【Special】月刊、青木真也のこの一番:番外編─バナリオ戦へ、「ジャパニーズMMAって概念だから」
【写真】自分の見られ方、見せ方を真剣に考える姿勢は勝利を得るための努力に通じている(C)MMAPLANET
過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。
背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が10月13日のONE100「Century」夜の部でホノリオ・バナリオと戦うことが決まった。
3月のエドゥアルド・フォラヤン戦、5月のクリスチャン・リー戦を経て、ONEにとって2度目の日本大会で青木は自らに何を課しているのか。
──青木選手も10月13日にホノリオ・バナリオと戦うことがようやく決まりました。
「なんか……色々と複雑ですね。そうですね、割と遠くで見ている感じかもしれないです。『あぁ、そういう感じ。そういう感じなのね』みたいな」
──青木真也のONE日本大会ではないという感覚でしょうか。
「自分のショーではない……。ただ日本の中継だったり市場に向けては、色々としっかりとしたことをやらないといけないとは思っているので一生懸命やります……という感じですね」
──試合が決定するまでも時間が掛かりました。
「本当にないと思っていました。日本大会のあとに11月にマニラ、北京、シンガポールと続くのでそこになるのかなって。今年、もう1試合決まると良いなと思っていたぐらいで」
──8月2日のマニラ大会でエディ・アルバレスがエドゥアルド・フォラヤンに勝ったことで日本大会の青木選手のマッチアップが難しくなった感はありました。
「それはあったでしょうね。なんだろうな……要は凄く分かりやすく言うと、ONEの日本大会──ONEというイベントは朝の北米市場を睨んだイベント、夜もアジア市場や世界を見ているイベントであって、日本用にローカライズされたショーではない。それが可視化されたということだと思います。
そこは理解しているんですが、僕は日本で格闘技を……日本の格闘技をやってきた人間なので。日本の歴史ある文脈をやってきた人間なので、そこに対して寂しさはあります」
──ジャパニーズMMAを青木選手は見せたいと。
「見せたいですね。ジャパニーズMMAって概念だから。歴史やストーリーのあるモノじゃないですか? 日本人にとって。日本人の日本人による日本人のためのモノ。それがないのは辛いかなとは思う」
──3月大会よりも、そこを見せるのは難しそうですね。青木選手が出場する夜の部は、枠としてパンクラス✖修斗があり、そこで日本のMMAを見せるという感じになっています。
「結構、難しいですね。パッケージされているのではなく、食材が並んでいる感じなので」
──対戦相手がホノリオ・バナリオというのも、さらに難しくさせている要因ではないでしょうか。
「う~ん、楽観はしていないです。戦うのは俺だから」
──とある人の言葉なのですが、『ファイターは落ちる時にスッと落ちることがある』と。ソレを聞いたときに、この1試合としてみるのではなく、青木真也のキャリアを考えたうえで、少しゾッとしたんですよね。
「いつ来てもおかしくないんです。それが今回かもしれない。そういうことは今回も覚悟しています。う~ん、そこもあってか3月の両国では『俺のキャリアもここで終わるのかな』という気持ちで試合をし、それは5月も同じでした。そういう時期になっているということじゃないですか?」
──ハイ……。だからこそ、ここでスッと来るのではなくてダギやローウェン・タイナネスと戦う青木選手を見てみたい。ただし、接近戦でしっかりと当てることができるのは、バナリオの嫌なところではあります。
「かといってノックアウト・パンチャーじゃない。打撃もMMA全体もちょっと荒い。
そういう相手との試合は同じチーム・ラカイでもフォラヤンの時とは違って、雑になってしまいがちなので。しっかりと戦わないといけないですね。だからテクニカルな練習、組技もしっかりと取り組んでいます。まぁ何があろうと、コツコツと頑張っていく。今、目の前にあることを一生懸命取り組んでいくことには変わりないです」