアを積み始めるのも新しい世代の特徴です。パトリッキは、そのアマの経験が生きていると思いますか。

「もちろんだよ。プロになる前に、色々なタイプの選手と既に戦うことができたからね。直接プロになるケースは……そうだね、日本人選手がプロになると、まずは国内の選手同士で戦うことになる。同じ国の選手と戦い続けて、日本のトップになり、UFCやPFL、ONE Championshipのような世界のビッグステージにステップアップする。そこで初めてブラジル人やロシア人、オリンピアン、そしてアフリカのファイターと試合が組まれる。これまで戦ったことがない強さを持っている相手と戦い、驚いてしまうことがあるだろう。

アマでも世界大会に出場すると1回戦で米国人、2回戦でロシア人と戦うなんてこともある。そういう経験をしていると免疫ができて、驚くことはない。そういう試合をアマチュア時代に経験しているのは大きいよ。アマチュアでの黒星はプロ戦績に響かないしね」

これまでと同じように戦い、同じように終わる

――パトリッキはアマチュアで25戦以上戦い、ベルギー人選手は当然として英国やフランス、北欧勢。アフリカ、中央アジアのファイターたちと戦ってきました。だからプロ7戦&8戦目で元UFCファイターをKOできると。前回の試合ではUFCで2勝2敗のケヴィン・ジュセを初回KOし、ケヴィン・リーをコールアウトしました。

これは……ちょっと体格が違い過ぎないか……(C)PFL

「そうしたら、よりビッグネームでレジェンドのベンソン・ヘンダーソンと戦うことになった。最高だよ。ハードトレーニングを積んできたから、ただ勝つだけだ。それが唯一のゴールだよ。MMAには新陳代謝が必要で、若い力が台頭して上の世代のファイターが表舞台を去る。そして、時代が変わるんだよ。

だからといってベンソン・ヘンダーソンのことを尊敬していないわけじゃない。逆に物凄く尊敬している。彼は僕ができていないことを、やり遂げてきた。ファイターとして、最高到達点に辿り着いたファイターだ。僕はプロで世界チャンピオンになっていない。だからベンソン・ヘンダーソンを超えて、チャンピオンの座に近づきたいと思っている」

――現在のベンヘンの力をどのように評価していますか。

「他のルールでレスリング、ストライキング、グラップリングを戦ってきた。MMAだから当然ミックスしてくる。そして、そのミックスする力に優れているのがベンソン・ヘンダーソンだよ。僕にも色々な罠を仕掛けてくるだろう。

ただし、僕は自分の力を知っている。誰が試合を支配できるか、試合が始まれば分かることだよ」

――自身のアドバンテージはどこにあると思っていますか。

「そういうことは余り話したくない。ただ、僕の試合を見ているなら、答えは分かるはずだ。これまでと同じように戦い、同じように終わるよ」

――今大会は日本から2選手が出場しており、多くの日本人ファンもパトリッキの試合を視るかと思います。そんな日本のファンにメッセージをお願いできますか。

「アリガトウゴザイマシタ。イタダキマス。アハハハハ。この言葉はマンガで覚えたよ。これだけなんだ、知っている日本語は。今は土曜日の試合に集中しているけど、PFLとRIZINはクロスプロモーションの噂もある。どんな風にコトが運ぶのか、楽しみにしているよ」

■視聴方法(予定)
5月24日(日・日本時間)
午前1時15分~ U-NEXT

■PFL2026#07 対戦カード

<ウェルター級/5分3R>
パトリッキ・アビホハ(ベルギー)
ベンソン・ヘンダーソン(米国)

<バンタム級/5分3R>
テイラー・ラピルース(フランス)
ジェイク・ハードリー(英国)

<ライトヘビー級/5分3R>
ボリス・アムバルギャ・アトンギャナ(ベルギー)
ジャレッド・グッデン(米国)

<バンタム級/5分3R>
マルシルリー・アウベス(ブラジル)
井上直樹(日本)

<フェザー級/5分3R>
アザエル・アジョウジ(アルジェリア)
SASUKE(日本)

<バンタム級/5分3R>
バリス・アディギュゼル(フランス)
グスタボ・オリヴェイラ(ポルトガル)

<ライトヘビー級/5分3R>
ドネギ・アベイナ(スリナム)
ジョー・シリング(米国)

<バンタム級/5分3R>
モブサル・イブラヒモフ(ベルギー)
ユスーフ・ビネイトゥ(コートジボアール)

<ウェルター級/5分3R>
カムザット・アバエフ(ベルギー)
ルカ・ポクリ(モルドバ)

<フェザー級/5分3R>
アダム・メスキニ(モロッコ)
キウイニー・ロピス(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
ルスタン・セルビエフ(ベルギー)
アシュリー・リース(英国)

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