【PFL2026#07】SASUKEと対戦、フランスのカラテ・キッド=アザエル・アジョウジ「構えも距離も直感で」
【写真】テイクダウンのあるSASUKEに対して、やはりロングレンジで戦うのか (C)PFL
23日(土・現地時間)、ベルギーはブリュッセルのINGアリーナで開催されるPFL 2026#07「Brussels」。同大会には日本から井上直樹とSASUKEが参戦し、後者はフランス生まれのアルジェリア人、そしてアイルランドでトレーニングするアザエル・アジョウジと対戦する。
Text by Manabu Takashima
松濤館空手8段の父を持ち、幼少期から空手、そしてムエタイを学んだというアジョウジは、MMAファイターになるべく7年前にダブリンに降り立った。そしてSBGアイルランドでジョン・カヴァナーの指導を受けるようになり、現在まで10勝1敗の戦績を挙げている。
空手ベースの打撃を多用できるのは、ケージレスリングに自信があるからというアジョウジは、総力戦となるSASUKE戦で打撃に明白な違いがあると話した。
子供の頃から松濤館空手をやり込んだことは、とても良かった
――アザエル、今週の土曜日にSASUKE選手と対戦します。今、どのような気分でいますか(※取材は20日に行われた)。
「最高だね。SASUKEとの試合はマーシャルアーツ×マーシャルアーツの良い顔合わせだ。僕の父は松濤館空手で八段を持つ空手家で、父の教えを子供の時から受けてきたから、彼のようなリアル・マーシャルアーチストと戦えることが嬉しい」
――SASUKE選手をリアル・マーシャルアーチストと捉えているのは、なぜですか。
「彼は柔道出身だろう? 空手×柔道、古くから対抗意識のあったマーシャルアーツのぶつかりあいだよ」
――なるほどです。ところでアザエルはアルジェリア国旗の下、PFLで戦っていますね。
「僕はフランスのマルセイユ近郊で生まれたけど、父の一族はアルジェリアからの移民なんだ。父、そして祖父が自分たちのルーツを大切に生きてきたから、ファイトの時はアルジェリアを代表して戦っている」
――フランスでは長らくMMAは禁じられていましたが、柔道や空手、それ以外にも武道が相当に盛んな国ですね。
「柔道も盛んだけど、伝統派空手も多くの子供が学んでいる。大会も盛んに行われているよ。でも昔と違い、それほど型は行われなくなり、組み手が圧倒的に多い。僕の空手仲間にはWKFの世界チャンピオンのメディ・ヒラリがいるよ(※2023年世界空手道選手権84キロ級優勝)。ヒラリのような世界王者がいることでも分かるように、フランスは空手王国なんだ。ただ、ボクシングを経てその人気はMMAに移りつつあるかな」
――アザエルも空手で王座を獲得していますか。
「キッズ時代に空手、キックボクシング、ムエタイで国内王者になり、K-1で3度アマの世界チャンピオンになった。16歳になってタイで、ムエタイの試合に出たのが初めてのプロの試合だったよ」
――えっ? 空手だけでなく、キックやムエタイの試合にも出ていたのですか。
「僕の父はマーシャルアーツのスクールをしていて、空手だけでなくムエタイも指導していたんだ。空手の試合は実際に殴るわけじゃない。だから父は僕に松濤館空手だけをやらせたくなかったんだ。最初は空手とボクシングの試合に出ていたけど、それからK-1やムエタイ、キックボクシングで多くの経験を積んだ。
それからもタイでは、何度かWKFの国際トーナメントで優勝している。でもフランス代表に入ったことは一度もない。寸止めで戦うことが難しくなっていって……。だからキックやムエタイに専念することにしたんだ」
――キック系の戦績は?
「K-1とムエタイでは28勝3敗だよ。ボクシングは15~20試合戦った。空手は200試合以上かな」
――なぜMMAに転向したのでしょうか。
「父が初期のUFCのビデオを見せてくれた時から、ずっとMMAがやりたかった。父はUFCやPRIDEのビデオを持っていて。でもフランスではMMAが許されていなかったから、国を出てMMAを学ぼうと思った。そして2018年にK-1ルールの試合をオランダで戦ったあと、そのままダブリンに向かいSBGダブリンで練習に参加させてもらった。そうしたら僕の打撃を見てジョン・カヴァナーが『このまま、ここで練習を続けろ』と言ってくれたんだ。
それ以来、パリとダブリンを行ったり来たりの生活をしている。でも子供の頃から松濤館空手をやり込んだことは、とても良かったよ。レンジ、ディスタンスコントロールが身についた。それがあってMMAを始めた時に、レスリングやボクシングが学びやすかったんだ」
『KOする』と言っていたみたいだけど。まぁ、僕は信じないよ(笑)
――過去の試合では、空手の雰囲気はしていたのですが、あまりムエタイは感じられなかったです。
「それは対戦相手によるよ。構えもそうだ。左右どちらでも戦うことができる。基本はオーソドックスだけど、相手によってはずっとサウスポーで戦うこともある。それと同じで、ロングレンジで戦うことが好きだけど、相手によっては近い距離で戦う。構えも距離も、対戦相手を前にして直感で選択している」
――奥足の前蹴りが、とても力強く入るシーンが印象に残っています。
「その蹴りにも当てはまるけど、対戦相手を混乱させることが大切だ。近い距離でのハイキックも、余りMMAでは見られないから僕の武器になっている。
僕が蹴りを多用できるのは、ケージレスリングに自信を持っているからだよ。ダブリンではモルドバからやって来たもの凄く強いレスラーと、もう2、3年練習をしてきたからね。去年の8月にイーブ・ランジュと戦った時、テイクキング・ダウンしホールディング・ダウンをキープできたことで凄く自信になっている。過去7年、毎日のようにレスリングとグラップリングをやり込んできた成果が試合で表れるようになってきた」
――ではSASUKE選手との試合は、マーシャルアーツ×マーシャルアーツ的な顔合わせでありながら、MMAとして総力戦になりそうですね。
「そうだね。ただ正直なところ、打撃は僕の方が上だよ。SASUKEはテイクダウンに長けているのに、インタビューで『KOする』と言っていたみたいだけど。まぁ、僕は信じないよ(笑)。もし、土曜日の試合でKOが見られたら、倒れているのは僕じゃない。彼の方だ。
彼はダブルレッグとサブミッションに優れている。だから、そっちで勝負してくるはず。でも、特に怖い攻撃でもない。この試合は僕がビッグフィニッシュをする。サブミッションでもノックアウトでも。前回の試合は判定勝ちだったから、そこまで嬉しくなかった。だからこそ、今回の試合は絶対にKO勝ちしたいと思っている。
ただ日本からPFLに参戦してくる選手がいることは、凄く良いことだよ。PFLのレベルも高くなる。世界中の選手にチャンスがあるということだからね」
■視聴方法(予定)
5月24日(日・日本時間)
午前1時15分~ U-NEXT
■PFL2026#07 対戦カード
<ウェルター級/5分3R>
パトリッキ・アビホハ(ベルギー)
ベンソン・ヘンダーソン(米国)
<バンタム級/5分3R>
テイラー・ラピルース(フランス)
ジェイク・ハードリー(英国)
<ライトヘビー級/5分3R>
ボリス・アムバルギャ・アトンギャナ(ベルギー)
ジャレッド・グッデン(米国)
<バンタム級/5分3R>
マルシルリー・アウベス(ブラジル)
井上直樹(日本)
<フェザー級/5分3R>
アザエル・アジョウジ(アルジェリア)
SASUKE(日本)
<バンタム級/5分3R>
バリス・アディギュゼル(フランス)
グスタボ・オリヴェイラ(ポルトガル)
<ライトヘビー級/5分3R>
ドネギ・アベイナ(スリナム)
ジョー・シリング(米国)
<バンタム級/5分3R>
モブサル・イブラヒモフ(ベルギー)
ユスーフ・ビネイトゥ(コートジボアール)
<ウェルター級/5分3R>
カムザット・アバエフ(ベルギー)
ルカ・ポクリ(モルドバ)
<フェザー級/5分3R>
アダム・メスキニ(モロッコ)
キウイニー・ロピス(ブラジル)
<ウェルター級/5分3R>
ルスタン・セルビエフ(ベルギー)
アシュリー・リース(英国)


















