【Special】月刊、青木真也のこの一番:8月─その参─竹中大地✖レアンドロ・イッサ「相当な覚悟」
【写真】ガッツを見せたイッサをガッツで上回った竹中が8月の青木アワードに(C)KEISUKE TAKAZAWA/MMAPLANET
過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。
背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ8月の一番、第3弾は2日に行われたONE98から竹中大地✖レアンドロ・イッサの一戦を語らおう。
──8月の青木真也が選ぶ、この一番。3試合目はどの試合になるのでしょうか。
「竹中大地✖レアンドロ・イッサですね。イッサは年齢をモロに受けてコンディションが落ちてきている。そのなかで竹中選手がイッサに負けることはないし、もっとワンサイドになると思っていました」
──イッサはフレッシュではなくなったと。
「ムイン・ガフロフに一発で倒された時も、ビックリして」
──落ちてきてからの打撃は捨てて、とにかくグラウンドに持ち込んで勝とうとするイッサの最近の試合から、私などはかなりの気迫を感じていました。
「そこが今回の試合で出ましたね。僕はセコンドに就いていたのですが、あのガッツは大したものでした」
──青木選手は急遽マニラ入りが決まり、試合開始までもう14時間とか15時間まで迫った時に現地入りしていて。それでセコンドに就いていましたね。
「ホテルで朝飯を食っていた時に会って、『元気ィ?』とか話をしていたら、『コーチが1人だから』っていうから手伝おうかという話になったんです」
──何とも!!
「Tシャツが1枚だったのにアップで汗でビショビショになって。偉い迷惑でしたよ(笑)。でもケージと違う、斜め後ろから行うリングのセコンドワークというものを勉強させてもらえる経験が出来ましたよ。
何よりセコンドに就いていて、あの日のイッサは本当に凄いと思いました。1Rに懸命にコントロールしようとして戦って、疲れて戻ってきた。それでも一度、テイクダウンを取れば行けるかもしれない。だから『もう1回、同じようにやれ』って僕は言っていて。でも、イッサがヒュージョンMMAから連れてきていたコーチが『打撃で行け』という指示をずっと出していて……。お前はグラップラーじゃないかって、僕は思っていたんです」
──イッサはEvolve MMAではなくて、フロリダで練習しているのでしたね。
「そなんですよ。僕は組みに行け、ヒュージョンのコーチは打撃だって。そんな感じになっていて消耗し、それでも3Rも前に出て行きましたからね。本当に頑張ったと思いました。そのイッサにしっかりと勝った竹中選手が良かった。あの勢いだとイッサが押し切ることだってあり得ますからね。ああいうガッツがある時はそれが可能になるもので。
だから僕も3Rはシーソーになるかと思っていた。そうしたらら、ちゃんと仕留めて勝った竹中選手はさすがです。左ミドルで腹を効かせて、パンチを当てて倒す。竹中選手のキャリアにとっても、あのガッツのあるイッサに勝ったことは凄く良いことだと思います」
──竹中選手はONEが日本に投資を開始する前。『試合を組んでもらない』という声が大きかったときに、出場を決めた選手です。
「相当な覚悟を持っていたんでしょうね。この間の試合でもガッツのあるイッサを上回るガッツを持っていましたね」
──ONEのバンタム級戦線はビビアーノ・フェルナンデスとケビン・ベリンゴンの二強時代といっても過言でありません。
「そこに行くには、今は厳しいです。ここからUFCでやっていたジョン・リネケルとかを絡ませるのが、きっとONEのプランだろうし。難しい……甘くない階級になります」
──まだまだ茨の道が続く、竹中選手が8月の青木アワードに決まりました。