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【Shooto】扇久保博正✖清水清隆の裁定結果が、KOからテクニカル判定に変更──に関して

Ougikubo vs Shimizu【写真】偶発的なバッティングも、レフェリーの判断ミスも、異議申し立てもあるのがMMA。だからこそ、その対応には迅速さが求められる (C)KEISUKE TAKAZAWA /MMAPLANET

24日(火)、プロフェッショナル修斗管理部より5月6日に東京都文京区の後楽園ホールで行われたプロ修斗世界フライ級選手権試合=扇久保博正✖清水清隆の試合結果が、4R0分40秒・扇久保のKO勝ちから、テクニカル判定3-0に変更されたという発表があった。


変更は両者の頭が当たっていた影響があり、審議がなされた結果出された。頭が当たっていたということは試合直後から長南亮氏など、清水陣営から不満の声は挙がっていた。

そして今回の発表では、「偶発的な事故による負傷、或いはダメージにより、一方または双方の選手の試合続行が不可能になった場合、必要とあらば試合を停止してダメージを負った選手の回復を待つべきであるが偶発的な事故によるダメージにより即座に試合続行が不可能な状態となった。映像等での検証により、試合終了の要因が偶発的なアクシデントによるものと結論付け、当該試合は公式ルールに基づき、4Rのアクシデント発生前までの採点を以って勝者を決定する事とする」と試合結果の変更理由が説明されている。

この発表に扇久保が所属するパラエストラ松戸の鶴屋浩代表がSNSで、不満を露にしている。勝敗結果は覆らなかったが、扇久保のキャリアを振り返るとKO勝ちの重要さを本人と同様に重視していたこともあり、また裁定結果の変更が発表されるまで時間を要したことで感情的にすらなっているといえる。

頭が当たる前に扇久保の右のパンチも清水を捕えている。このパンチか頭が当たったこと、どちらがKOに直接結びついたのかの判断は正直つきかねるだろう。それが直接打撃の認められた格闘競技の性質でもある。パンチだけで倒れていたかもしれないし、頭が当たったので清水は試合続行が不可能なダメージを負った可能性もある。レフェリーとしては最優先されるべき行動は試合を終了させることだ。

パンチであったか、頭だったのか。あの場でレフェリーがどちらの判断をしようが、審議に持ち込まれることになっていたかもしれない。いずれによせ、今回は裁定結果が覆ったことで、清水が試合を続けることができなかった要因は偶発的なバッティングによるものと確定した。

裁定結果、フィニッシュの攻撃が有効であるのか、過去にも選手・ジムサイドから異議申し立ては存在した。今回、鶴屋代表がSNSという場で不満を露にしたのは、やはり前述したように迅速な対応がなかったからではないだろうか。今やプロ野球でもサッカーでも、柔道やレスリング、そしてMMAでも北米ではビデオ裁定は行われ、その判断は即時プレイヤーにも観客にも伝わるようになっている。

修斗にその制度がなかったので、これだけ時間を要したのであれば、これから早急に制度を確立すべき。それでなくてもAbemaのライブ中継があり、複数のカメラがフィニッシュの瞬間をとらえている。制度でなく誠実な対応として試合直後でも今回の結論に至り発表することはできたはずだ。

また、今回の試合結果の変更の発表が、修斗コミッションでなくプロ修斗管理部という部署からあったことも腑に落ちない印象を与えている。修斗の競技運営面は修斗コミッションが司っているのではなかったのか。日本修斗協会のホームページではこのプロ修斗管理部という部署は「コミッション事務局(プロ管理部)」と明記されている部署だと思われるが、なぜ修斗コミッションのからの発表ではないのか。今回の試合結果の変更に関して、修斗コミッションは関与しておらず、このプロ管理部が判断をして発表を行ったのか。この決は誰によってされたのかが、リリースでは明らかになっていない。

繰り返すが審議を行ったのは審判員であり、コミッションは関わっていなかったのか──ということだ。そしてプロ管理部とは、競技運営を司る部署なのか。また、裁定結果の変更が発表されたわけではあるが、なぜ裁定結果を見直す必要があったのかという経緯の説明がなされていないことも、このリリースは片手落ちと思われても致し方ない。

リリースによると、審判団のなかで頭部の接触があった可能性があることで慎重な審議が必要であると判断されたという説明がなされているが、修斗では常に審判団が自発行為で裁定を見直すというシステムであるのか。同時に、この試合について選手・ジムサイドから異議申し立ては存在しなかったのか。その有無も明らかにされていない。

裁定結果の変更もあるだろう。抗議できる態勢も修斗には整っているはずだ。鶴の一言で判定が変わったり、レフェリーにその責を押し付けることはない。半面、修斗の組織図が頭に入って、ケージの中を見ている者などほとんど存在しない。それだけに「競技である」ことを世に訴え続けてきた修斗という組織全体として、選手やジムサイドから他のスポーツ並みの迅速な対応を求められることは確かだ。

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