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【WJJC2019】ヘビー級 20歳、黒帯1年目のカイナン・デュアルチがレアンドロ・ロを寄せ付けず頂点に

Heavy【写真】黒帯初のムンジアルで早くも頂点に立ったカイナン・デュアルチ(C)MMAPLANET

5月30日(木・現地時間)から6月2日(日・現地時間)にかけて、米国カリフォルニア州ロングビーチのカリフォルニア大ロングビーチ校内ピラミッドにて、IBJJF主催のブラジリアン柔術世界選手権が行われた。競技柔術世界一を決定するこのムンジアル・レビュー第14 回は、世界4階級制覇のレアンドロ・ロ、昨年茶帯で世界大会完全優勝を果たしたカイナン・ディアルチらの注目選手が出場したヘビー級の戦いをレポートしたい。


最注目のカイナン・デュアルチ(アトス)は、昨年の世界大会茶帯の部において階級別&無差別ダブルゴールドを達成。今年は黒帯としてヨーロピアン、パン、ワールドプロと制覇し、強行日程で臨んだブラジレイロこそ敗れたものの、黒帯初参戦となるこの世界大会でも優勝候補筆頭として挙げられていた。

ノーギグラップリング大会 Kasai Pro 5でクレイグ・ジョーンズから一本勝ちしたことでさらに注目を集めたこの21歳の新星は、同ブロック中の最大の対抗馬と見られていたキーナン・コーネリアス(BJJグローブトロッターズ)が前日の無差別級の激闘により負傷欠場したこともあり、決勝まで危なげなく勝ち上がった。

01もう一つのブロックの準決勝は、これまでライト、ミドル、ミディアムヘビーと制覇しているレアンドロ・ロ(Nsブラザーフッド)と、デュアルチをブラジレイロで下し、今回の準々決勝では一昨年世界王者のパトリック・ガウジオ(GFチーム)にも勝利した22歳のヴィニシウス・フェレイラ(アリアンシ)の対戦に。

ここでフェレイラは超大物との対戦に気合が入りすぎたか、開始早々スタンドで前進し勢い余ってロの顔面にヘッドバットを当ててしまい、一発で失格反則負け。結果として、勢いに乗る新世代テュアルチと、今年30となったレジェンド・ロによる新旧対決が実現した。

02<ヘビー級決勝/10分1R>
カイナン・デュアルチ(ブラジル)
Def. by 5-2
レアンドロ・ロ(ブラジル)

03当初からロとの試合を熱望していたデュアルチは、試合開始と同時に前進。対して下がり気味のロ。お互い襟を取り合うと、ロのほうが引き込む。立ったままのデュアルチに対し、ロは得意の両足で挟み込むクラシカル・スイープを狙うが、反応して少しヒザを開いたデュアルチの強固なベースはまったく崩れず。やがてデュアルチは、右ヒザを入れ座ってプレッシャーをかけてゆく。

04ここでロは一度距離を取って立ち上がると、もう一度引き込む。デュアルチの右足に左足で絡むデラヒーバを作るが、地面に根が生えた如く立ったままのデュアルチは、絡んできたロの左足のズボンを掴むと、一瞬で解除して前に。ロはデュアルチの襟を掴んだ右手で距離を取るが、そこでデュアルチは即座にロの右足を捉えてレッグドラッグ。それでもなんとか動いて体勢を戻すロ。

5Xならばとデュアルチはロの右足に体重を掛け、その体を二つ折りにしてから右に動いてのパス。大歓声のなか、ディアルチはロのサイドに回って数秒押さえつけて3点を獲得した。ロはスクランブルに持ち込み、両者はスタンドに戻った。

05開始2分で先制されてしまったロは、スタンドから飛び込んでのダブルレッグを仕掛ける。デュアルチはそれを切らずに、倒れながらのギロチンでカウンター。しかしロは頭を抜き、テイクダウンの2点を返してみせた。同時にデュアルチにはアドバンテージが1つ与えられた。

06右ヒザを入れてデュアルチのガードを開かせたロは、前方に体重をかけてのニースライスを狙う。デュアルチは足を効かせて許さない。やがて侵攻するロの右足のズボンを左手で、右手でロのラペルを掴んだデュアルチは、ロの右足をリフトしながら右に崩して立ち上がる。スタンド状態でもロの右足のズボンを掴み続けるデュアルチは、襟を取っている左で捻りながらロをなぎ倒してテイクダウンに成功する。

さらに次の瞬間、ロの右足をレッグドラッグしたデュアルチがサイドへ。ロも前に体重をかけるデュアルチの動きを利用して横回転してスクランブルし、そのまま立ち上がってみせた。圧倒的なフィジカルを誇るデュアルチの攻撃力と、ここ一番の爆発力でそれを凌いだロ──再び大歓声に包まれた攻防でデュアルチは5-2とリードを広げ、さらにアドバンテージも獲得した。

07残り5分半。ロは再び引き込むが、デュアルチは変わらぬ盤石のバランスで仁王立ち。さらに右ヒザを入れて座るデュアルチ。プレッシャーをかけられたロは立ち上がろうとするが、デュアルチは先ほど同様、ズボン&襟を掴んでのテイクダウン。またもや問答無用といった感じで倒されてしまったロだが、その勢いで回転して立ち上がってみせポイントなかった。

袖と襟を掴み合い、頭を付けて押し合う両者だが、ロの方に疲労の色が濃くなっている。やがて両者にペナルティが与えられると、残り3分でロが引き込みへ。対するデュアルチは、右足を入れて盤石のバランスで座る。左手首を掴むロだが、デュアルチは右手を使ってそのグリップを引き剥がす。ならばとロはデュアルチの右足にデラヒーバで絡み、素早くラペルを引き出して股間を通して掴むと、シッティングから後転するようにデュアルチを前に崩してから立ち上がってのスイープ狙い。

08それも強靭な足腰を持つデュアルチはバランスを保ち、両者はスタンドに戻った。さらに消耗した表情のロは、しばし両手に膝を当てる体勢をとる。が、息が少し戻ると再び引きこむ。仁王立ちのデュアルチに対し、ロは再びクラシカル・スイープを狙う素振りをみせるが、デュアルチは微動だにしない。

その後ロはデラヒーバからデュアルチの手首をコントロールしに行くが、またもやグリップをひきちぎられてしまう。決して諦めないロは再びシッティングからデュアルチのラペルを取ると、後転してのスイープに。前方にバランスを崩されたデュアルチだが、すぐに体勢を立て直した。

残り40秒で、試合はまたしてもスタンドに。消耗の激しいロが下がり、5-2で勝っているデュアルチの方が走ってロに近づいてゆく。デュアルチはロの襟と袖を取ると、前に引きずり倒すように崩す。なんとか立ち上がったロは、残り20秒で最後の勝負を賭けて引き込みへ。またしてもデュアルチの右足に絡むロだが、デュアルチはこれまで通り動じずにその右足を掴んでサイドにパスを仕掛け、ロがなんとか動いて正対してみせた。

場内からはカウントダウンの声が。残り数秒のところで、勝利を確信したデュアルチはグリップを切るとロから離れ、右手を挙げながら中央に向かって歩いてゆく。対して精根尽き果てたロは、それを追いかける気力もなく座り込んだまま、試合終了のブザーを聞いたのだった。

09デュアルチ、圧巻の世界初制覇──。盤石のベースの強さでロの仕掛けをことごとく遮断し、すさまじいプレッシャーのパスの連続攻撃でそのオープンガードを突破、下になってもロにニースライスの形すら作らせず、立ち上がってねじ伏せるように上を強奪。最後は闘志まで奪い取っての圧勝だった。

対するロは、3大会連続で階級別タイトルを逃すことに。2017年にはヘビー級決勝で新星ニコラス・メレガリと大激闘の末に惜敗し、昨年はスーパーヘビー級決勝にて、モハメッド・アリーと凄まじいスピードのスクランブルの最中に右肩を負傷して敗退。そして今回は、昨年以上に圧倒的なフィジカル差を見せつけられての完敗だった。

自らの肉体の限界を超えるような戦いに臨み、凄絶に散ったロ。緩慢に動きながらも、時折強引に爆発力を発揮して点を稼いで勝ってゆく重量級ヴァージョンではなく、中軽量級時の圧倒的な運動量を誇るロをまた見たいというのは、多くの柔術ファンが共有する思いではなかろうか。

■ミディアムヘビー級リザルト
優勝 カイナン・デュアルチ(ブラジル)
準優勝 レアンドロ・ロ(ブラジル)
3位 デミトリウス・ソウザ(アリアンシ)

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